レジリエンス、平和、安全保障

日本における都市コミュニティの再構築

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一人暮らし世帯は日本の多くの都市で増加しており、社会的孤立のリスクを高めています。 Image: Unsplash / Cory Schadt

Naoko Tochibayashi
Communications Lead, Japan, World Economic Forum
  • 人口動態やライフスタイルの変化、とりわけ都市部で進む変化は、世界各地の地域社会のあり方を大きく変えています。
  • 日本でも、若者を中心に一人暮らし世帯が増加するなど、居住形態は大きく変化しています。
  • こうした変化を見据えた政府や企業の取り組みは、社会的孤立の解消に加え、よりレジリエントで包摂的な都市づくりを後押ししています。

コミュニティは、社会のレジリエンスを支える重要な資産の一つです。人と人とのつながりは、孤独や孤立を防ぐだけでなく、健康の維持や災害時の助け合いなど、日常生活から非常時まで幅広い役割を果たしています。一方、人口構造や生活様式の変化に伴い、コミュニティのあり方も大きな転換期を迎えています。

日本では従来、複数世代が同じ家で暮らし、それぞれが学校や職場、地域活動などを通じ、多様な人々とのつながりを築いていました。一方、近年では単身世帯の急増を背景に、世帯構成が大きく変化しています。特に都市部でその傾向が顕著で、東京都では全世帯の約半数、大阪市、京都市、福岡市では約4割を単身世帯が占めており、その割合は今後も増加すると見込まれています。

こうした人口構造の変化は、地域コミュニティにも大きな影響を及ぼしています。地域や近隣住民との接点が減ることで、孤独や孤立が深刻化し、精神的な健康だけでなく身体的な健康にも影響を与えることが指摘されています。また、健康状態の変化に気付きにくくなることで、病状の重症化や孤独死に至るケースも増加。さらに、近隣住民との関係性が希薄になることで、災害時に支援を受けにくい状況も生まれています。

このようなコミュニティの希薄化は、医療・介護や地域福祉、さらには災害対応にも影響を及ぼし、社会全体のレジリエンスを左右する課題となっています。こうした状況を受け、日本では政府、企業、地域社会が連携し、新たなコミュニティづくりに向けた取り組みを加速させています。

進化する団地

日本を代表する集合住宅である「団地」は、法的な定義こそありませんが、多くは戦後の住宅不足を背景に、公的機関や自治体によって整備された集合住宅群を指します。手頃な家賃や、公園、商店街などを備えた住環境を背景に、高度成長期には多くの子育て世代が暮らし、住民同士の交流も盛んでした。

一方、当時の子供世代が独立し、団地にとどまる親世代の高齢化が進んだことで、現在ではコミュニティの維持が大きな課題となっています。そのため、団地内に新たな交流の場を創出し、住民同士のつながりを再生する取り組みが各地で進められています。

その一例が、千葉市の花見川団地で進められている地域活性化プロジェクトです。良品計画、MUJI HOUSE、独立行政法人都市再生機構(UR都市機構)が連携し、団地内にある「商店街に人が滞留できる場づくり」を目的に、芝生や外構を整備するとともに、ベンチやテーブルなどを設置。また、無印良品による店舗やカフェの開設、定期的なマルシェの開催を通じ、団地内外の人々が自然に交流できる機会を創出しています。

さらに、自動運転モビリティ「GACHA」の実証実験も進められており、高齢者の外出機会を増やすとともに、新たなコミュニティ形成や地域活性化につなげることを目指しています。

シェアハウスの広がり

都市部へ移り住み、一人暮らしをする若者世代においても、地域社会とのつながりが希薄になる傾向がみられます。SNSやデジタルアプリが普及する一方、対面で人と交流する時間は過去30年で40%以上減少。東京都心で一人暮らしをする20〜30代の4割以上が孤独や寂しさを感じており、そのうち45%はプライベートで人と会う機会が週1回未満であるという調査結果もあります。

こうした背景から、日本ではこれまで一般的でなかったシェアハウスやコリビングへの関心が高まり、複数人で暮らすことにより、孤独感の軽減に加え、高騰する家賃負担の軽減にもつながっています。共同生活に伴う不便さはあるものの、シェアハウスでの生活に満足している人は約70%に上り、多くの入居者がデメリットを上回る価値を感じています。

こうした需要を背景に、近年では野村不動産、三井不動産レジデンシャル、大和ハウスグループなどの大手デベロッパーもシェアハウス事業に本格的に参入しています。

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自治体による地域活性化の再構築

各地の自治体も、地域コミュニティの再生に向けた独自の取り組みが進められています。

東京都港区では、地域で活動する企業や福祉団体などを、地域コミュニティを支える主体として位置付け、住民が地域社会へ参加しやすい環境づくりを進めています。チャレンジコミュニティ大学や芝BeeBee’sプロジェクト、赤坂・青山子ども共育事業、港区町会・自治会まるごとデジタル支援事業など、多様な世代が参加しやすい幅広い活動を展開し、新たな地域のつながりを生み出しています。

リジリエンスの基盤となるコミュニティ

単身世帯の増加や高齢化が進む都市部では、地域コミュニティの再構築は、人々の健康や生活の質を高めるだけでなく、災害時の迅速な支援や地域福祉の充実にも直結する重要な課題です。地域コミュニティのレジリエンス強化は、世界経済フォーラムのアーバントランスフォーメーション部門においても主要なテーマの一つとして位置付けられています。

人口構造が大きく変化する中、日本では官民が連携し、人と人とのつながりを再構築する新たな取り組みが広がっています。こうしたコミュニティづくりは、社会的孤立への対応だけでなく、災害や高齢化といった複合的な課題に対応するレジリエントな都市づくりにもつながります。日本の取り組みは、同様の課題に直面する世界の都市にとっても、有益な示唆を提供するものとなるでしょう。

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この記事は著者の意見を反映したものであり、世界経済フォーラムの主張によるものではありません。

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進化する団地シェアハウスの広がり自治体による地域活性化の再構築リジリエンスの基盤となるコミュニティ
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