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食料安全保障は協力があってこそ〜私たちが今やるべきこと〜

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イノベーションと協力は、世界の食料システムの未来と食料安全保障を確保するための鍵となります。 Image: REUTERS/Naseem Zeitoon

Mansour AlMulla
Deputy Group Chief Executive Officer, ADQ
  • 世界の温室効果ガス排出量の3分の1は、食品産業に関連しています。
  • 排出量を削減と食料安全保障の確保に向けたフードシステムの革新には、152億ドルの資金不足が生じています。
  • 官民両セクター、そして個人の協力があってこそ、持続可能で安全なグローバル・フードシステムを構築することができます。

グローバル・フードシステム(世界的な食料システム)は、気候変動の影響からサプライチェーンの混乱に至るまで、世界的に前例のない課題に直面しています。同時に、グローバル・フードシステムは、世界の温室効果ガス排出量の約3分の1を占めており、世界的な持続可能性のニーズを満たしていません。

一方、フードシステムの変革にはコストがかかります。世界経済フォーラムの見積もりによると、フードシステムの革新における資金は152億ドルも不足。増え続ける人口に食料を供給する必要がある中、世界各国にとって重大なリスクとなります。

食料安全保障は、政府だけで達成できるものではありません。レジリエント(強靭)なグローバル・フードシステムを構築するには、経済界の幅広いステークホルダーを巻き込んだ総合的な取り組みが必要です。政府機関から民間団体、さらには個々の消費者にわたり、それぞれが現代のフードシステムが抱える複雑な問題に効果的に対処し、より持続可能な未来に向けて取り組むことが重要なのです。

食料安全保障の未来構築における官民両セクター、そして個人の役割について知っておくべきことをまとめました。

政府 - 変革の礎を築く

複雑なグローバル・フード・システムの舵取りをリードは、政府と公共部門がしなければなりません。また、その責任は政府以外にも問われます。持続不可能な慣行や消費パターンと決別するために、経済のその他の層全体にわたる大々的な変革を促進することが成功の鍵となります。

これは、さまざまな形で実現することができます。農業の研究やイノベーションに補助金を出すことで変化を促すこと。食料生産や貯蔵のための最新鋭の施設に的を絞った投資及び奨励を行うこと。さらに、ビッグデータを活用した個別化栄養管理などの画期的なアプローチを戦略的に推進することなど、さまざまなアプローチが可能なのです。

こうした取り組みによって、すでに前進を遂げている国もあります。例えば、世界第3位のコメの生産国であるバングラデシュは、気候変動に強いコメの品種の導入に成功しました。インド政府は、2023年に世界最大の穀物貯蔵計画を発表。さらに、ブラジルは、政府によるイノベーション加速の取り組みにより、農産物の主要輸出国のひとつに浮上しています。

ビジネスセクター - イノベーションを触媒する

ビジネスセクターが関与すべきタイミングは、採用の段階です。企業はイノベーションを受け入れ、政府が掲げる目標を実現するために資本の投入が必要になります。通常、これは、現状に挑み、ビジネスにおいて長期的な視点を踏まえた比較的高リスクの決断を下すことを意味します。

成功例として、チリのリンゴ園における収穫ロボットの導入が挙げられます。これは、AIを活用した精密農業技術が同国で基盤を築き始めていることによるものです。砂漠気候により、歴史的に食料の多くを輸入してきたアラブ首長国連邦においては、大規模な屋内農業団地が革新的なコンセプトや技術の実験場となっています。そうした中、垂直農法や水耕栽培によって、地元において生産・消費される野菜及び果物の割合が増えています。

このような進歩には、官民のパートナーシップの構築が重要な役割を果たしています。アラブ首長国連邦政府が2019年に開始した食料安全保障コンペティションである、フードテック・チャレンジ(FoodTech Challenge)のような取り組みは、最も革新的な農業ソリューションに賞金、起業奨励金、イノベーション助成金を授与するもので、有望な技術を前進させる後押しします。シームレスな農業サプライチェーンをサポートするためのブロックチェーン技術の採用など、いくつかの受賞技術は現在、中東やその他の地域で試行されています。

個人 - 持続可能な選択を支持する

食料安全保障の責任は、私たち一人ひとりにあります。世界中で生産される全食品の3分の1が、ライフサイクル全体を通じて損失または廃棄されており、その量は年間約13億トン、約1兆ドルにのぼると推定されています。消費者は意識的な選択をすることで、日常的な食品廃棄の防止に大きく貢献することが可能です。意識的な消費から、地元にて生産された商品の購入、家庭における廃棄物削減、そして持続可能な慣行を広めるための提唱まで、その貢献は多岐にわたります。

こうした取り組みは、多くの国において政府及びNGOが支援しています。アラブ首長国連邦の「国家食品ロス・廃棄イニシアティブ(National Food Loss and Waste Initiative)」であるNe'maは、2030年までに国内の食品廃棄物を半減させるという目標を掲げています。Ne'maは、地域のエコシステム全体で著名な組織と提携。これにより、大きな規模で食料安全保障を育み、この目標を支援するプロジェクトを推進する際に、個人の貢献が果たす役割の認識を高めています。

最終的に、よりレジリエントなグローバル・フードシステムを構築するためには、包括的かつ複数のステークホルダーを巻き込むアプローチが必要です。食料不安の根本原因への取り組みに向けて協力・調整することにより、政府、民間セクター、そして個人レベルにおいて、安全かつ栄養価の高い食料が誰にでも手に入る世界に向けて、具体的な一歩を踏み出すことができるのです。

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政府 - 変革の礎を築くビジネスセクター - イノベーションを触媒する個人 - 持続可能な選択を支持する

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