気候変動対策

2026年夏の猛暑に備える、日本の取り組みとは

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日本をはじめとする国々は、極端な暑さに適応しながら暮らしていく方法を模索しています。 Image: Unsplash/GiorgiaRomiti

Naoko Tochibayashi
Communications Lead, Japan, World Economic Forum
  • 猛暑は世界的にますます深刻な課題となっており、2026年も平年を上回る気温が予測されています。
  • 日本では、地政学的な変化によるエネルギー供給不安も踏まえ、官民が連携して新たな暑さ対策を進めています。
  • こうした取り組みは、極端な暑さに適応しながら、気候リスクへのレジリエンスを強化する社会のあり方を示しています。

気候変動による気温上昇が深刻化しています。気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」によると、2023年から2025年は観測史上最も暑い3年間となりました。この3年間の平均気温は、産業革命前と比べて平均で初めて1.5℃を上回り、温暖化による深刻な影響の拡大が懸念されています。

こうした中、日本では2026年4月、気象庁が40℃を超える日を指す新たな名称として「酷暑日」を導入しました。同名称の決定にあたり、気象庁は一般向けのアンケートと専門家へのヒアリングを実施し、「酷暑日」が採用されました。

日本で暑さに関する新たな気象用語が導入されたのは、2007年の「猛暑日(35℃以上の日)」以来です。「酷暑日」は、日本気象協会が2022年から使用していた表現ですが、気象庁は「顕著な高温への警戒を効果的に呼びかける」目的で、今回正式に採用しました。こうした動きは、地球温暖化と気候リスクの深刻化を改めて浮き彫りにしています。

2026年は世界的に平年を上回る気温が予測されており、日本も例外ではありません。さらに、中東情勢によるエネルギー供給不安も重なり、猛暑による健康被害や生産性低下への懸念が高まっています。こうした状況を受け、日本では政府、企業、地域社会が連携し、猛暑への予防的対応を加速させています。

エアコン使用の支援策

日本の夏は気温だけでなく湿度も高い「高温多湿」の環境となります。そのため、汗が蒸発しにくく、熱中症リスクが高まりやすいことで知られています。こうした中、エアコンの適切な使用は、単なる快適性の向上ではなく、人命を守るための重要な対策となっています。

経済産業省は2026年5月、夏のピーク時に必要な電力供給を確保した上で、節電要請を3年連続で見送ることを発表しました。中東情勢による燃料調達への懸念が高まる中でも、石油火力への依存度は限定的であり、液化天然ガス(LNG)などを活用することで、夏場の電力需要に対応できるとしています。また、省エネ家電の普及促進などを通じ、効率的な電力利用も進めています。

東京都は、熱中症対策の支援として、夏季4か月間の水道料金無償化を発表しました。対象は、都内の一般家庭約800万世帯で、一世帯あたり月約5,000円の負担軽減につながります。熱中症の多くが室内で起きていることや物価の高騰を踏まえ、光熱水費の負担を軽減することで、家庭でエアコン使用をためらわない環境づくりを目指しています。

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暑熱順化の推進

近年、日本では本格的な夏を迎える前に体を暑さに慣らす「暑熱順化」の重要性も広く呼びかけられています。人間の体は急激な暑さにすぐに適応できるわけではなく、十分に暑さに慣れていない状態では熱中症リスクが高まります。

そのため、軽い運動や入浴などを通じて発汗機能を高め、暑さに適応しやすい身体づくりを行う取り組みが推進されています。現在では、多くの自治体企業メディアが暑熱順化の方法や重要性を発信しており、夏のピークに向けた暑熱耐性向上への認知が広がっています。

企業による対策と新たな市場の拡大

2025年6月に職場での熱中症対策が義務化されて以降、企業でもさまざまな取り組みが進んでいます。その結果、2025年の職場における熱中症による死亡者数は、前年比で半減しました。

同時に、熱中症対策サービス市場も急速に拡大しています。その一例が、サントリーによる法人専用熱中症対策サービスです。プロ仕様の熱中症対策飲料の提供に加え、自動販売機を通じた飲料アクセスの向上、安全教育や熱中症セミナーなどを組み合わせ、高温環境下で働く人々を支援しています。

また、ダイキンは一般社団法人渋谷未来デザイン、大阪大学と連携し、「SHIBUYA GREEN SHIFT PROJECT」を展開。クールスポット設置、省エネ型ビルマネジメント、熱中症対策マップの作成などを実証的に進めています。官民と地域社会が連携し、「酷暑適応化」社会の実装を目指す先進的な取り組みとして注目されています。

命を守り、社会のレジリエンスを強化する猛暑対策

温暖化が進む中、猛暑対策はもはや単なる快適性向上のためではなく、人命を守り、社会機能を維持するための重要な課題となっています。日本で進む官民連携による取り組みは、命を守りながら社会機能を維持する「酷暑適応型社会」のあり方を示すモデルケースとして、今後さらに注目を集めていくでしょう。

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