パンデミックからの回復における「日本の視点:『実践知』を活かす新たな成長モデルの構築に向けて」

発行済み
2021年01月21日
2021
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世界経済フォーラム パブリック・エンゲージメント・リード 栃林直子
Tel.: +81-(0)3-3560-6093 Naoko.Tochibayashi@weforum.org

  • パンデミック後の世界をより持続可能性(サステナビリティ)、包摂性(インクルーシビティ)、復元力(レジリエンス)を備えたものにするために、、日本はより建設的で積極的、そして重要な役割を果たすべきであると、日本リージョナルアクショングループの議論をもとにまとめられた本報告書は提案しています。
  • 1月25日から29日にかけてオンライン開催されるダボス・アジェンダの期間中には、本報告書に基づいたセッションが開かれる予定です。
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2021121日、東京 – 新型コロナウイルス感染拡大を受け、世界経済フォーラムはより持続可能性とレジリエンスを備えた人類社会を構築するための取り組みを進めています。世界経済フォーラムに参画しているリーダーで形成された日本リージョナルアクショングループ(RAGJ)はコロナ禍への対応やポストコロナ時代に世界が目指すべき姿などについての定期的な対話を実施し、この度その議論をもとに、「日本の視点:『実践知』を活かす新たな成長モデルの構築に向けて」と題した報告書が発表されました。

本報告書は、日本が意識、企業文化、経済、グローバルな連携・協力という4本の「柱」を通して持続可能性、包摂性、レジリエンスを具備する均整のとれた未来志向型の社会を構築していくべきだと提案しています。同時に、日本のリーダーたちは長きにわたり実践されてきた日本の「実践知」ともいえるステークホルダー資本主義、持続可能なビジネスモデル、災害に対するレジリエンス、自然環境との共生に通じる価値観を活かしていくことができるとも述べています。

「新型コロナウイルス感染拡大の危機がもたらした多くの直接的被害に同時に対応していく上で、グローバル規模でのステークホルダーの連携・協力が喫緊の課題となっています。日本のリーダーたちが力を合わせ、世界をより良いものにしていくために、日本、そして国際社会に必要な物事を提案することは、世界経済フォーラムにとって大きな意義があります。本報告書で述べられている日本の視点は、ポストコロナの未来において私たちを導く新しいビジョンの提案を求める世界経済フォーラムの呼びかけにこたえ、いち早く寄せられたものです」と、世界経済フォーラム日本代表、江田麻季子は述べています。

「現在の危機により、社会のあらゆる側面の現状の再考が求められています。同時にこの危機は、より良い世界の再建を加速させるユニークな機会をもたらしてもいます」と、RAGJのディスカッションにおいてサポーター役を務めたデロイト トーマツ コンサルティング合同会社のパートナー兼チーフストラテジストである邉見伸弘氏は述べています。さらに彼は、「日本のリーダーたちはこの流れを機会ととらえ、世界各国の国民やコミュニティとの関わりを深めつつ、社会への永続的なインパクトの創出に取り組んでいます。本報告書がポストコロナの未来の形成を支える「グレート・リセット」実現のきっかけとなればと願っています」とも付け加えています。

本報告書は、以下の4つの分野をリセットする取り組みにおいて、日本がその「実践知」を活かしていくことを提案しています:

意識:持続可能性や気候変動といった構造的な問題に対処するには、そのうち時が解決するだろうという希望的観測を捨て、より現実的に取り組まなければなりません。ここには大きな意識の改革が必要で、次の3点がポイントとなります。政府、民間、国民の間でより大きな危機感を共有すること、国民の信頼を得るように永続的でインパクトのある変革を加速すること、そして既存の課題解決に即急に取り組むことによって、日本の新時代の幕を開けていこうとする意識です。

企業文化:企業リーダーには、自らのビジネスのあり方を変革することが求められています。自社の成功にだけ注力するのではなく、事業を通じた共通善への貢献に注意を向けなくてはいけません。この分野については、長期的な価値創出を重視する真にパーパス志向のビジネスを育てる、「デジタルリープフロッグ」によって新たな地域社会・環境ソリューションを提供する、ダイバーシティ&インクルージョン推進によってリーダーシップを再活性化するという3つのステップが提案されています。

経済:株主資本主義からステークホルダー資本主義へ、経済システム全体の変革を進める必要があります。この変革を支えるのは、経済的成功のあり方を再定義する、シェアホールダーとステークホルダーのバランスを図り、経済の焦点を捉えなおす、投資家の関心を短期的なリターンの追求ではなく長期的な価値創造に向けるという3つの方策です。

グローバルな連携・協力のフレームワーク:日本は、ルールフォロワー(ルールを順守する役)という伝統的な役割から脱却し、ルールシェイパー(ルール・メイキングの環境づくり役)となってグローバル規模での連携・協力の基盤を再構築していかなければなりません。これは、既存のルールの調整・最適化を通し新たな協力の時代を創造する、グローバル貿易システムを再構築する、様々な分野の多国間連携・協力において重要な仲介役を務めるという3つのアプローチにより実現できます。

ダボス・アジェンダについて
ダボス・アジェンダは、2021年に求められる原則、政策、パートナーシップを形成するために信頼を再構築することを目指し、世界のリーダーたちが結集する先駆的な場となります。パンデミック(世界的大流行)を食い止め、年間を通じて力強い回復を実現する上で、革新的かつ大胆な解決策を選択するリーダーたちを支援することを目的とし、一週間にわたりグローバルなプログラムを展開します。5つのテーマに沿った約100のセッションに、各国首脳、CEO、市民社会のリーダーたち、グローバル・メディアが積極的に参加します。メディア登録はこちらから

世界経済フォーラムは、世界官民両セクターの協力を通じて、世界の現状の改善に取り組むことを目的とする国際機関です。1971年に設立された同フォーラムは、政府、ビジネス界、学術界および市民社会の第一線で活躍するトップリーダーと連携し、世界をより良くすることを目的に様々な活動を行っています。(www.weforum.org)

すべての意見は、著者によるものです。世界経済フォーラムは、独立かつ中立なプラットホームとして、​グーロバル、地域、産業のアジェンダを形成する話題に関わる議論の場を提供しています。

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