データガバナンス
デジタル経済を活性化させる源はデータです。ただ、その取扱いルールは国ごとに多様で、ときに国境を越えたデータ流通の障壁となり、社会全体の利益が損なわれる場合があります。しかし、国際的なデータ流通について、プライバシー、セキュリティ、アクセス権限などあらゆる側面から、マルチステークホルダーで討議する場は、存在しませんでした。
日本センターは、2018年11月に「データポリシー・ダイアログ」を主催し、データガバナンスこそ第四次産業革命の最重要課題と位置づけるべきと提唱しました。
2019年1月にダボスで開催された年次総会では、データ流通を促進するための骨格として「信頼性のある自由なデータ取引(Data Free Flow with Trust, DFFT)」を日本から提示しました('Defeatism about Japan is now defeated': Read Abe's Davos speech in full, 2019年1月23日)。同年6月、日本が議長国を務めたG20大阪サミットで「大阪トラック」が立ち上げられ、データ流通に関わる最初の国際的なイニシアチブが誕生しました。
現在、3つの柱を立てて、データガバナンスの検討と実装を進めています。①国境を越えた自由なデータ流通(Cross Border Data Flows)、②個人・企業・都市間の自由なデータ取引市場(Data for Common Purpose Initiative, DCPI)、③規制・ルールのアップデートによる信頼の再設計(Governance Innovation)です。
2020年にダボスで開催された年次総会でもセッション「Building Trust in Data Flows」を実施しました(Building Trust in Data Flows, 2020年1月23日)。同年6月には、世界中の企業、国際機関、学術界のリーダーたちとともに、政策立案者や企業が利用できる手法を綿密にまとめ、白書「DFFT:自由かつ信頼しうるデータフローへの道筋」を発行し、目標達成に向けた枠組みの提言を行いました。同年8月、DCPIが始動し、グローバル・コミュニティを形成しつつ、データ取引・データ流通市場についての実用的なモデルの設計を推進しています。