COVID-19

CEOたちから学ぶ教訓:新型コロナウイルスの危機を生き抜くリーダーシップ

新型コロナウイルスの危機が勢いを増す中、CEOたちが何よりも重視する必要があった従業員と顧客の安全

新型コロナウイルスの危機が勢いを増す中、CEOたちが何よりも重視する必要があった従業員と顧客の安全 Image: REUTERS/Ivan Alvarado

Rick Eagar
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  • リーダーたちの多くは、自社の危機管理フレームワークが、新型コロナウイルス感染拡大による影響にレジリエントに対応するには不十分で、柔軟性に欠け、時代遅れであったことを認識しています。
  • ポストコロナ時代の計画にあたって、CEOたちはシナリオベースのアプローチをとる必要があります。
  • このパンデミックは、永久に消えない爪痕を残し、多くの産業に混乱をもたらすでしょう。

新型コロナウイルス大流行からの回復への道のりは、依然として不透明です。多くの制約が課せられる期間が長引き、最初の回復フェーズを経てもビジネスが「通常の状態」に戻ることはないというのが共通した見解です。

このパンデミックは、永久に消えない爪痕を残すでしょう。それは、回復に時間がかかるとみられる世界的な景気後退の深刻さという点においてだけでなく、多くの産業に大きな混乱をもたらし、深刻な課題と共に新しい機会をもたらしているという意味においてもです。

危機が迫り始めたころから、アーサー・D・リトルの経営コンサルタントたちは、25回に及ぶ1時間のバーチャルミーティング、オンライン調査、対話を通じ、同社のCEOのネットワークとの意見交換を始めました。これらのミーティングの中で、CEOたちはみずからの体験を振り返り、将来に向けた洞察を共有しました。

今後、ビジネスにおけるレジリエンス管理のアプローチは、「感知と対応」においてよりダイナミック、そしてよりスマートでなければならない、という共通の見解が示されました。

リック・イーガー

展開する危機

CEOたちが、各地域および世界全体の経済を破壊した大きな混乱と折り合いをつける中で、まず必要だったことは、日々起こっていることをただ理解することでした。

危機が勢いを増すにつれ、CEOたちはまず何よりも従業員と顧客の安全を第一に考える必要がありました。経営の安定性や資金管理に目を向けられるようになったのはその後でした。

私たちがネットワークを持つCEOたちは、迅速に、かつ決断力を持って行動すること、完全な情報が得られない最悪の事態を想定すること、そして、段階的、部分的な解決策を回避することの重要性を強調しています。彼らは、より迅速な意思決定のための権限委譲の促進の重要性、ほぼすべての時間を(特にスタッフとの)コミュニケーションにあてる必要性、サプライヤーやパートナー、政府、労働組合、コミュニティとの関わりの重要性について話し合いました。

この危機に関して、CEOたちを最も驚かせたのは以下の事実です。

1. さまざまな地域から信頼できる情報、インテリジェンスを得ることの難しさ

2. 一部の危機管理計画では間に合わないほどの危機の速度

3. あらゆる種類の計画において、パートナーエコシステム全体が十分に考慮されていないという実情

多くのCEOが、自社の危機管理フレームワークが不十分で、柔軟性に欠け、時代遅れであることに気づき、将来を考えた時、ビジネスにおけるレジリエンス管理のアプローチは「感知と対応」においてよりダイナミックかつよりスマートでなければならない、という見解を共有しました。

将来の展望

危機の真っ只中にあっては、戦略的ビジョンと「新たな世界への準備」はCEOたちの関心事の中で最も優先順位の低いものでした。しかし、今や一部の国はロックダウンの制限解除に向け慎重に歩みを進めており、危機後の未来に向けた準備はアジェンダのトップに位置しています。

ポストコロナの世界の姿について、アーサー・D・リトルのビジネスネットワークでは、不確実性に関する以下のような希望や意見の一致がみられました。

  • 政府は産業により深く関わるようになるでしょう。公益事業、旅行、医療などの重要なインフラ分野においてはそれが顕著になると考えられます。政府の関与が増すということは、規制も強化されることを意味します。
  • 多くの人がグローバルサプライチェーンの再ローカル化を求め、これまで、止められないほどの勢いで進んできたグローバリゼーションに対抗するようになるでしょう。国や大企業はより技術的な主権の獲得、他者への依存度の低減、世界規模のショックに対する事業のレジリエンス向上を目指すようになるでしょう。
  • 電子商取引、バーチャルネットワーキング、ロボット化などを含む、特に人との接触を減らせる事業活動を可能にする、デジタル技術の採用が大幅に加速すると考えられます。

しかし、これらの動向がどのように進んでいくかということについては、大きな不確実性があります。例えば、物理的な交流が激減する世界を人々は進んで受け入れることができるのでしょうか?さらなるデジタル化のため、データプライバシーに関する権利を放棄する準備はどの程度できているのでしょうか?

また、気候変動が政策と行動、そして地域社会の持続可能性とより広範な地政学的課題にもたらす影響も未知数な部分が多いといえます。

一部の産業、特に広い意味でインフラに含まれる産業にとっては、この危機は成長の原動力のひとつでもあります。もちろん、多くの業種にとって、未来はとても厳しいものになるでしょう。しかし、これらの大きな打撃を受けた産業であっても、究極的には次のような新しいチャンスがあります。

  • 航空産業は大規模な構造的変革を強いられることになるでしょう。しかしそれにより、「アセットライト」や「アズ・ア・サービス」ビジネスモデルといった新しい機会がバリューチェーンのプレイヤーにもたらされるでしょう。
  • 自動車産業においては、この市場規模に対する破壊的効果が、電化、デジタル化、新しいオーナーシップ・ビジネスモデルのタイミングなど、重要な戦略的意思決定に影響を及ぼす可能性があります。
  • 石油およびガス産業では、この危機がよりクリーンなエネルギー源、製品、サービス提供への移行を加速化させるでしょう。
  • 化学製品分野では、各企業がデジタル技術を活用した新しいビジネスモデルを適用し、技術と産業の融合の機会を捉えようと舵を取ることが考えられます。
  • 消費財では、消費者の行動が変化する中、新しいブランド、カテゴリー、そしてサービスの関連性を高め、足場を固める機会がもたらされるでしょう。

すべての分野において、CEOたちは、ポストコロナ時代の計画を立てるにあたってシナリオベースのアプローチを取っていく必要があります。以下が、考慮すべきポイントです。

  • 自社に有利となるシナリオと成果をどのように生み出すことができるか?
  • どのようにしたら、最も確かなものを最大限活用できるか?
  • 機会が生じた時に大胆に行動できるようにするための戦略的オプションは何か?
  • 望ましくないシナリオが展開した時に、身を守るための戦略的な保険は何か?

現在も未来の見通しは恐ろしい姿のままですが、どんな危機もチャンスを伴ってやってきます。そして、新型コロナウイルス大流行がもたらした遺産のひとつは、社会、ビジネス、経済にメリットをもたらすコラボレーション、つながり、そしてコミュニティの新しい精神なのかもしれません。

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2022年4月12日

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