Health and Healthcare Systems

新型コロナウイルスの流行中の自宅学習が教育のあり方を永遠に変える可能性

Education may never be the same again, thanks to the ongoing COVID-19 pandemic.

教育の進化は、止まらない新型コロナウイルスの大流行がもたらす思わぬ恩恵になるかもしれない Image: REUTERS/Lindsey Wasson

Douglas Broom
Senior Writer, Forum Agenda
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  • 子どもたちが新型コロナウイルスの危機によって自宅学習を強いられていることは、私たちの教育へのアプローチを変えつつあります。
  • 専門家は、このウイルスの大流行の中で教師が活用するイノベーションが、長期的に変化をもたらし、将来的にテクノロジーが学校においてさらに大きな役割を果たすことになると確信しています。
  • しかし、eラーニングの進歩の陰に、教育的に不利な条件に置かれた人たちが取り残されるようなことがあってはなりません。

新型コロナウイルスの蔓延から身を守るため、世界の100か国以上で学校が閉鎖され、10億人の近くの子どもたちの教育に影響を与えています。幸運な子どもたちは、学校での授業の代わりに自宅で学習することができます。

世界の一部の地域では、子どもたちの教育をできる限り継続させることは、親の手に委ねられることになるでしょう。しかし、自宅で過ごす子どもたちに授業を提供するためのデジタル技術の活用はますます広まっています。

パンデミックの影響で学校が閉鎖されるまでは、家庭で授業を受けている子どもはほんの少数でした。アメリカでは、全米5660万人の生徒人口のうち、ホームスクーリングをしているとされていた子どもたちは推定170万人でした。

The estimated number of home schooled children in the United States 1999-2016.
アメリカでホームスクーリングをする子どもの推定数(1999年~2016年) Image: NCES/Statista

しかし今や、状況は一変しました。世界中の学校が、マイクロソフトやグーグルなどの既存のプラットホーム、そしてZoomなどの会議アプリを使用して、生徒が授業を提供しています。イギリスでは、フィットネスインストラクターのジョー・ウィック氏が提供するバーチャルでの体育の授業が、絶大な人気を集めています。


一方、フランスは、ノートパソコンやスマートフォンなどのデバイスからアクセスできるMa classe à la maison(家での授業)」を作成し、経済協力開発機構(OECD)が「承認済教育コンテンツ」としている4週間のコースで提供します。

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教育革命?

OECDはテクノロジーが対面教育に取って代わっていく様子を追跡しています。「物理的にある学校を単にデジタルに置き換えることを超えた、まったく新しい方法が生まれるのを見るのはとても刺激的です」と、OECD教育・スキル局のトレーシー・バーンズ氏は話します。

日本では、民間企業が政府のデジタルプラットフォームを利用して、学校閉鎖により在宅学習を強いられている子どもたちに無料のオンラインコースを提供。生徒と保護者が学ぶ内容を選択できるようになっています。

「閉鎖される学校が増える中、私たちは身体的、心理的、そして学業の面において最も弱い立場にある子どもたちに特別な注意を払わなければなりません」と、バーンズ氏は続けます。「すべての対応は、教育的・社会的不平等の深化を避けることを念頭に置いて、策定されなければなりません」。

「システムがeラーニングへ大きく移行することで、接続性、デバイスへのアクセス、スキルレベルにおけるデジタル・ディバイドがさらにより重要になってきます」。

バーンズ氏は、実際の学校が、今すぐにeラーニングに取って代わられると考えるのは時期尚早であると言いますが、OECD教育・スキル局長のアンドレア・シュライヒャー氏は、この危機を、教育を進めていく方法を再考する機会だと捉えています。

シュライヒャー氏は、学校と教師はもはや「知識提供システム」とみなされるべきではなく、教師は、自分たちが何をどのように教えるのかについて、より大きな権限を与えられるべきであると主張しています。

教師への権限委譲

「教師や教育指導者にはそれを実現する能力や専門知識がないので、これまで以上の自主性を与えることはできない、と言う人に多く出会います」と、シュライヒャー氏は付け加えます。「しかし、調理済みのハンバーガーを温め直すことだけを求められている人たちが、マスターシェフになれる可能性はほとんどありません」。

「教育に対する現在の規範的アプローチを単にこのまま続けていては、この危機を耐え抜くことはできません。この危機において、教師は、彼らの授業を他の媒体で再現するだけでなく、学ぶ内容、方法、場所、時間に関して全く新しい対応の導入を求めています」。

OECDが実施した、国際教員指導環境調査「TALIS」の結果を引き合いに出しながら、シュライヒャー氏は、テクノロジーは教室でより大きな役割を果たすべきだと話します。「テクノロジーは教え方や学習方法を変えるだけでなく、教師の役割を、学んだ知識を分け与える役割から知識を共につくっていく役割へと、高めることもできるのです」。

この調査では、世界中の教師から、教室でのデジタル技術不足が学習の妨げとなっているという回答が寄せられています。また、プロジェクトや授業で生徒にコンピュータを使わせることができた教師は全体の半数を少し超える程度でした。

さらに、テクノロジーの使用における専門的な開発トレーニングを受けたことのある教師は60%に過ぎず、約20%がこの分野での開発が緊急に必要だと答えています。新型コロナウイルスのパンデミックにより教育がどのように進化していくかを垣間見えたことで、この状況は変わっていく可能性があります。新型コロナウイルスが終息し学校が再開されたとき、その姿は以前とは全く異なるものになっているのかもしれません。

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