仕事と働き方の未来

雇用主の85%が「従業員のリスキリングを優先する」に同意

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4人のCEOが、企業がリスキリングを優先してスキルギャップに対処し、誰もが恩恵を受けられるようにする方法を概説します。 Image: REUTERS/Henry Nicholls

Gurgen Tadevosyan
Specialist, Skills Initiatives, World Economic Forum
Neil Allison
Head of Education, Skills and Learning Mission, World Economic Forum
本稿は、以下会合の一部です。世界経済フォーラム年次総会2025
  • デジタルアクセスの拡大は産業を再構築し、自社のビジネスを再定義すると60%の雇用主が予想しています。
  • 『仕事の未来レポート2025』によると、AIなどのテクノロジーの進歩が重大な変化を引き起こすでしょう。
  • 4人のCEOが、企業がリスキリングを優先してスキルギャップに対処し、誰もが恩恵を受けられるようにする方法を概説します。

発表された『仕事の未来レポート2025』によると、デジタルアクセスの拡大は、産業を形作る最も変革的なマクロトレンドとなる見通しであり、雇用主の60%が2030年までに自社のビジネスが再定義されると予想しています。

AIと情報処理(86%)、ロボット工学とオートメーション(58%)、エネルギーの生成、貯蔵、分配(41%)などのテクノロジーの進歩は、大きな変化を引き起こすでしょう。

テクノロジー関連スキルの需要は、この変革の最前線にあり、AIとビッグデータ、ネットワークとサイバーセキュリティ、技術リテラシーが最も成長の速いスキルとして上位3つを占めると予測されています。

Top 10 fastest growing skills by 2030
2030年までに最も成長の速いスキルトップ10 Image: 世界経済フォーラム

しかし、進化の現状は、人間ならではの能力、すなわち創造性、批判的思考力、適応力に対する根強いニーズを浮き彫りにしています。これらのスキルは技術的専門知識を補完し、労働者がダイナミックな環境で活躍し、イノベーションや進歩に有意義な貢献をすることを可能にします。

リスキリングを戦略の一環として優先し、強力なリーダーシップと生涯学習の文化に支えられた組織は、将来の経済における課題に対処し、機会を捉える上でより有利な立場に立つことができます。

バランスのとれた技術力と人間力を育成することで、企業も個人も、すべての人々にとって包摂的かつ持続可能で豊かな未来を形作る上で、重要な役割を果たすことができます。

ここでは、4人のCEOが、企業がスキルギャップに対処するためにリスキリングを優先させる方法を示します。

スキルギャップがスキルキャズムに転じかねない

オマール・アボッシュ、ピアソンCEO

グローバル経済と社会はスキルによって動いています。しかし、私たちはスキルギャップを急速にスキルキャズムに転じさせる恐れのある2つの力に直面しています。AIは超高速で進化し、人間を追い越そうとしています。また、人口動態の変化により、必要なスキルを持つ専門家の供給不足が生じています。

当社の調査によると、米国だけでも、初めての就職活動中や、人員整理や配置転換により失業中であるなど、人々が収入の転換期にある場合に、年間1.1兆ドルの収入減が生じていることが明らかになっています。これは、米国の年間GDPの5%に当たります。

学校や職場にAIを活用した教育者や指導者がおり、学習体験があれば、現在および将来に必要なスキルと学習のアジリティを引き出すことができます。AIは現代人の脳に適応し、人々が個別化されたダイナミックで新しい方法で学習できるよう支援し、柔軟で人生を変えるような「学びながら稼ぐ」キャリアパスを開拓する可能性を秘めています。また、学習成果の質を評価し、追跡する強力なツールでもあります。

私の見るところ、AI時代とは協調を求める時代です。私たちが潜在能力を結集して学習を再構築することができれば、スキルギャップを抑制し、何百万人もの人々が潜在能力を発揮することができるようになり、地域社会や世界経済に必要とされる進歩をリードすることができるでしょう。

AIには未来のためのスキルインフラが必要

デブ・カップ、マイクロソフト・アメリカズ社長

AIは産業に革命をもたらし、新たな経済機会を生み出していますが、新しいAIテクノロジーを実用化するために、現在および将来の労働者に不可欠な能力を身に付けさせるスキル育成インフラが必要です。

当社とリンクトインの最新の『ワークトレンド指数』によると、66%のビジネスリーダーがAIスキルを持たない人材は採用しないと回答している一方で、現在、世界中でAIトレーニングを提供している企業はわずか25%にとどまっています。

当社は、世界中の人々をトレーニングし、AIリテラシーを向上させることに尽力しています。各国政府、地域組織、非営利団体とのパートナーシップを通じて、過去4年間で197カ国、1,410万人以上を対象にトレーニングと認定を行う、カスタマイズされたトレーニングプログラムを開発してきました。そして、さらに野心的な目標を設定しています。

最近発表された「AIスキルズ・ナビゲーター」では、AI搭載のアシスタントが、学習者の目標やスキルレベルに基づいて、適切なトレーニングリソースの検索を支援。これにより、世界中でさらに2,500万人の学習者を獲得することを目指しています。

AIは、仕事のあり方や将来の雇用を再構築しています。当社では、AI教育へのアクセスを民主化することで、誰もがAIがすべての人に機会をもたらす包摂的かつ持続可能な未来を築くことができると考えています。

AIは産業分野におけるスキルギャップの解消を約束

ヴィマル・カプール、ハネウェル会長兼CEO

自律への道筋には、産業が現在直面している最大の課題のいくつかに対処することが含まれます。その課題の一つがスキルギャップであり、AIがそれを解消することが約束されています。

オペレーターや技術者、プラントの維持や運営に必要な人材について考えてみましょう。熟練した経験豊富な従業員が退職し、その代わりとなる人材が十分に育っていないため、世界中でその数は急激に減少しています。その結果、産業部門のニーズを満たす、十分な経験を持つ人材が不足しています。

AIがスキルを向上させることで、この課題の解決に役立ちます。労働者をAIに置き換えるという話ではありません。そうではなく、AI搭載の携帯端末が、入社3~5年の従業員のパートナーやアドバイザーとなり、予測メンテナンスのサポートや、スキル向上のためのトレーニングや指導を提供することで、10年以上のベテラン社員と同等の業務遂行を可能にするのです。

これは、AIの可能性を示す現実世界の具体的な例の一つです。人々はよりスマートに働き、プロセスはより効率的に働き、資産を何よりも働かせるのです。2025年を迎えるにあたり、AIが産業オートメーションから産業オートノミーへの移行を促進し、この分野の成長と変革に不可欠な役割を果たすだろうと私は楽観視しています。

人口の大部分をリスキリングする取り組みの民主化が必要

セシリア・エレナ・ラウズ、ブルッキングス研究所所長

世界経済フォーラムは、今後10年間でテクノロジーが11億の雇用(現在の米国人口の約3倍)を変革し、世界的な労働力の抜本的な変革が必要になると予測しています。テクノロジーによるディスラプション(創造的破壊)は目新しいものではなく、これまでもPCやインターネットの登場が情報へのアクセスやコミュニケーションの方法を根本的に変えてきました。しかし、AIは違います。

人間の思考を拡張するこれまでのテクノロジーとは異なり、AIは思考の形成に積極的に協力し、特定の認知作業を完全に自動化することさえあるからです。この変化には、労働者がAIの進化する能力と限界の両方を理解できるよう支援することに重点を置いた、再教育のための革新的なアプローチが求められます。

人口の大部分をリスキリングするには、その取り組みを民主化し、あらゆる利用可能な手段を活用しなければなりません。4年制大学、コミュニティカレッジ、専門学校のほか、業界主導の研修、オンライン学習プラットフォーム、労働組合も重要です。

その成功は、学習の文脈における創造性や適応力だけでなく、判断力を養うことにもかかっています。判断力は少なくとも現時点では、私たちをAIと区別する人間特有の特性だからです。

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