地政学、紛争、外交について知っておくべきこと~年次総会2025~

「信頼の再構築」は、年次総会2025のサブテーマの一つです。
Image: REUTERS/Eduardo Munoz
- 「信頼の再構築」は、1月20日から24日までダボスで開催される世界経済フォーラム年次総会2025のサブテーマの一つです。
- 同会合では、「インテリジェント時代における連携」をテーマに、リーダーたちが一堂に会します。
- 年次総会開催中の最新情報はこちら。
複雑化し、変化のスピードが速まる世界において、社会の格差は深まり、地政学は多極化し、政策は保護主義へとシフトして、貿易と投資の両方を妨げています。
ダボスで開催されている世界経済フォーラムの年次総会では、一連のテーマ別セッションを通じて、世界のリーダーたちが国際社会および各国社会においてステークホルダーが解決策を見出すための新たな協力の方法について議論します。
世界経済フォーラム年次総会2025の地政学、紛争、外交に関する主なセッション
以下の時間はすべて中央ヨーロッパ時間(日本時間との時差: JST -8)です。
1月21日(火曜日)
09:30 - Africa's Momentum
13:00 - Japan Navigates Uncertainty
13:00 - Demystifying Industrial Policy
14:00 - Cooperation in a Divided World
15:00 - Diplomacy amid Disorder
17:30 - Peace through Strength
1月22日(水曜日)
09:00 - Emerging Economies Amid Shocks
11:30 - State of Play: AI Governance
14:00 - ASEAN: Even Stronger Together
1月23日(木曜日)
09:00 - Defending the Cyber Frontlines
10:15 - Ukraine: The Road Ahead
15:00 - Global Risks 2025
15:00 - Governments, Rewired
1月24日(金曜日)
10:15 - US-EU-China Triangle
知っておきたいレポートと発表
グローバルな協力体制は岐路に立っています。地政学的な緊張と不安の高まりにより全体的な協力関係は停滞している一方で、気候変動と自然資本、イノベーションとテクノロジー、ヘルスとウェルネスの各分野では前向きなモメンタムが見られ、希望が持てます。マッキンゼー・アンド・カンパニーの協力を得て作成された本レポートでは、貿易と資本、イノベーションとテクノロジー、気候変動と自然資本、ヘルスとウェルネス、平和と安全の5つの柱にわたって、グローバルな協力関係を広範に評価。進歩と停滞の分野を特定し、経済的不確実性、地政学的な分断、急速なテクノロジーの進歩に特徴づけられた世界における協力の複雑性を強調しています。
最高リスク責任者(CRO)を対象とした年次調査では、2年前には大きなリスクとは考えられていなかった国家間の武力紛争が、2025年には最も差し迫った重大な脅威となっていることが分かりました。政治的な分裂が深まり、保護主義が台頭し、信頼が弱まる世界において、社会内および国家間で分断化が進んでいるという感覚が強まっています。
- Artificial Intelligence for Efficiency, Sustainability and Inclusivity in TradeTech(トレードテックにおける効率性、持続可能性、包摂性実現のためのAI)
本レポートでは、サプライチェーン、ロジスティクス、貿易金融、税関およびコンプライアンスなど、貿易プロセス全体におけるAIの現在の応用例を挙げて、グローバル貿易におけるAIの変革的な役割を説明。国際貿易における効率性の向上、持続可能性の促進、インクルージョンの推進におけるテクノロジーの潜在的可能性、および課題とメリットを取り上げています。
- Open but Secure: Europe’s Path to Strategic Interdependence(オープンかつセキュア:欧州の戦略的相互依存への道)
欧州は今、大きな転換期を迎えています。世界のパワーバランスの変化、加速する気候危機、急速な技術革新は、欧州のレジリエンスに試練を与えています。本レポートでは、欧州が脆弱性と向き合い、新たなグローバル情勢における自らの役割を再構築する必要性について考察しています。
- Europe in the Intelligent Age: From Ideas to Action
(インテリジェント時代における欧州:アイデアからアクションへ)
本白書では、影響力に焦点を絞り、迅速かつ大規模に、欧州の競争力と投資環境を加速させるためのアイデアを提案しています。また、参入領域と勝つための方法を決定する戦略的選択、立ち上げを勢いづけるライトハウス(灯台=指針)・イニシアチブのリスト、欧州の起業家精神、革新、投資を活性化させるためのパブリックセクターによる10の「グランド・プロジェクト」を推奨しています。
- Resilience Pulse Check:Harnessing Collaboration to Navigate a Volatile World(レジリエンス・パルス・チェック:不安定な世界を乗り切るコラボレーションの活用)
グローバルな不安定さと複合的なリスクが深刻化する中、組織は複雑なマクロ経済および地政学的な力学に適応し続ける必要があります。本白書では、業界や地域を問わず250人以上のビジネスリーダーたちから得た洞察をもとに、企業が今日の課題に対応する方法について考察しています。
欧州グリーンディールのためのCEOアクショングループ:年次報告書- 1月23日
「信頼の再構築」について知っておくべきこと
インテリジェント時代を特徴づけるテクノロジーの変化のペースは、世界全体に、そして個人から組織、国家に至るあらゆるレベルで実感されています。
同時に、保護主義的な動きや世界的な大国間の競争の激化に象徴されるように、多極化へのシフトに伴い、地政学的および地経済的な緊張が高まっています。その結果、国際協力は岐路に立たされ、貿易と投資の両方を妨げています。
一方、デジタル経済が貿易の活性化においてますます重要な役割を果たしています。世界貿易機関(WTO)によると、デジタル配信サービスの価値は過去20年間で毎年8%以上増加。世界全体の貿易(商品および商業サービス)は毎年平均5.8%の割合で成長しています。
私たちが直面する最も差し迫った課題に対処するために「インテリジェント時代」のテクノロジーを活用するには、国際レベルから地域レベルまで、あらゆるレベルでの協力が必要となります。
多くの課題は相互に関連しており、革新的なソリューション、多額の投資、協調的な思考が求められます。これらの課題に最も効果的かつ公平な成果を確保するためには、世界中の多くのステークホルダーの協力が不可欠です。
世界経済フォーラムの『グローバル・コオペレーション・バロメーター』が示すように、今日の困難な状況下でも協力は可能です。同レポートの最新版では、気候変動と自然資本の課題関する協力関係が拡大していること、また、パンデミックへの対応として協力関係が急増していることが示されています。力を合わせて、より広範なレジリエンスを確保していく必要があるのです。
「信頼の再構築」についてさらに知る
- Trade and Values: Navigating the Intersection of Policy and Principles(貿易と価値観:政策と原則の交差点)
貿易政策は経済効率を超えて進化し、気候変動対策、人権、持続可能性といった非貿易目的(NTO)を反映するようになりました。これにより、市場アクセスを利用して自国の価値観に基づいて課題の解決を推進する各国が、ポジティブな変化と新たな課題をもたらしています。
- From Disruption to Opportunity: Strategies for Rewiring Global Value Chains(混乱から機会へ:グローバル・バリューチェーンの再構築戦略)
グローバル・バリューチェーンは、気候危機から地政学的な逆風、次世代テクノロジーに至るまで、さまざまな課題に直面し続けています。将来にわたって事業を確実に継続していくために、メーカーはサプライチェーンを再構築する最善の方法を決定する必要があります。
- Geopolitical Rivalry and Business: 10 Recommendations for Policy Design(地政学上の競争とビジネス:政策立案のための10の提言)
国境を越えた商取引に与える悪影響を最小限に抑えながら、地政学上の目標を達成するための政策をどのように策定すればよいでしょうか。そのためには、企業が利用することのできる選択肢や戦略に関するより深い理解が必要です。
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