世界経済フォーラムの取り組み

年次総会の前後の51週間に、起こっていること

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年次総会の1週間を除いた残りの51週間に起こること。それは、会合の影響と世界経済フォーラムの動きを加速させることです。 Image: REUTERS/Denis Balibouse

Gayle Markovitz
Head, Written and Audio Content, World Economic Forum
Elizabeth Mills
Writer, Forum Stories
本稿は、以下会合の一部です。世界経済フォーラム年次総会2025
  • 世界経済フォーラム年次総会では、300を超えるセッションで幅広いトピックを網羅するために、すぐには分かりにくく感じられることがあります。
  • 1年を通じたインパクトこそが、本会合と世界経済フォーラムの活動を形成します。
  • 2025年にダボスで開催される年次総会に向けて、近年の同会合で提起された主要なイニシアチブの一部をご紹介します。

世界経済フォーラム年次総会の一般公開プログラムは、視聴する多くの人にとってあまりに壮大なものに感じられるかもしれません。電気自動車のサプライチェーンからグローバルな債務負担、炭素価格設定から退職制度の再構築まで、多種多様なトピックをカバーする約300のセッションが開催されるため、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)やG20首脳会合と同様に、具体的なアウトカムを実感しにくいのも無理はありません。

年次総会の間には、合意やイニシアチブが発表され、誓約が交わされ、予測が提示されます。しかし、本会合および同フォーラムの影響力を加速させるのは、この1週間の間ではなく、残りの51週間の間に起こることなのです。

ダボスで開催される年次総会は、同フォーラムそのものと同様に、多くの要素の集合体です。変化を提唱するビジネスリーダーたち、イニシアチブをマネジメントするフォーラムの専門家たち、コミュニティを構成し、地域で活動する多くの個人など、年間を通じて世界中の何千人もの人々が努力を積み重ねることで、最終的に世界に変化をもたらす進歩が生まれます。現在の困難な地政学的環境、安全保障を取り巻く環境によって厳しさを増す障壁に直面しながらも、より良い変化をもたらすために全力を尽くすという思いで多くの人々が団結しています。

同フォーラムは、現在進行中のイニシアチブを数多く輩出しています。その中には、同フォーラムの中で専門チームが管理を続けるものもあれば、独自の展開を見せるものもあります。後者の好例が、ワクチン・アライアンス(Gavi)です。ワクチンにかかる費用が原因で低下した予防接種率を回復させるというアイデアから始まったこの取り組みは、25年を経て、世界の子供の半数以上にワクチン接種を行う国際的ネットワークに成長しました。

ダボスで開催される年次総会は、その50年以上の歴史の中で数多くのイニシアチブが立ち上がる様子を見届けてきました。近年最も印象に残る、そしてすでに大きな影響を与えているいくつかの例を以下に示します。

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GAEA

気候変動対策資金の確保という課題に取り組むGAEAは、この1年、「4Pアプローチ」、すなわち「官(Public)」、「民(Private)」、「慈善活動(Philanthropic)」の「連携(Partnerships)」の大切さについて、認知向上に努めてきました。従来の官民連携に慈善活動を組み込むことでよりダイナミックな活動を目指すこの取り組みは、新たな資金調達源を生み出すだけでなく、異なるマインドセットや専門知識の導入にも役立っています。

一般に、慈善団体は新しいアイデアを試すリスクやシード資本の提供に積極的です。このことが民間資本やパブリックセクターのパートナーを呼び込み、課題解決に向けた環境構築の基盤となります。

2025年の年次総会では、イニシアチブの設立以来積み上げてきた成功を記念する「GAEAアワード」が創設され、新たなマイルストーンに到達することになります。

サイバー犯罪アトラス・イニシアチブ

サイバー犯罪は、対象となるインターネットユーザーがいるところ、あらゆる場所に存在しています。サイバー犯罪に対処する上で大きな課題となるのは、広範にわたりながらも個々にばらばらなその性質です。通常、サイバー犯罪者は国境を越えて活動しますが、それらに対抗する措置は地域限定であることが多いものです。

この課題に対処するために登場したのが「サイバー犯罪アトラス」です。その名の通り、サイバー犯罪者のエコシステムをマッピングすることを目的とします。オープンソースの調査を活用し、同フォーラムのチームは世界中のサイバー犯罪グループの活動と構造を把握し、それらを崩壊させやすくしています。

ミッション・ポッシブル

ミッション・ポッシブル(2021年「ダボス・アジェンダ」ウィーク)

世界で最も脱炭素が困難な部門の脱炭素化は、政策立案者にとって大きな課題です。このセクターで大きな進展がなければ、ネットゼロ目標の達成は困難だからです。この点を踏まえ、同フォーラムは、10年以内に取り組みを大幅に強化しようとする気候変動対策のリーダーたちのアライアンス、「ミッション・ポッシブル・パートナーシップ」を立ち上げました。

現在、エネルギー転換委員会、RMI、ウィー・ミーン・ビジネス・コアリションの3団体とともに、炭素集約型産業のCEO、およびその資金提供者、サプライヤー、顧客を含むコミュニティを支援し、産業および輸送の脱炭素化に向けた合意形成を目指しています。

EDISONアライアンス

発電の祖である発明家であり実業家でもあったトーマス・エジソンの精神を受け継ぎ、EDISONアライアンスはデジタル経済への公平なアクセスを提供することを目指しています。

教育、金融包摂、健康に重点を置き、アカデミア、企業、市民社会、政策立案者と協力して、インターネットへのアクセス改善、データやスマートデバイスの低価格化、デジタルリテラシーの促進といった課題に取り組んでいます。

1t.org

1兆本の木(2020年)

このグローバルイニシアチブの目標は、その名の通り、世界中で1兆本の木を植えて森林を再生し、保護することです。活動は多くの国々で実施されており、特にカナダ、ヨーロッパ、メキシコ、米国など、森林の割合が高い地域に重点が置かれています。

森林は地球の健康にとって不可欠であり、炭素固定、地球の温度調節、地下水の涵養、洪水防止などに役立ちます。生物多様性の要素である森林を回復し、ひいては気候変動に対処することをねらいとしています。

リスキリング革命

私たちが生活し、仕事をする職場は、新興テクノロジーの急速な成長と発展によって特徴づけられる現代において、急激に変化しています。新たな機会が数多く生まれていますが、そのアクセスは平等ではなく、多くの人々が生活の危機に直面しています。

リスキリングとアップスキリング(技能向上)は、現在と将来の教育および雇用見通しにとって極めて重要です。このことを念頭に、2030年までに10億人の人々により良い教育とスキル、それによる経済的機会を提供することを目指しています。

アップリンク(UpLink

UpLink(2020)

発明家やアーリーステージの起業家は、アイデアを実現するための資金やビジネスネットワークをほとんど持っていないことが多いものです。しかし、気候関連の課題に取り組む上でイノベーションが不可欠な時代において、彼らの潜在的なソリューションは極めて重要です。

UpLinkは、エコなアイデアと支援を結びつけることを目指すプラットフォームです。イノベーションの課題が定期的に投稿され、その実現可能性を当該分野の専門家や投資家、パートナー組織のチームが評価し、いくつかの受賞エントリーを選出。それらのアイデアはUpLinkで発表され、実現に向けて支援を受けることになります。

MICEE

新興国および開発途上国は、2035年までにグローバルなエネルギー需要増加の90%を占めることが予想されており、同時に世界の人口の大部分を抱えています。しかし、これらの国々へのクリーンエネルギー投資は今日まで、全世界の5分の1にも満たない額に留まっています。

2021年にダボスで発足して以来、同ネットワークには45以上のメンバーが参加。グローバルサウスのクリーンエネルギーへの投資を促進する100以上の具体的な政策提言、リスク軽減ツール、資金調達メカニズムに光を当ててきました。これらは、同フォーラムの発表した「ソリューションのプレイブック(Playbook of Solutions)」にまとめられ、2024年11月のG20、および10月に開催されたクリーンエネルギー大臣会合に直接の寄書として届けられています。

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これだけは知っておきたい、世界経済フォーラム年次総会2025

Gayle Markovitz

2024年12月11日

ダボスで開催される世界経済フォーラム年次総会について知っておくべき7つのこと

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