テクノロジーが2025年までに世界を変える17の方法
空気中の二酸化炭素除去技術が気候変動を食い止める? Image: REUTERS/Arnd Wiegmann
- 今後5年間でテクノロジーが世界をどう変えるか、テクノロジー・パイオニア2020選出企業に見解を求めました。
- 量子コンピューターから、普及が進む5G技術、そして癌の長期コントロールまで、彼らの近未来予測をご紹介します。
1. AI(人工知能)による製造の最適化
紙と鉛筆による管理、運、大規模で世界的な移動、不透明なサプライチェーンが支える今日の世の中は、大量のエネルギー、物質、時間を無駄にしています。新型コロナウイルス感染拡大により長期的に国や地域間の移動ができない状態となったこともあり、製品の設計や製造を手掛ける企業は、製造ラインから始まり、サプライチェーン全体にわたる製品やプロセスのデータを集約し、インテリジェントに変革し、状況に応じながら送り出す、クラウドベース・テクノロジーの採用を急速に進めていくでしょう。2025年までに、このデータのユビキタス化の流れと、それを処理するインテリジェントアルゴリズムにより、製造ラインにおけるアウトプットと品質の向上へ絶えず最適化を行うことが可能になり、製造における無駄は全体で最大50%削減されると考えられます。その結果、私たちはより高品質の製品を、より早く、より安価に、そして、環境にも優しい方法で手にすることができるようになるでしょう。
アンナ-カトリーナ・シェドレツキー氏、インストルメンタルCEO兼設立者
2. 広範囲にわたるエネルギートランスフォーメーション
2025年には、カーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)は今日の飲酒運転のように、社会的に容認できないものとみなされるようになるでしょう。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、私たちの暮らし方、健康、そして、未来に対する脅威に立ち向かうための行動に、世の中の関心が集まるようになります。その関心が政府の政策と行動の変化を促し、カーボンフットプリントにも世界が厳しい目を向けるようになります。個人、企業、そして国家が、カーボンフットプリントを無くす「ネットゼロ」達成のため、最も迅速、かつコストの少ない方法を模索。持続可能なネットゼロの未来が、世界の二酸化炭素排出量を大幅に削減する広範囲のエネルギートランスフォーメーションや、二酸化炭素を回収・利用・除去する大規模な炭素管理産業の誕生により構築されます。あらゆる新しいテクノロジーが世界の二酸化炭素排出量の削減と除去を目指すことで、過去の産業革命やデジタル革命と肩を並べるようなイノベーションの波が生まれるでしょう。
スティーブ・オールダム氏、カーボン・エンジニアリングCEO
3. コンピューティングの新時代
2025年までに、量子コンピューティングはその黎明期を脱し、第一世代の商用デバイスが実世界の重要な課題への取り組みに使われるようになるでしょう。この新時代のコンピューターの主な用途のひとつとなるのが、複雑な化学反応のシミュレーション。これは、新薬開発の新たな道を切り開く強力なツールとなります。量子化学計算によって、特定の特徴を持った新素材を作り出せば、例えば自動車産業で、排出量を抑制し気候変動に対抗するより優れたカタリストを生み出すこともできます。現在、医薬品や高機能材料の開発は、作っては試すやり方が主流。何度もやり直すので時間もお金もかかります。製品開発サイクルの短縮と研究開発コスト削減に大幅に貢献する量子コンピューターは、この状況をあっという間に一変させるでしょう。
トーマス・モンズ氏、アルパイン・クアンタム・テクノロジーズ共同創設者兼CEO
4. 食習慣による予防への医療のパラダイムシフト
2025年までに、ヘルスケアシステムにおいて、より予防的な健康へのアプローチが重視されるようになるでしょう。野菜中心で栄養豊富な食事の効用の裏にある科学は、AIとシステムバイオロジーによる技術が、特定の野菜の栄養素が人体の特定の部分にどう作用し、どういう効果を生むかという知識を飛躍的に発展させることで、次々と解明されていくことでしょう。2020年のパンデミック後、消費者は基礎的な健康の重要性を意識し、自然な免疫力を高める、より健康的な食べ物をますます求めるようになるでしょう。世界の食品産業は、栄養学へのより深い理解を武器に、理想の健康状態をサポートするためのさまざまな製品を提供することで、その需要に答えることができます。よりレジリエントな生活のために、ヘルスケア業界は、地球上の植物に関する理解を促進し、持続可能でない犠牲を削減していくために、人々が自分自身の健康をケアすることを奨励するようになるでしょう。
ジム・フラット氏、ブライトシード共同設立者兼CEO
5. 世界経済を強化し、命を救う5G
アマゾンやインスタカートなどの事業者が、当日配送の需要を満たすことで、配送サービスは瞬く間に急成長しましたが、そのサービスにはまだ限界がありました。しかし、5Gネットワークの普及とそれに直接連携する自律ボットがあれば、数時間以内に安全に商品を配達することができるようになります。
Wifiではここまで大容量の需要には対応できません。外出自粛によりビジネスや学校の授業がビデオ会議に移行し、ネットワークの品質の低さが問題になりました。低遅延の5Gネットワークはこの信頼性の問題を解決し、遠隔医療、遠隔手術、ERサービスなど、より大きな容量が必要なサービスも可能にします。スマートファクトリー、リアルタイムモニタリング、コンテンツ集約型でリアルタイムの処理ができるエッジコンピューティングなど、経済を加速させる技術に企業が移行するコストも相殺できます。5Gのプライベートネットワークはこれらを実現し、モバイルサービス経済を変革します。
5Gの展開は、自動運転ボットや「モビリティ・アズ・ア・サービス」の経済など私たちが想像に留まっていた市場、そして、その他想像もできないような市場も創出。次世代の人々が新たに隆盛する市場と明るい未来への種を生み出すことでしょう。
マハ・アシュール氏、メタウエーブ創設者兼CEO
6. 癌管理のニューノーマル
テクノロジーはデータを動かし、データは知識の触媒となり、知識は力を生み出します。これからの世界では、癌は、他の慢性的な健康異常と同じように管理されることになるでしょう。今後起こることを正確に特定し、それを克服することができるようになります。
つまり、癌管理のニューノーマルです。ゲノム配列解析やリキッドバイオプシーなどの診断技術が発達し、検査をより簡単に、より高い精度で、そして、理想的にはより手頃なコストで実現。より早期に、予防的なスクリーニングが行えるようになるでしょう。多くの種類の癌の早期発見と介入は、命を救うだけではなく、発見の遅れによる経済的・心理的負担を軽減します。
さらに、テクノロジーは治療における革新も進めます。副作用が少ない遺伝子編集や免疫療法はさらに進歩するでしょう。早期スクリーニングと治療が共に進歩していけば、癌はもはや、人々に恐れられる呪われた病気ではなくなります。
ワン・シージェン氏、ジェネトロン・ヘルスCEO
7. 小売におけるロボット応用
ロボット工学はこれまで多くの産業で活躍してきましたが、食料品販売などいくつかの分野はほとんど手付かずのままでした。「マイクロフルフィルメント」と呼ばれる新たなロボットの活用により、食料品小売分野はその姿をがらりと変えるでしょう。サプライチェーンの上流でロボットを使っていた従来の方式とは対照的に、「ハイパーローカル」レベルの下流でロボットを使うことで、この100年の歴史を持つ5兆ドル規模の産業は一変、あらゆるステークホルダーが大きな変化を経験することになります。小売業者が何倍もの生産性で事業を展開するようになることで、オンラインの食料品販売ビジネスにも今はない前向きで魅力的なリターンがもたらされます。このテクノロジーはまた、食品へのアクセスの間口を広げ、スピード、在庫状況、そして価格と、消費者への提案を全体的に改良します。マイクロフルフィルメントセンターは既存の(典型的には生産性の低い)店舗レベルの場所にも置くことができ、実店舗に比べ運営費を5~10%節約できます。オンライン化の価値は、小売業者と消費者双方に等しくもたらされると私たちは予測しています。
ホセ・アグエレベーレ氏、テイクオフ・テクノロジーズ共同創設者、会長兼CEO
8.物理空間と仮想空間の曖昧化
このパンデミックが私たちにもたらした教訓のひとつは、単に仕事をする目的のためだけではなく、本当の心の繋がりを築くために、コミュニケーションを維持・促進するテクノロジーがいかに重要かということです。今後数年間で、AIテクノロジーにより、人間的なレベルで人と人とが繋がり、物理的に離れていてもお互いを身近に感じられるようになり、この進歩をさらに加速。物理空間と仮想空間の境界線は永遠に曖昧になるでしょう。SXSWからグラストンベリー・フェスティバルまで、多くの世界的なイベントは、単なるライブストリーミングを超え、そこにいるのとまったく同じ体験を提供する完全デジタル化に向かうかもしれません。しかし、これらのサービスはただ提供するだけでは不十分。消費者から信頼を得るためには、データプライバシーを最優先に考えなければなりません。新型コロナウイルスのパンデミックが始まった当初、ニュースではビデオ会議を提供する企業のセキュリティに対する懸念が多く取り上げられました。この懸念は解消したわけではありません。デジタルコネクティビティが進歩する中、いかなるサービスも、完全な透明性とデータの制御を欠いたものをユーザーに提供することは許されなくなっています。
トゥッチェ・ブルト氏、ストリートビーズCEO
9. 医療機関中心から個人中心の医療へ
2025年までに、文化、IT、健康の各分野の境界線が曖昧化されていくでしょう。エンジニアリング・バイオロジー、機械学習、シェアリングエコノミーが医療体制を分散化する枠組みを構築し、医療機関から個人へ移行させていきます。これを後押しにするのは、AIの進化と新しいサプライチェーンのメカニズムであり、それにはエンジニアリング・バイオロジーによって世界中のあらゆる場所にいる個人にシンプルかつ低コストの検査を提供、リアルタイムの患者データを手に入れることが必要です。結果、最も重症のケースのみがその一歩先の治療を必要とするようになり、感染症などの急性疾患における罹患率、死亡率、治療費は減少。入院を要する感染者が減り、疫学は劇的に変化し、医療システムへの負担は軽減されます。そして、診断の低廉化により費用と権限が個人に移行することで、コスト削減と治療の質向上が同時にもたらされ、治療の費用効率も高まります。これまで切り離すことができなかった健康、社会経済的地位、生活の質の間のリンクがほどけ始め、健康=医療機関へのアクセスとみなすことで存在していた緊張関係は消滅します。日常的なケアからパンデミックまで、これらのコンバージング・テクノロジー(特定の目的を達成するために2つ以上の異なる分野の科学や技術を収れんする技術)は社会経済的要因を変化させ、世界中の人々の健康状態に対する多くの困難を和らげるでしょう。
ラフル・ダンダ氏、シャーロック・バイオサイエンシズ共同創設者兼CEO
10. 建設の未来はすぐそこ
建設は、製造工程が同時並行で進み、大規模な管理、変更、生産が可能となります。それは、家、オフィス、工場などの構造物を建てるための、より安全で、迅速、費用効率の高い方法となり、都市やその他地域で人々が繁栄していくために必要なものとなるでしょう。建設産業では、IoT(モノのインターネット)、AI、イメージキャプチャなどを活用したリッチなデータセットが広く作成されており、この構想は既に実現しつつあります。データを活用して建築工程を深く理解することにより、現場の専門家たちが直感を信頼してリアルタイムでの意思決定を行う能力が大幅に高まり、信頼と仕事を得ながら学習し成長し続けていくことができるようになります。
実用的なデータによりこれまで見えていなかったものに光があたることで、リーダーたちは問題が起きてから対処するのではなく、先を見越したプロジェクト管理ができるようになります。計画と実行を正確に行うことで、建設の専門家たちは環境に振り回されるのではなく、それを制御し、管理、自動化、教育がより容易で反復可能な工程を生み出すことができるようになります。
これが建設の未来の姿であり、それはもう既に始まっているのです。
メイラブ・オーレン氏、バーサタイルCEO兼共同創業者
11. ギガトン単位の二酸化炭素除去で気候変動問題を解決
二酸化炭素除去などのネガティブエミッション技術の規模拡大により、気候に影響するレベルで二酸化炭素の空気中からの除去を実現します。これは、地球の気温上昇を1.5℃までに抑えるために必要なこと。人類はこれから、これ以上の炭素を大気中へ放出を行わないために可能な限りの努力をする一方で、過去に排出されてきた二酸化炭素を空気中から永遠に取り除くためにもできる限りのことをしていくでしょう。この技術が広く利用できるものになれば、二酸化炭素除去の需要は増加し、そのコストは下がります。二酸化炭素の除去はギガトン単位にまで拡大し、空気中からやむを得ず排出した分を除去するための責任ある選択肢となっていくでしょう。個人も大気中の二酸化炭素レベルに直接的かつ気候変動にプラスとなる影響を与えられるようになります。そして、究極的には地球温暖化が危険なレベルに到達するのを防ぎ、人類が気候変動を食い止めるチャンスを与えるでしょう。
ジャン・ブルツバッカー氏、クライムワークス共同設立者兼共同CEO
12. 医学の新時代
医学は、より良い臨床判断を目指し、ヒトの生物学の知識と理解を深めることを常に追求してきました。AIは、これまで十分に活用されてこなかった医療の「ビッグデータ」から前例のないレベルでより多くの洞察を抽出することができる新しいツールであり、医学とその応用の世界を変えていくでしょう。
ブランドン・スー氏、ルニットCEO
13. 富のギャップの解消
AIの進歩により、資産形成がついに一般庶民にも手の届くものとなるでしょう。これまで資産管理の頼みの綱だったのは、個別の戦略に基づき小さな巣の卵を大きく育てるナレッジワーカーであるファイナンシャル・アドバイザー。しかし彼らのサービスは高価であるため、資産管理とは既に資産を持っている人だけがその富を守り育てられるというものでした。その結果、これまで資産管理はそれを最も必要とする人たちの手の届かないところにあったのです。AIの進歩の速さは、ファイナンシャル・アドバイザーたちが用いる戦略にテクノロジーを介してアクセスできるまでになっており、一般庶民に手頃な価格での利用を実現します。ApplePayを使用するのに近距離無線通信がどのように機能しているのか仕組みを把握する必要がないように、何千万もの人々が、現代のポートフォリオ理論を知らずとも「お金を働かせる」ことができるようになるのです。
アティッシュ・ダフダ氏、エクイティ・ゼン共同創設者兼CEO
14. 「デジタルツイン」が支えるクリーンエネルギー革命
今後5年間で、エネルギー転換は佳境を迎えます。新しい再生可能エネルギーのコストは化石燃料の限界費用よりも低下。グローバルなイノベーションエコシステムにより、問題をまとめて対処できる環境が整い、イノベーションの展開が急速に拡大していくでしょう。洋上風力発電は、発電量の大幅な増加が見込めます。そのためには、太陽光発電のイノベーション曲線のように、ムーアの法則に沿って、加速するデジタル化へゆるぎない取り組みを続ける必要があります。「デジタルツイン」と呼ばれる、物理デバイスの仮想的レプリカを迅速に開発することで、エネルギー分野のシステムレベルでの変革を支えることができます。物理学に基づいたモデルと、ビッグデータを組み合わせた科学的な機械学習は、無駄のない設計、運用コストの削減、そして究極的にはクリーンで手頃なエネルギーをすべての人に提供することにつながるでしょう。構造的健全性をリアルタイムで監視し、故障する前に修理できるようになることで、より安全でレジリエントなインフラが実現し、風力発電所から橋、無人航空機に至るまで、すべてのものがリアルタイムの「デジタルツイン」により保護される時代がやってくるでしょう。
トーマス・ルーレント氏、アクセロスCEO
15. 表面に隠されたミクロの世界の解明
地球のあらゆる表面には、現在、そして未来のパンデミックによる危機を回避するのに欠かせない情報が隠されています。人がその一生の90%を費やすことになる建造環境(人工的に造られた環境)は、自然の細菌、真菌、ウイルスの生態系からなる自然発生のマイクロバイオームの宝庫です。この、マイクロバイオームデータを迅速にサンプリング・デジタル化し解析するテクノロジーは、病原体の広がり方についての私たちの理解を一変させます。この目に見えない微細なデータのレイヤーを解明し、遺伝子シグネチャーを特定することで、人や集団がいつどこで病原体を放出しているのか、どのような表面や環境が最も伝染リスクが高いのか、そして、これらのリスクが私たちの行動や、時間に伴う変化にどう影響を受けるのかを予測できるようになります。今はまだ、マイクロバイオームデータの洞察が示すものの表面にやっと手が届いたという段階ですが、今後5年間で状況はさらに進歩するはずです。これらの洞察は、パンデミックの回避と対応に役立つだけではなく、公衆衛生を犠牲にすることなく経済活動を支える方法、そして建物、車、地下鉄、飛行機などの環境を設計、運用、清掃する方法に影響を与えるでしょう。
ジェシカ・グリーン氏、フィラゲン共同設立者兼CEO
16. 機械学習とAIによる高炭素産業の脱炭素化
今後5年間で、炭素排出の多い産業では、機械学習とAIテクノロジーを活用したカーボンフットプリントの劇的な削減が進められるでしょう。従来、製造業や石油・ガス産業などでは、生産性と収益性の維持に苦心するあまり脱炭素への取り組みが遅れがちでした。しかし、気候変動や規制による圧力、また市場の劇的な変動により、これらの産業にも変化が求められています。例えば、石油・ガス企業や工業メーカーは、規制当局が今後数年間での二酸化炭素排出量の大幅削減を求めていることに危機感を抱いています。これらの産業は、交通や建築の分野で脱炭素化に欠かせなかったテクノロジーを活用した取り組みと、同じようなアプローチを取ることになるでしょう。デジタルトランスフォーメーションの拡大により、炭素排出の多い分野でも、無数の接続デバイスからのリアルタイムで精度の高いデータを使い、AIや機械学習などの先進的技術で、効率的かつ積極的に排出を削減しカーボンフットプリントを減らすことができるようになるはずです。
デイビッド・キング氏、フォグホーンシステムズCEO
17. プライバシー保護の普及と優先
近年、目に見えるプライバシーの規制は加速しているにも関わらず、規制の観点からも消費者の視点からも、プライバシーに関しては現在もまだその氷山の一角が見えているだけです。5年後には、プライバシーやデータセキュリティはコモディティ化し、消費者自身が機密データ資産を保護し管理できることは特別ではなく、むしろ原則としてみなされるようになるでしょう。こうした認識と理解が高まるにつれ、プライバシー強化技術(PET)と呼ばれる、プライバシーを保護・強化する機能も普及していきます。2025年までに、PETはテクノロジーカテゴリーとして主流となり、最低限のコンプライアンスを満たすためだけに付け加えられる要素ではなく、企業のプライバシーおよびセキュリティ戦略の基本となるでしょう。国際的なプライバシー基準はの整備が整うにはまだ至らないかもしれませんが、地域の規制や消費者の期待に応えていくために、それぞれの組織が柔軟性を備えたデータ中心のアプローチをセキュリティに対し採用すると考えられます。こうした取り組みは、組織内のデータ、プライバシー、セキュリティを管轄する部門横断的なチームにより主導されていくでしょう。
エリソン・アン・ウィリアムズ氏、エンベイル創設者兼CEO
テクノロジーは今後5年で世界をどう変えるか
増加する世界の人口への食料供給の問題や、ヘルスケアへのアクセスと品質の向上、気候変動の悪影響を阻むための二酸化炭素排出量の大幅削減など、地球は緊急性の高い数々の問題を抱えています。こうした問題の解決へ今日の技術変革の速さと可能性は、大きな期待感を抱かせてくれます。起業家や、投資コミュニティ、世界トップクラスの研究開発企業が、具体的な結果をもたらす解決策の開発と展開に注力しているため、5年後にはきっと大きな改善が見られることでしょう。
新型コロナウイルスのパンデミックは、この世界が人と経済の混乱に対してどれほどもろいかという難しい教訓を与えました。しかし同時に、おそらく歴史上はじめて、人命を脅かす緊急事態の被害を抑えるために政府トップレベルでのグローバルな連携、データの透明性、そしてスピードが必要となった出来事でもありました。私たちは、歴史によって判断されることになるでしょうが、単体で見れば英雄的な決意とレジリエンスを示した国もあったものの、世界全体としては、現在のところ十分な結果を出せていません。グローバルコミュニティとして、そして世界経済フォーラムのようなプラットホームを通じて、私たちはこれらの問題を可視化し続け、最善かつ最速で対処できるテクノロジーとイノベーションのチャンスを見出し、支援していく必要があります。
ロバート・ピコニ氏、エナジー・ボールトCEO
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Hazuki Mori and Soichi Noguchi
2024年12月20日