<報告書発表>高齢化社会における経済的レジリエンスを強化する、主要なトレンドとイノベーションが明らかに

発行済み
2025年03月26日
2025
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世界経済フォーラム 広報統括(日本)栃林直子 naoko.tochibayashi@weforum.org

  • 2080年までに、世界では65歳以上の人口が18歳未満の人口を上回ると予測されていますが、社会はこうした人口動態の変化にほぼ無防備です。
  • 新たな報告書では、5つの主要なトレンドを特定し、人口動態の変化による影響に社会が備えるための10の重要な行動を提案しています。
  • 世界経済フォーラムのUpLink(アップリンク)は、アジアにおける経済的レジリエンス、公平かつ健康的なエイジング、生涯にわたる充実感の促進を目指すスタートアップ企業を公募する、新しいイノベーションチャレンジを開始します。
  • 報告書はこちら。UpLinkイノベーションチャレンジへの応募はこちら

2025年3月26日、中国、香港特別行政区 – 世界経済フォーラムの新しい報告書、「長寿経済の未来を確かなものに:イノベーションと主要トレンド(Future-Proofing the Longevity Economy: Innovations and Key Trends)」は、イノベーションがどのように高齢化社会における経済的レジリエンスを再形成することができるかを明らかにしています。人口動態の変化が加速する中で、企業、政策立案者、各種機関は、長期的な持続可能性を確保するために金融および社会システムを適応させる必要があります。

マーサーをはじめ、50以上の官民組織の協力を得て作成された本報告書では、社会がこの変革を乗り切るための主要なトレンドとソリューションが浮き彫りになっています。また、各国政府、雇用者、市民社会、金融機関が、より公平かつ持続可能であり、経済的にレジリエンスの高い未来を創出するために、既存の枠組みにイノベーションを統合する方法も概説しています。

世界経済フォーラムの長寿経済部門長、ハレ・ナゼリは「国連の予測では、2080年までに65歳以上の高齢者の数が18歳未満の子供の数を上回り、人口動態に根本的な変化が起こるとされています。しかし、人々の経済的レジリエンスを高める準備を整え、改善する方法はあります」と述べています。「イノベーションは存在します。今こそ、年金受給、投資、長期介護といった重要な分野で新しいアプローチを拡大し、適応させて、より公平で包摂性の高いシステムを構築するべきです」。

長寿経済の未来を保証するイノベーションと主要なトレンド

本報告書では、人口動態の変化に対応するための革新的なアプローチを描き出すパブリックセクターと企業のケーススタディに基づき、個人の経済的レジリエンスと経済的な持続可能性に不可欠な5つの分野を特定しています。

1. レジリエンスの高い公的年金制度の構築– 高齢化社会に向けた年金と退職プランの近代化、および非正規労働者に対する金融包摂の拡大

2. 資産の蓄積から取り崩しへ– 個人による退職後の支出管理責任が一層求められるようになるため、退職後の生活における経済的な安定性の強化が必要

3. 従業員の経済的ウェルビーイングにおける雇用主の役割– 従業員の経済的安定に向けた投資の状況を確認することが、企業の優先事項と機会の両方になる

4. 介護と長期ケアの経済学– 高齢化社会で介護を提供していく上での経済的、構造的な課題への対応

5. 経済成長に向けた道筋 – 労働参加と長期的な経済成長に向けた機会の活用

この5つの大きな傾向について、政策立案者、雇用者、金融機関、市民社会が人口動態の変化に対応すると同時に経済的レジリエンスを高めるために必要となる、10の重要な行動を概説。行動の呼びかけは、年金制度から介護、フレキシブルな労働体制まで多岐にわたります。本報告書では、この人口動態の変化を経済成長の推進力に変えるためには、革新的なアイデア、セクター間の協力、視点の根本的な転換が不可欠だと強調しています。

主要な行動の例

  • 年金および社会保障制度を近代化し、より長い人生と進化するキャリアパスをサポートする:政策立案者は、人口動態と労働力の傾向に基づいて、社会保障/年金政策の評価を行い、最新化を推奨すべきである。
  • ギグワーカーや非正規労働者向けの金融商品と保護へのアクセスを拡大する:雇用主は金融機関と提携して、契約労働者向けにカスタマイズされた退職金積立や保険などのソリューションを提供することができる。
  • 退職金積立への参加を増やすために、自動加入と行動経済学に基づく働きかけを奨励する:金融機関は、退職金積立商品へのシームレスな自動加入を促進するインフラとアドバイザリーサービスを提供すべきである。

マーサーの社長兼CEO、パット・トムリンソン氏は「長寿は社会の進歩の証ですが、医療やアクセス、退職、労働力といった分野での課題ももたらします。革新的な金融モデルや従業員給付への投資、生涯にわたるスキル構築の支援を行うことで、人々が何歳になっても活躍でき、企業や経済が人口動態の変化に柔軟に対応できる未来の形成に貢献できるでしょう」と述べています。

世界経済フォーラムのイニシアチブであるUpLink(アップリンク)は、世界で最も喫緊の課題に取り組むアーリーステージのスタートアップを支援し、インパクトを重視したそのソリューションの規模拡大を目指しています。このミッションの一環としてUpLinkは、世界経済フォーラムの金融と通貨システム部門およびマニュライフの協力を得て「Innovating for Asia’s Demographic Future(アジアの人口動態の未来に向けたイノベーション)」を立ち上げました。これは、アジアの人々全体を対象に、多世代にわたる経済的レジリエンス、公平かつ健康的なエイジング、生涯にわたる充実感の促進を目指すスタートアップを公募するものです。

3年間のパートナーシップでは、グローバルな高齢化に伴う人口動態と金融における課題に取り組み、より多くの人々がより長く、より健康に、より良い生活を送れるよう支援します。現在、アジアにおける金融、健康、ウェルビーイング(幸福)に焦点を合わせたグローバルな長寿社会向けソリューションを拡大する、アーリーステージのイノベーターを公募しています。締め切りは、2025年4月28日。

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