<報告書発表> より健康な女性がより強い経済を作る ~女性の健康に向けた投資が必要~

発行済み
2025年01月20日
2025
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世界経済フォーラム 広報統括(日本)栃林直子 naoko.tochibayashi@weforum.org

  • 世界経済フォーラムの新たなレポートによると、性別による健康格差を解消することで、2040年までに世界GDPを年間4,000億ドル押し上げる可能性があることが分かりました。これは、健康格差是正に向けた投資が持つ大きな可能性を浮き彫りにしています。
  • 9つの主要な健康課題に対処することで、グローバルな疾病負担を障害調整生命年で2,700万年分削減し、女性一人当たり年間2.5日分の健康な日を追加することができる可能性があります。·世界経済フォーラムは、世界中の数百万人の女性が直面する健康格差を監視し、その解消を目的とした、一般公開のツールである「ウィメンズ・ヘルス・インパクト・トラッキング
  • プラットフォーム」を新たに立ち上げました。
  • レポート全文はこちら。「ウィメンズ・ヘルス・インパクト・トラッキング・プラットフォーム」の詳細はこちら。年次総会の詳細はこちら。ソーシャルメディア上のハッシュタグは、#WEF25。

2025121日、スイス、ダボス・クロスタース - 世界経済フォーラムの新たなレポートにより、9つの主要な健康課題への取り組みが、2040年までに何百万人もの人々の生活を一変させ、グローバルGDPを年間4,000億ドル押し上げる可能性があることが明らかになりました。本レポートは、女性の健康に向けた投資がもたらす莫大な経済的機会を浮き彫りにしています。

マッキンゼー・ヘルス・インスティテュート(MHI)の協力を得て発表された「健康格差解消のための青写真:すべての人々の生活と経済を改善する方法(Blueprint to Close the Womens Health Gap: How to Improve Lives and Economies for All)」は、女性は男性と比較して健康でない状態で過ごす期間が25%長いことを指摘し、9つの主要な疾患に対する的を絞った対策が、グローバルな疾病負担を障害調整生命年で2,700万年分削減し、女性一人当たり年間2.5日分の健康な日を追加することができる可能性があることを示しています。9つの疾患は、生存年数に関係する疾患(子癇前症、産後出血、虚血性心疾患、子宮頸がん、乳がん)と、健康寿命、すなわち健康で過ごせる年数に関する疾患(子宮内膜症、更年期、片頭痛、月経前症候群)に分けられます。


この取り組みの一環として、同フォーラムはMHIの協力を得てグローバルな健康格差を測定し、対応策を講じ、公平でスケーラブルなソリューションを世界的に推進することを目的として「ウィメンズ・ヘルス・インパクト・トラッキング(WHIT)」を立ち上げ、公開しました。本プラットフォームは、健康面での成果や経済的な機会に関するデータを活用した洞察を提供し、更年期障害、月経前症候群、片頭痛の3つの疾患に対する投資の重要性を訴えます。これらの疾患への投資不足解消が、3,150億ドルのGDP機会を生み出す可能性があるからです。

同フォーラム執行委員兼ヘルスとヘルスケア部門長のシャム・ビシェンは、「有意義な変化を促し、女性に特化した効果的なヘルスケア戦略を開発するためには、進捗の測定が不可欠です。女性の健康は見過ごされがちであり、その原因の一つは性別ごとの研究が不足していることです。実際、性別で分かれたデータが報告されているのは、虚血性心疾患や片頭痛の臨床試験のわずか10%に過ぎません。これが改善されれば、健康な日が2.5日増える可能性があります」と述べています。同プラットフォームは、こうしたギャップを特定するための重要なツールと、格差を埋めるための実行可能な洞察を提供します。

マッキンゼー・アンド・カンパニーのシニアパートナーであり、マッキンゼー・ヘルス・インスティテュートの共同リーダーであるルーシー・ペレス氏は、「女性のデータを取り、女性を対象とした研究を行い、女性のケアを実施し、女性に投資し、すべての女性を含める時が来たのです」と述べています。「本レポートに挙げた9つの疾患に対処することで、何百万人もの女性の生活を改善し、4,000億ドルの経済効果を生み出すだけでなく、より広範な女性の健康格差を解消するための進捗状況の把握と拡大に向けた青写真を提供することができるでしょう」。


本レポートでは、データ収集、研究資金、臨床実践ガイドライン、医療提供システムの格差によって引き起こされる、女性の健康アウトカムにおける重大な格差を強調。データの精度を向上させ、女性特有の疾患に対する研究資金を増やし、性別に基づく臨床ガイドラインを強化することで、こうした格差を大幅に縮小できる可能性があることを示しています。注目すべきは、女性特有の疾患による負担の54%が低・中所得国に集中しているにもかかわらず、臨床試験の対象地域としてこれらの国が占める割合はわずか23%に過ぎないという点です。

本レポートでは、こうした不均衡を解消し、より公平な健康を実現することで開かれる大きな可能性を引き出すために、ステークホルダーが取るべき5つの主要な行動を特定しています。

1. 女性のデータを取る:より良いデータ収集に投資し、女性の疾患による真の負担を明らかにする。

2. 女性を対象にした研究を行う:女性特有の健康上の懸念や性差に関する研究に資金を提供する。

3. 女性のケアを実施する:女性の特有のニーズに合わせたベストプラクティスを臨床ガイドラインへ確実に反映させる。

4. すべての女性を含める:疎外されたグループに影響を及ぼす格差に対処し、健康における公平性をより幅広く実現する。

5. 女性に投資する:革新的なヘルスケアのソリューションおよび提供モデルを開発するための資金調達を行う。

「女性の健康のためのグローバル・アライアンス」の共同議長であり、ゲイツ財団ジェンダー平等部門の責任者を務めるアニタ・ザイディ氏は、次のように述べています。「健康な女性は、より強靭な家族、生産的な職場、そしてレジリエンスの高い経済の基盤となります。しかし、研究および科学技術革新における深刻なジェンダー・ギャップにより、女性は健康を維持するために必要な基本的なツール、治療、サービスに依然としてアクセスできていません。この重要なニーズを満たすため、WHITプラットフォームは、女性の生活の複雑さを捉えるための十分な包括性と、行動を起こすための十分な簡潔性を備えたデータを提供します」。

本レポートは、各国政府、企業、研究者、市民社会、そして世界中のコミュニティに対して行動を呼びかけています。一方、WHITプラットフォームとそこに集約されたデータは、課題設定および資源の配分に役立つ実践的なリソースを提供します。今こそ行動を起こし、すべての女性と少女がより健康で生産的な生活を送れるようにすべき時なのです。

年次総会2025について

2025年1月20日から24日までスイスのダボス・クロスタースで開催される世界経済フォーラム年次総会は、「インテリジェント時代における連携」をテーマに世界有数のリーダーたちを招集して行われます。本会合では、テクノロジーが急速に進歩する時代における5つのサブテーマ「成長の再構築」、「インテリジェント時代における産業」、「人材投資」、「地球環境保全」、「信頼の再構築」に焦点を合わせ、より持続可能かつ包摂的な未来を形作るための新たなパートナーシップと洞察を促進します。詳細はこちら

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