「チーフエコノミスト・アウトルック」を発表 経済見通しは明るさを増すも、政治リスクは2024年に大きく影響

発行済み
2024年05月29日
2024
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世界経済フォーラム コミュニケーションズ・リード 栃林直子 naoko.tochibayashi@weforum.org

  • チーフエコノミストの82%(2023年後半の2倍)が、今年はグローバル経済が安定または強化されると予想
  • 3分の2以上が、技術革新、AI(人工知能)、グリーンエネルギー転換に牽引され、グローバル経済は持続的に回復すると予測
  • 2024年5月の「チーフエコノミスト・アウトルック」はこちら

2024年5月29日、スイス、ジュネーブ - 発表された最新の「チーフエコノミスト・アウトルック」では2024年のグローバル経済について慎重な楽観論の高まりが示されました。チーフエコノミストの10人に8人以上が、今年のグローバル経済は強まるか安定した状態が続くと予想。その割合は前回調査の2倍近くに達しました。また、グローバル情勢の悪化を予想する割合は、1月の56%から17%に減少しました。

一方、地政学的・国内政治的緊張が先行きを不透明にしています。回答者の約97%が、今年は地政学がグローバル経済の変動要因になると予想。さらに83%が、世界人口の半数近くが選挙を迎える2024年には国内政治が変動の元になると回答しました。

世界経済フォーラムのサーディア・ザヒディ取締役は、「最新の『チーフエコノミスト・アウトルック』は、グローバル経済情勢に歓迎すべき、しかし暫定的な改善の兆しがあることを示しています。このことは、リーダーたちが進むべき道がますます複雑になっていることを浮き彫りにしています。グローバル経済のエンジンを復活させるだけでなく、よりインクルーシブでサステナブルかつレジリエンス(強靭性)の高い成長の基盤を整備する政策立案が急務です」と述べています。

地域別見通し

世界各地でばらつきはあるものの、成長予測は改善しています。調査では、米国の見通しが大幅に向上したことが明らかになり、チーフエコノミストのほぼ全員(97%)が、今年の成長率は1月の59%から上昇し、「緩やかな成長」から「力強い成長」になると予想しています。

アジア経済も堅調で、回答者全員が南アジアと東アジア・太平洋地域では少なくとも中程度の成長を予測。中国への期待はやや楽観性が低くなり、4分の3が緩やかな成長を見込み、強い成長を予測するチーフエコノミストはわずか4%です。

これとは対照的に、欧州の見通しは依然として暗く、エコノミストの70%近くが2024年いっぱいは弱い成長を予測しています。その他の地域については、前回調査から若干の改善が見られ、おおむね緩やかな成長が見込まれています。

意思決定者にとって厳しい状況

最新の調査では、企業や政策決定者が直面する課題が深刻化していることが浮き彫りになりました。回答者の86%によると、今年は政治と経済の力学の間の緊張がますます大きな課題となり、79%は複雑性の高まりが意思決定に重くのしかかると予想しています。

企業の意思決定に影響を及ぼすと予想される要因としては、グローバル経済全体の健全性(回答者の100%)、金融政策(同86%)、金融市場(同86%)、労働市場の状況(同79%)、地政学(同86%)、国内政治(同71%)が挙げられます。注目すべきは、チーフエコノミストの73%が、企業の成長目標が意思決定の原動力になると考えていることです。これは、企業の環境・社会目標の役割を挙げた割合(同37%)のほぼ2倍でした。

長期的展望と優先課題

チーフエコノミストのほとんどがグローバル経済の持続的な回復の見通しについて明るい見通しを持っており、70%近くが今後5年間で4%成長への回復を見込んでいます(3年以内では42%)。高所得国では、技術革新、AI、グリーンエネルギー転換が成長を牽引すると予想。しかし、低所得国におけるこれらの要因の影響については意見が分かれています。成長の足かせとなる要因については、地政学、国内政治、債務水準、気候変動、社会の二極化などで、高所得国、低所得国ともにこれらが成長の足かせとなると予想する点で意見が一致しました。

今後5年間で成長を促進する可能性の高い政策手段としては、イノベーション、インフラ整備、金融政策、教育・技能が軒並み最重要視されています。低所得国は、高所得国に比べて、制度、社会サービス、金融へのアクセスに関する介入から得られるものが大きいと考えられています。環境政策や産業政策が成長に与える影響については、顕著な意見の一致が見られませんでした。

「チーフエコノミスト・アウトルック」レポートについて

チーフエコノミスト・アウトルック」は、世界経済フォーラムの「ニューエコノミーとソサエティ」部門による官民の主要なチーフエコノミストとの協議や調査に加え、最新の政策開発調査に基づいています。今日の経済環境の新たな輪郭を要約し、世界経済への複合的なショックに対応し、政策立案者やビジネスリーダーがさらなる行動を起こすための優先事項を明らかにすることを目的としています。なお、本調査は2024年4月に実施されたものです。

チーフエコノミスト・アウトルック」は世界経済フォーラムの「フューチャー・オブ・グロース(成長の未来)」イニシアチブをサポートしています。同イニシアチブは、経済成長のための新たな道筋を描くための議論と行動を喚起し、成長、イノベーション、インクルージョン、持続可能性、レジリエンスの目標のバランスを取る上で政策立案者を支援することを目的とした2年間の取り組みを行っています。同イニシアチブの詳細はこちら

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