<報告書発表> 広がる格差と増大する脅威が影を落とす 2024年グローバルサイバーセキュリティ展望

発行済み
2024年01月11日
2024
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世界経済フォーラム コミュニケーションズ・リード 栃林直子 naoko.tochibayashi@weforum.org

  • 世界経済フォーラムの「グローバルリスク報告書」のトップ10リスクに「サイバーセキュリティの低下」が依然として取り上げられる中、世界のサイバーセキュリティ情勢を形成する主なトレンドを調査したレポートが発表されました。
  • グローバルなサイバーレジリエンスに関する不公平が急増しており、90%の経営幹部が、早急な対策が必要であると警告しています。
  • 調査対象者の81%は、昨年よりもサイバー犯罪にさらされていると感じる、またはさらされていると回答しています。レポート全文はこちら。世界経済フォーラム年次総会2024の詳細についてはこちら。(ソーシャルメディア上のハッシュタグ: #wef24)

2024年1月11日、スイス、ダボス - クロスタース - 新しく発表された世界経済フォーラムのレポートは、世界のサイバーセキュリティ情勢が直面する多面的な課題の全体像を示しています。地政学的緊張の高まりや経済的不安定が引き続き業界専門家の懸念材料となる一方で、本レポートでは、急成長するサイバーセキュリティ分野における今後の主要なリスクとして、サイバーレジリエンスの不平等の拡大やAI(人工知能)などの新興テクノロジーにスポットを当てています。

アクセンチュアの協力を得て作成された「グローバル・サイバーセキュリティ・アウトルック2024」レポートは、2023年6月から11月にかけて実施された一連の調査に基づき、2024年にリーダーたちが対応すべき主要なサイバー動向について、業界の専門家やグローバルな経営幹部から得られた知見をまとめたものです。複雑化するサイバー脅威の状況を踏まえ、本レポートでは、相互に関連する脅威に対抗し、よりレジリエンス(強靭性)の高い環境を構築するために、国境や業界を超えた協調を呼びかけています。

スイスを拠点とする世界経済フォーラム取締役のジェレミー・ジュルゲンズは、次のように述べています。「新たなテクノロジーや地政学的・経済的トレンドの変化に応じてサイバー領域が進化するにつれ、デジタル世界を脅かす課題も変化しています。これらの複雑で進化し続ける脅威に一丸となって対処し、すべての人にとって安全なデジタルの未来を築くためには、官民の主要なステークホルダーによる協調行動が緊急に必要です」。

2024年の重要なリスクとして、サイバー攻撃に対するレジリエンスがある組織とそうでない組織との格差がますます拡大していることが明らかになりました。最低限実行可能なサイバーレジリエンスを維持している組織の数は、昨年と比較して30%減少しています。大企業のサイバーレジリエンスが顕著な向上を示す一方で、中小企業では大幅な低下を示しています。

このような不公平の拡大は、マクロ経済の動向、業界の規制、そして重要なこととして、一部の組織のみがパラダイムシフトをもたらすテクノロジーを早期に導入したことが要因となっています。これに加えて、サイバースキルや人材不足が憂慮すべき速度で拡大し続けています。今後2年間でサイバースキルと教育が大幅に改善すると楽観視している組織は、全体のわずか15%に過ぎません。

あらゆるネットワークが接続し合う世界では、このような亀裂の拡大は、どの組織も完全に安全ではないことを意味します。レポートによると、外部パートナーは、あらゆる組織のサイバーセキュリティにとって最大の資産であると同時に最大の障害でもあります。実際、過去12カ月間に重大なインシデントに見舞われた調査対象組織の41%は、その原因が第三者によるものであったと回答しています。

国際刑事警察機構(ICPO)のユルゲン・ストック事務総長は「どの国や組織もサイバー犯罪から免れることはできません。しかし、その多くは脅威に効果的に対処するための能力が著しく不足しています。より安全でレジリエンスの高いグローバルなサイバースペースを確保するための緊急かつ戦略的な行動に向けて、主要なステークホルダーが協力的に取り組むことが極めて重要です」と述べています。

本レポートでは、AIなどの新興テクノロジーも注目すべき重要なトレンドとなっています。今後2年間で、生成AIが攻撃者よりも防御者に優位性をもたらすと考えているのは、回答者の10人に1人にも達しませんでした。調査対象の専門家の約半数は、生成AIが今後2年間でサイバーセキュリティに最も大きな影響を与えることに同意しています。また、経営幹部の約半数が、生成AIがサイバーセキュリティに与える影響で最も懸念されるものとして、AIによるサイバー犯罪者の敵対的能力(フィッシング、マルウェア、ディープフェイク)の強化だと回答しています。

こうした懸念はあるものの、本レポートでは、特に経営幹部や最高経営責任者(CEO)のレベルでサイバーセキュリティの重要性に対するグローバルな注目が高まっていることが強調されています。レポートによると、組織のリスク管理にサイバーレジリエンスを組み込むことも一般的になりつつあります。

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