世界経済フォーラム パブリック・エンゲージメント・リード 栃林直子
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2021年8月12日、スイス、ジュネーブ - 国際青少年デーに寄せて、世界経済フォーラムのグローバル・シェイパーズ・コミュニティは、世界で最も地理的に多様な、「若者たちによるリカバリー計画」を発表しました。
この計画では、より厳格な環境政策、金融面での保護措置、テクノロジーへのアクセスの向上、より多くの若者が政治に参加するためのプログラムへの投資などが求められています。未来のグローバルリーダーによるこれらのアイデアは、「ネクスト・ノーマル」になる可能性を秘めています。
若者たちは、150都市、180カ国以上でアンケートやワークショップを実施。これらの対話には200万人以上が参加し、世代間の不公平をなくすための40の政策提言がなされました。
「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の後、私たちはこれまでとは違う形で再構築する必要があるという考えは広く共有されています。すべての人々、特に若者たちを大切にする社会、経済、国際社会が必要です。彼らは、私たちの地球の未来にとって最も重要であり、最も影響を受けやすい存在です。彼らはまた、より良い世界を形成するための最も革新的なアイデアとエネルギーを持っています」と、グローバル・シェイパーズ・コミュニティの責任者であるワディア・アイト・ハムザは述べています。
若者たちによる「リカバリー計画」のハイライト
若者たちは、地球温暖化をパリ協定で定められた1.5℃の上限に抑えるために、すべての新規石炭、石油、ガスの探査・開発を停止することを望んでいます。また、金融機関に対しては、新たに化石燃料の探査・開発を行おうとする企業への出資や取引を避けること、企業に対しては、化石燃料の削減やグリーンエネルギーへの移行に消極的な企業の取締役を積極的に交代させることを求めています。
彼らは自分たちの経済的な将来を非常に危惧しています。彼らは、5,000万ドル以上の資産を対象とした世界的な富裕税を導入し、社会的セーフティネットを保護し、若者たちやワーキングプアに不均衡な負担を強いるような緊縮策を避けることを望んでいます。調査対象となった若者のほぼ半数が、十分なスキルを身につけていないと感じており、4分の1近くが、予期せぬ医療費の出費に直面した場合、借金をするリスクがあると答えています。
若者はオープンなインターネットを支持する一方で、悪用を懸念しています。世界の人口の半分はいまだにインターネットにアクセスできず、また多くの人々がインターネット・ブラックアウトに悩まされています。このギャップを埋めるために、2兆ドル規模のデジタルアクセス計画が推奨されています。特に、社会的に距離を置くようになった世界では、バーチャルな交流への依存度が高まっています。
若者たちは、政治に深刻な危機が迫っていると考えています。彼らは、社会に生じている亀裂は、根本的な政治的問題の現れであると考えています。腐敗や古くさい政治的リーダーシップへの懸念は、若者が政治システムを信頼し続けるための緊急の課題となっています。今回の調査では、若者は人間よりも人工知能が運営するシステムを信用する傾向があることもわかりました。この問題を解決するために、若者の進歩的な声が政府に加わり、影響力のある政策立案者になることを支援するプログラムへの投資を拡大することも求めています。
ダボス・ラボのアンケートによると、身体の安全は若者たちの間で最大の懸念事項となっています。これは、監視技術の使用や、活動家や有色人種に対する武装化した警察による取り締まりが増加していることに起因していると考えられます。
これらの提言を現実のものとするために、参加者は若者の活動がどのようなものであるかについて対話を行いました。参加者は、パンデミック後のより包括的な未来のために、自分たちの行動や活動の指針となる原則を作成。これらの対話の集大成が「ミレニアル・マニフェスト」として発表されています。
「ミレニアル・マニフェスト」は、ポストパンデミックの世界において、若者のアクティビズムの条件と効果を再定義する、世界初の試みです。「システム上の問題を根絶することは、経験や信頼性の問題を抱える若者にとって特に困難であるため、この『ミレニアル・マニフェスト』は、彼らの活動を研ぎ澄ますための時代を超越した原則を提供する道筋を示す役割を果たしています」とワディア・アイト・ハムザは述べています。本レポートはこちら。
グローバル・シェイパーの詳細とレポート手法について
若者による復興計画は、世界経済フォーラムのグローバル・シェイパーズ・コミュニティの活動の一つです。同コミュニティは、世界150カ国、450都市以上で活動しており、世界の状況を改善するためのローカルおよびグローバルなプロジェクトを実施しています。
また、同コミュニティは、2021年1月に開催されたダボス・アジェンダでの行動の呼びかけを受け、世界各地でバーチャル・ダイアログやアンケートを実施。各地での対話では、非正規滞在の移民とのプライベートな対話から、各国首脳や公人が参加するパブリックなフォーラムまで、すべてのステークホルダーが参加しました。
本レポートは、146都市で行われた344回の対話と、187カ国で行われたダボス・ラボのアンケートの約19,000件の回答をもとに作成。参加者数は230万人以上にのぼります。これらの対話やアンケートを通じて、若者たちは自分たちの意見やアイデア、不安を共有し、主要な意思決定者に向けた実行可能な洞察と提言としてまとめられています。
<参考>
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