グローバル・テクノロジー・ガバナンス・サミットが閉幕  ポジティブなテックソリューションが、復興を後押し

発行済み
2021年04月08日
2021
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世界経済フォーラム パブリック・エンゲージメント・リード 栃林直子
Tel.: +81-(0)3-3560-6093 Naoko.Tochibayashi@weforum.org

  • 世界125カ国から2,000人以上のリーダーが集い、第4次産業革命の道筋を探りました。
  • ビジネスリーダーたちは、社会、気候変動、公平性の課題解決に寄与する事のできる、テクノロジーソリューションの重要性を強調しました。
  • 同サミットのアウトプットは、シンガポールで開催される、世界経済フォーラム「特別年次総会2021」において議論される、プラットフォーム、イニシアティブ、プロジェクトに反映されます。
  • 詳細については、www.weforum.orgをご参照ください。ハッシュタグは「#GTGS21」。

2021年4月8日、東京 – 世界経済フォーラム「第1回グローバル・テクノロジー・ガバナンス・サミット」(オンライン)は、世界のリーダーたちは、最も差し迫った地球規模の問題に取り組むために、テクノロジーガバナンスを強化する必要性を支持し、閉幕を迎えました。

日本の支援のもと開催された同サミットは、菅義偉内閣総理大臣の歓迎の挨拶で開幕しました。菅総理は、同サミットにおいて、世界各国の政府、ビジネスリーダーが一同に介し、ポストコロナ時代を見据えたデジタル技術の社会実装に向けた議論の場となることを、まさに機を得たものと考えていると発言。また、日本は改革を一気に加速し、誰もがデジタル化の恩恵を最大限に受けることのできる、世界最先端のデジタル社会をめざすと述べました。

同サミットには、2000人以上のリーダーがオンライン上に集まり、テクノロジーの導入による生活の向上、グローバルな課題への対応について議論が繰り広げられました。2021年、またそれ以降も、世界経済フォーラム第四次産業革命センター(C4IR)ネットワークは、こうした対話やコミットメントを、さらに展開させていきます。

また、同サミットでは、アーティストのHarry Yeff(Reeps 100)がデザインした「Voice Gems」の断片(「シャード」と呼ばれる)を集めることで、NFT(Non-fungible Tokens)について学ぶインタラクティブな体験型の企画も実施。初日には、250個以上のシャードがミントされました。

今回のサミットのアウトプット、コミットメントは以下のとおりです。

  • G20グローバル・スマート・シティ・アライアンスの一環として、ラテンアメリカと南アジアで2つの新しい地域都市ネットワークが発足。これらの都市ネットワークは、第四次産業革命日本センター(C4IRJ)が成功をおさめたジャパン・スマートシティ・アライアンスをモデルとしており、中小都市が第4次産業革命の恩恵を実現する能力を強化し、ガバナンスの課題から守ることを目的としています。
  • 本ネットワークは、政府、企業、市民社会が革新的なガバナンスに関する証拠や洞察を共有するためのグローバルなイニシアチブであるAgile Nationsを支援します。また、今回のサミットでは、世界各国の政府においてアジリティを推進する上で、公的専門家やビジネスリーダーが果たす役割を認識し、「Agile50」イニシアティブへの支援を改めて表明しました。
  • デジタルカレンシーガバナンスコンソーシアム(DCGC)は、新たなデジタル通貨、中央銀行のデジタル通貨、いわゆる「ステーブルコイン」の台頭に関連する差し迫った課題と機会に対処するために、さまざまな分野と地域を代表する80以上の組織を招集しています。
  • 世界経済フォーラムは、2021年から2022年のコレクティブ・アクションのための5つの優先分野を定めた「Future of the Connected World」イニシアティブを設立しました。また、同イニシアティブに加え、C4IRネットワークは、ブラジルのサンパウロにおける「Accelerating the Impact of Industrial IoT for SMEs」のパイロットプロジェクトの成功を受け、コロンビア、カザフスタン、サウジアラビア、南アフリカトルコでプロジェクトを拡大していきます。
  • 世界5大陸、12カ国を超える国々から集まった官民のエグゼクティブ・リーダーたちは、すべての人に恩恵をもたらすコネクテッド・フューチャーの構築に向けた新しいロードマップを発表。このロードマップとグローバルアクションプランは、IoTとその関連技術のガバナンスを推進するための5つのアクションと37のイニシアチブを中心に、グローバル社会を結集することを目指しています。
  • ドバイ道路交通局(RTA)は、「World Challenge for Self-Driving Transport(自動運転交通のためのワールドチャレンジ)」の一環として、自律走行する配送車両を試行し、フレームワークを使って一連の性能ベースの規制を試行する予定です。これを受け、世界自律走行車評議会(GAVC)が主催する、フォーラムプロジェクトで開発されたフレームワークが、2030年までに移動の25%を無人化するという、ドバイのロードマップの一部として段階的に利用されることになりました。

サミット開催期間中、以下レポートおよび白書も発行されました。

  • Rebuilding Trust and Governance: Towards Data Free Flow with Trust (DFFT):トラスト・ガバナンス・メカニズムを強化するために、プライバシー、公正な競争、サイバーセキュリティ、透明性など、グローバルなデータ・ガバナンスの問題を俯瞰的に捉えます。
  • Medicine from the Sky: Opportunities and Lessons from Drones in Africa:どこでドローン技術を適用すれば医療の向上につながるかを評価するためのフレームワークが、示されています。
  • Global Governance Toolkit for Digital Mental Health」:新たなリソースともなる同レポートは、メンタルヘルスおよび行動保健学におけるテクノロジーの利用について高まる、倫理的懸念への対応について、政府、規制当局、独立保証機関をサポートする事になります。
  • テクノロジー・フューチャーズ・レポート:リーダーが将来のトレンドを予測するための新たな方法を紹介。トレンドに確率を与え、リスクを予測するためのフレームワークを提供し、「スペキュラティブ・フィクション」を用いてこれらを実現しています。
  • 新白書「Co-designing Digital Interventions and Technology Projects with Civil Society」:政策立案者やビジネスリーダーが市民社会と協力し、パワーバランスの均衡をめざすことをまとめた白書。各セクターが、どのようにテクノロジーを共同設計し、公平なアクセスを実現できるかを探っています。
  • Transforming Rural Mobility with MaaS:新世代のモビリティサービスの最前線となるMaaS(Mobility as a Service)について解説。日本での事例を中心に、MaaSに共通する課題や成功要因を検証し、地方自治体や関連企業のモビリティ変革を支援します。

また、C4IRネットワーク・アフィリエイトセンターは、以下のコミットメントを発表しました。

  • C4IRブラジル:非伝染性疾患(NCD)患者のデータガバナンスのプロトタイプを立ち上げ、医療システム全体における患者のデータの遠隔監視と官民の共有を促進します。
  • C4IRコロンビア:「Data for Common Purpose Initiative」とのデータ交換に関する規制の枠組みを発表します。
  • C4IRインド:第4次産業革命の技術を種から食卓までのフードチェーン全体に活用する可能性を探るため、「農業イノベーションのための人工知能(AI4AI)」プロジェクトを開始。本プロジェクトは、60以上の産業界、政府、新興企業のパートナーに支えられ、現在、インドのテランガナ州で試験的に実施されています。また、C4IRインドは、Fourth Industrial Revolution for Sustainable Transformation of Health (FIRST Health)を立ち上げ、予防、治療、ガバナンスなど、健康の18分野における第4次産業革命技術の役割を探ります。
  • C4IRイスラエル:既存のパイロットプログラムを活用し、安全性、持続可能性、倫理性を備えたスケーラブルな商業ビジネスモデルを構築することで、「モビリティの未来」を実現することを目指しています。
  • C4IR日本:「Authorized Public Purpose Access(APPA)」と呼ばれるアプローチを開発。すべてのステークホルダーの権利と利益のバランスを取りながら、公共の利益のためにデータを使用することを目指します。
  • 第4次産業革命海洋センター:マイクロソフトとともに「海洋データに関するアクション連合」を主導。より良い政策や意思決定のために、また「life below water(水のもとの生活)」を包括的に理解するためのオープンで透明性が高く、かつ簡単にアクセスできる普遍的なデータを提供する事で、すべての関係者に開かれたデータの構築を目指します。また海洋データプラットフォームでは、データをオープンにするソリューションの中心を担います。
  • C4IRルワンダ:データ保護法に関する最新の取り組みを、技術革新と規制の概念実証ハブになるというルワンダが掲げる目標を達成するための基盤にしていきます。
  • C4IRサウジアラビア:AI、IoT、ブロックチェーンに関するアジャイルなガバナンスフレームワークに関するマルチステークホルダーのコラボレーションを進めるために設計されたプロジェクトとともに、公式発表イベントを開催します。同センターは、重量物運搬用ドローンによる高度な自律型モビリティを到来させ、自律型トラックや船舶の登場を加速させるフレームワークを開発し、空・陸・海のモビリティ機会を拡大します。
  • C4IR南アフリカ:中小・零細企業(SMME)のニーズに応えるため、SMMEによる新技術の採用を促進し、関連するリスクを軽減するための政策プロトコルを開発する一連のプロジェクトを立ち上げます。
  • C4IRトルコ:IoTやAI、その他第4次産業革命の技術が急速に普及したことで生まれた集合的合理性によって設計されたガバナンスモデルを用いて、人間中心のテクノロジーの必要性に取り組んでいきます。
  • C4IR UAE:現地での精密医療プログラムの開発に焦点を当てたレポートを発表し、インフラや規制環境など、プロセス上重要な分野をハイライトしています。これは、UAEのヘルスケア産業の成長を促進し、同時にヘルスケアデータをグローバルに交換することを目的としています。また、C4IR UAEは、複数のトークン化パイロットを主導し、ブロックチェーン技術をテストすることで、金融システムを近代化し、資本と流動性へのアクセスを改善。UAEの経済多様化とデジタル成長を促進します。

グローバル・ガバナンス・サミット2021について

21年4月6~7日に開催された世界経済フォーラムの第1回「グローバル・テクノロジー・ガバナンス・サミット」には、世界50カ国以上の政府と600社以上の企業のリーダーが参加。本サミットでは、第4次産業革命(4IR)の新技術を利用し普及させるための見通しや課題について、参加者が見解を共有しました。これらの技術は、新型コロナ感染拡大のパンデミックからの回復を確実にし、将来の危機を回避する上で重要な役割を果たします。なお、本サミットは日本の支援のもと、世界経済フォーラム第四次産業革命センターのネットワークを活用して開催されました。

<参考>
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