世界共通の利益を目的とした、公平で信頼性の高いデータ活用のイニシアチブを始動

発行済み
2020年12月09日
2020
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世界経済フォーラム パブリック・エンゲージメント・リード 栃林直子
Tel.: +81-(0)3-3560-6093 Naoko.Tochibayashi@weforum.org

  • 世界経済フォーラムは、データを活用した社会的利益を、責任をもって高めるためのガバナンスの枠組みの設計に関する、世界初のイニシアチブを発足しました。
  • 個人、民間企業、市民社会、研究および政府機関のすべてがデータ資産を交換することで、従来の経済からデータ駆動型経済への移行を促進します。
  • 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)への対応など、重要な課題を解決するには、現在アクセス不能なデータを利用できるような仕組みが必要です。
  • 10ヵ国の政府を含め、20ヵ国から50以上のグローバルパートナーが参加する、共通目的データ・イニシアチブ、DCPI(Data for Common Purpose Initiative)は、信頼性と公平性を備えたデータ利用を加速させることでデータの価値を解き放ち、第四次産業革命時代におけるイノベー ションを促進することことを目指しています。
  • 本イニシアチブの詳細はこちら

2020 年 12 月 8 日、米国サンフランシスコ - 政府、研究者、医療業界は、公益につながる意思決定を行うために、データが提供するインサイト(見通し)に常に依存してきました。公共の利益という概念は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により一層浮き彫りになった課題でもあります。将来を見据えた上で経済を再建し、こうした課題に対応する上でデータは不可欠です。

世界20ヵ国から50以上のパートナーが参加するDCPI(Data for Common Purpose Initiative: 共通目的データ・イニシアチブ)では、その基盤となるガバナンスのフレームワークの構築に取り組んでいます。このフレームワークでは、共通目的について、データポリシーとモデルを再考する事で同じデータでも状況により権限に差をつけられるような体制を作っていくものです。このような柔軟なデータガバナンスモデルは、データ駆動型経済への移行を促進する、政府主導のデータ交換を可能にします。

「毎日、世界で作成されるデータ量は約25兆バイトにも上ります。これらの情報はどれも強力なインサイトを含んでいるにもかかわらず、これまでは、データにアクセスし、有意義な方法で活用することができなかったのです」と世界経済フォーラムのプロジェクト・リード、ナディア・ヒューイットは、述べています。「このイニシアチブは、サイロ化した現状からデータを解放し、公共の利益と商業的利益の両方の機会を創出することが狙いです」。

これまでの当局機関や既存の政策・規制モデルは、データ保護と企業活動のインセンティブの間でバランスを調整するものでした。DCPIは、個人のプライバシー権を侵害することなく、合意した目的のためのデータへのアクセスを可能にするフレームワークを開発し、データ共有の実現に向けてガバナンスを整備します。

「データを作成した、あるいは提供された時点で、あらゆる潜在的用途を見極めるのは不可能です。 第四次産業革命のテクノロジーは、同じデータでも目的に応じて異なる許諾を与える方向を実現しようとしています。DCPIでは、グローバルなプロジェクトコミュニティと連携しながら、個人のデータを許可された目的にのみ使用されるようなフレームワークを共同で設計する予定です。個人の権利を重視し、尊重するとともに、経済的利益とリスクが関係者全員に適切に配分する仕組みを作るのが狙いです」。世界経済フォーラムのデータ、ブロックチェーン、デジタル資産部門長のシーラ・ウォーレンは語ります。

またDCPIは、共通の目的に向けてデータを開放する機会を設けることで、公共部門と商業部門の間のデータの転用や再利用を可能にすることを目指します。

「公共の利益のためのデータ活用は、世界経済フォーラムと DCPIがデータ信頼戦略とマインドセットを育成することができて初めて実現するものです。実行する上での課題は2つあります。ひとつは、データを管理し、保護する共通の原則に同意するにはどうしたら良いのか。もうひとつは、あらゆる人から託されたデータを適正に評価して交換するための新しい方法を構想するにはどうしたら良いのか。この2つの課題を解決することが共通目的のためにデータの本当の価値を引き出す上で重要 になってくるでしょう」と、PwC米国のグローバル・米国担当サイバーセキュリティ、プライバシー、フォレンジックリーダー、ショーン・ジョイス氏は説明します。

この複数年にわたるイニシアチブは、柔軟で倫理的なデータガバナンスのフレームワークを実現するため、政策、技術、商業的な推進要因を探る上で、政策、ツールキット、プロトコルなどの最善の構成要素を組み込むだけでなく、公共部門と民間部門のパートナーとの試験的なプロジェクトの実施を通じてガバナンスのフレームワークをテストし、情報提供を行います。また、これらのプロジェクトは、農業、エネルギー、健康、環境、モビリティなどの複数の分野にまたがっています。このように、DCPIは、個別の取り組みやプロジェクトを通して、データ分野全体を進化させることに貢献します。

主なパイロットプロジェクト

コロンビア政府が実施するパイロットプロジェクトでは、より簡単にデータ提供者と消費者をつなぐべく、初の政府主導のデータ取引市場を開発中です。

一方、第四次産業革命日本センターは、日本政府や民間と協力し、公衆衛生、医療、高齢者介護だけでなく、災害対策や交通安全といった課題に対応すべく、データ交換のあり方を模索しています。

ノルウェーにある第四次産業革命海洋センターでは、海洋産業の環境フットプリントを改善するため、最新のテクノロジーを活用しています。

提携パートナーからのコメント

「データ交換は、人々や社会がデジタル時代を最大限に活用し、データの価値を解き放ち、経済成長を促進し、その恩恵をより公平にもたらす一助となります。日本政府はデータ取引市場の採用を積極的に検討しており、この度の重要で新しい世界的な取り組みを歓迎しています」と、日本政府のデジタル改革担当大臣の平井卓也氏は述べています。

「DCPI は、グローバルな課題を解決するため、データの力を引き出す方法を模索する取り組みの一つです。このイニシアチブでは、消費者を支え、データ駆動型イノベーションの恩恵を消費者に確実に届けると同時に、関係組織が消費者のデータを保護し、プライバシーを重視するという責任を全うできるようなアプローチを形成していきたいと考えています。DCPIを通じて、データを活用して経済の発展と消費者の繁栄を支援し、プライバシーの権利を守りながら、潜在的なメリットを引き出す機会が得られます」と、Visaのシニアバイスプレジデント兼データプロダクト・ソリューションズ担当グローバルヘッドのメリッサ・マクシェリー氏は、述べています。

「今、世界のシステムアーキテクチャ、ガバナンス、経済理論が変革を遂げようとしています。新しいデータ駆動型の社会経済パラダイムにおいて、私たちが集団で繁栄するには、最終的には、いかに効果的にデータの力を活用できるかが重要です。ブロックチェーンとそれが支える分散型システムは、社会構造の整合性を損なうことなく、DCPIのメリットを実現するために不可欠な触媒となるでしょう」と、エラストス財団グローバル技術責任者、ドナルド・ブラーズ氏は語ります。

「データ駆動型経済は、これまで以上に求められています。新型コロナウイルス収束後の経済復興を推進するには、データの価値を最大限に活用する必要があります。公益のためにデータを活用したいと考えるのは、政府、市民社会、民間企業だけでなく、一般市民も同じです。世界経済フォーラムは、責任あるデータ交換を促進し、ガバナンスフレームワークを共同で構築するため、公共部門と民間部門をまとめる場です。このような機能を持つ組織は、ほかにありません」と、インペリアル・カ レッジ・ロンドン学長のアリス・ガスト氏は説明します。

「経済活動や市民の生活にデータが果たす役割は、日に日に大きくなっています。DCPIによる事業は、テクノロジーと政策の両方の観点から、効果的なデータマーケットプレイスを構築する方法を理解する上で重要です。富士通は、データが世界経済に不可欠な構成要素の一つであると考えており、この重要な取り組みに参加できることを嬉しく思います」と、富士通サービスの北欧・西欧事業部門副社長兼最高テクノロジー責任者のキャサリン・マリガン氏は述べています。

「データマーケットプレイスのアプローチから、データ交換の運用・規制フレームワークをクラウドソーシングし、ユーザーの権利を保護するとともに、革新的なデジタルビジネスモデルを推進しています。長期的に見ると、このイニシアチブによって、データマーケットの概念は、公共・民間部門の発展、あるいは個人の成長のための標準的な手法として成熟することになるでしょう」と、コロンビア政府デジタル改革・経済問題担当大統領補佐官のビクトル・ムニョス氏は述べています。

「開発されるデータ政策やモデルは、第四次産業革命が特定の人の利益になるだけでなく、社会的な影響をもたらし、国の課題を解決できるよう、公益に役立つものになるでしょう」と、南アフリカ科学工業研究評議会(CSIR)ビジネスエクセレンス・インテグレーション担当グループエグゼクティブ、第四次産業革命南アフリカセンター共同代表のクンゲカ・ンジョ氏は語ります。

「公益を目的としたデータ共有には大きな可能性を感じます。金融サービス分野では、公益のためにデータを共有可能にする上で、オープンソースのデータ規格は非常に有効です。オープンソースのデータ規格によって、金融機関と規制当局の間のデータ共有を容易にするテクノロジーが使用できるようになり、透明性を通じた金融安定という公益を満たします」と、スエード社の最高経営責任者兼共同創業者、ダイアナ・パレデス氏は述べています。

「排出量、プラスチック廃棄物、乱獲などの課題に取り組むには、主要な企業を集め、参画してもらう必要があります。私たちはすでに産業、科学、自然保護、政府などのパートナーと提携し、事業を進めています。DCPIは、コンテンツを開発する上でも、各分野の野心的なパートナーと関わる上でも、確固たるプラットフォームを提供してくれます」と、ノルウェー第四次産業革命センターC4IRオ ーシャン、最高経営責任者のビヨルン・トーレ・マルクセン氏は答えます。

本イニシアチブは、この2年間、世界経済フォーラムの第四次産業革命センターで実施されてきた事業を基礎としており、第四次産業革命がすべての人の利益をもたらすための重要な一歩です。

<参考>
DCPIの詳細はこちらをご覧ください。
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