世界経済フォーラム パブリック・エンゲージメント・リード 栃林直子
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2020年10月8日、スイス、ジュネーブ - 世界経済フォーラムの「ビジネス環境を巡る地域リスクレポート2020」によると、世界のビジネスエグゼクティブが懸念するリスクランキングでは1位に失業が、また2019年のトップだった財政危機は、今年3位となりました。
感染症は28位上昇し、継続的リスクのトップ。感染症リスクは、南アジアを除くすべての地域で上位10位以内に入りました。調査の対象地域は、 東アジアおよび太平洋 、ユーラシア、欧州、ラテンアメリカおよびカリブ海諸国、中東および北アフリカ、北米、南アジア、サハラ以南のアフリカです。尚、本調査では、テロ攻撃、異常気象、国家の崩壊または危機などの30のリスクをランク付けしています。
上位に入ったリスクは経済に関わるものがほとんどですが、今年は気候関連リスクに対する懸念が高まり、自然災害(7位上昇)、異常気象(5位上昇)、生物多様性の喪失と生態系の崩壊(8位上昇)、気候変動への適応の失敗(2位上昇)の順位の上昇度合いが顕著なものとなっています。この他に大きな動きを示したのは、人為的な環境災害(6位低下)、都市計画の失敗(7位低下)、テロ攻撃(9位低下)などでした。
「パンデミック(世界的大流行)や自動化/自動操作の加速、より環境にやさしい経済への移行などを背景とした雇用の破壊は、労働市場を根本的に変化させています。今回の危機からの脱却を図るにあたり、リーダーたちには、新たな雇用を創出し、生活賃金を支え、社会のセーフティネットを描き直して今後の労働市場の課題に適切に対処していくという、大きなチャンスがあります」と、世界経済フォーラムの取締役、サーディア・ザヒディは述べています。
「新型コロナウイルスの感染拡大により、この危機が解消された後も長く続くとみられる幾つかの長期リスクから、私たちの目はそれています。しかし、パンデミックには、多くの人たちに優先課題の見直しを促すプラスの影響もあります。こうしたプラスの影響によって、企業がリスクに対するレジリエンス(復元力)戦略を発展させ、気候変動のような、存在そのものを脅かすリスクと闘うために、決定的でインパクトのある行動をとることを願っています」。とチューリッヒ・インシュアランス・グループのチーフ・リスク・オフィサーであるペーター・ギガーは、コメントしています。
「新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした危機は、企業のレジリエンスにスポットを当てました。企業は将来を見据え、顧客や従業員の大きな行動変化に特徴づけられる脅威の全体図に合わせて、リスク対応やレジリエンスの在り方を再考する必要があると考えています。テレワークやデジタルインフラへの依存度の高まりにより、サイバーリスクの脅威が著しく増加しています。危機から一層効果的に回復するために、企業はビジネスモデルにおけるより強固な備えをし、この先混乱に直面した際のレジリエンスをさらに高めなければなりません」とマーシュのジョン・ドイル社長兼最高経営責任者は述べています。
「全世界に広がったパンデミックは、経済と社会に測り知れない損害をもたらしました。アジアのビジネスリーダーは、世界経済フォーラムの調査への回答において、感染症が地域最大のリスクになっているとの認識を示しています。イニシアティブの新しいパートナーとして、私たちは、ビジネスリーダーとその幅広いマルチステークホルダー・コミュニティが捉えるリスクの相互連関性について、理解を深めることに努めています。既に分かっているのは、パンデミックや金融リスク、気候変動などの横断的なリスクへの取り組みが、望ましい『ニューノーマル』の土台になるということです」。とSKグループ・ソーシャルバリュー委員会のイ・ヒョン・ヒ会長は述べました。
「ビジネス環境を巡る地域リスクレポート2020」は、インタラクティブマップを採用しており、マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズ、チューリッヒ・インシュランス・グループ、SKグループとの連携のもとに作成されました。世界経済フォーラムの グローバル・リスク・イニシアティブの一環を成すもので、このワークストリームでは、重大なグローバルリスクを分析し、これらのリスクについてデジタル資産とメディアを通じて、ステークホルダーおよび幅広く一般に伝えます。
調査方法
事業活動の地域リスクレポート2020年は、128カ国のビジネスリーダーから寄せられた1万2,012の回答を基にまとめられています。回答者にはグローバルリスク30項目を掲載した主要リストを提供し、「今後10年以内に貴国の事業活動において懸念が最も高いと考えるグローバルリスクを5つ」選択することを求めています。質問は毎年行われるエグゼクティブ意見調査結果に掲載されているもので、この調査は世界経済フォーラムの世界競争力レポートの一部を構成しています。世界競争力レポート2020年版は11月18日に発行される予定です。
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