グローバルな協力体制

世界経済フォーラム:スイスのサクセスストーリー

The Forum’s activities extend beyond the Annual Meetings in Davos.

世界経済フォーラムの活動は、ダボスにおける年次総会にとどまりません。 Image: Getty Images

Selina Hänni
Swiss Public Affairs Specialist, World Economic Forum
Micol Lucchi
Lead, Swiss Public Affairs, World Economic Forum
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グローバルな協力体制

本稿は、以下会合の一部です。世界経済フォーラム年次総会
  • 世界経済フォーラムは、グローバルな性質を持ちながらも、中立性、協調性、長期的ビジョンというスイスの精神と深く結びついています。
  • 同フォーラムは、組織が社会全体に対して説明責任を負うというステークホルダー理論に基づく独自の組織文化を体現しています。
  • 誤解されがちですが、年次総会は政策に介入するものではなく、対話のプラットフォームとしての役割を果たしています。

1971年に、ジュネーブに本部を置く非営利団体として設立された世界経済フォーラムは、さまざまな分野のリーダーたちが差し迫った課題に取り組むグローバルなプラットフォームへと発展してきました。そのすべての活動において、最高水準のガバナンスを維持しながら、公共の利益のために起業家精神を発揮することを目指しています。

同フォーラムはどのように「スイス的」なのでしょうか。また、グローバルなアジェンダを形成する上で、どのような特徴があるのでしょうか。

官民連携の潤滑油

政治、ビジネス、文化、社会の各分野のリーダーたちを巻き込み、同フォーラムは、ステークホルダー理論に基づく独自の組織文化を体現しています。この理論は、組織が社会のあらゆる部分に対して説明責任を負うべきであるとし、パブリックセクター、企業、国際機関、アカデミアの主要メンバーを結集することが必要であると強調しています。同フォーラムのアプローチは、長期的なソリューションを見据えて今日と明日の喫緊の課題に取り組む、グローバルでホリスティック(全体論的)かつ前向きなものです。

中立性を重んじ、ジュネーブに外交の場を提供するスイスは、同フォーラムにとって理想的なホスト国です。同フォーラムは、組織として客観的で測定可能かつサステナブルな方法で世界の状況を改善することを約束し、スイスの伝統である公平性を取り入れ、客観的な対話と協力の場として機能します。また、同フォーラムは特定の利害に縛られない独立した組織でもあります。

ヨーロッパで最も標高の高い町以上の意味を持つダボス

スイス・アルプス山脈に抱かれたダボスは、ヨーロッパで最も標高の高い都市であるだけでなく、年次総会の代名詞にもなっています。創設以来、ダボスで開催されている年次総会は、「ダボス宣言」に象徴されるオープンで協力的な姿勢を体現しています。1973年に作成され、2020年に更新されたダボス宣言は、国連の持続可能な開発のためのアジェンダに沿ったステークホルダー資本主義の原則を概説するものです。年次総会のアジェンダは毎年進化し、気候変動からパンデミック(世界的大流行)対策に至るまで、幅広く地球規模課題に取り組み、進歩を加速させ、重要な課題に対処するよう設定されています。

「ダボスの精神」

誤解されがちですが、年次総会は政策に介入するものではなく、ビジネス・パートナーシップや政治的躍進につながる対話のプラットフォームとしての役割を果たしています。

1988年のギリシャとトルコの武力衝突の回避や、南アフリカのアパルトヘイト撤廃など、年次総会は、長年にわたり歴史的な合意を促進してきました。また、企業に対して人権原則に沿った事業展開を求めるイニシアチブである「国連グローバル・コンパクト」の発表の舞台ともなりました。1990年の年次総会では「新しいヨーロッパ」に関するセッションが開催され、西欧と東欧の首脳が初めて一堂に会しました。さらに、1990年のダボスにおける年次総会では、西ドイツのヘルムート・コール首相と東ドイツのハンス・モドロウ首相との会談が行われ、ドイツ再統一の決定打となりました。

年次総会は「ダボスの精神」、つまり、同フォーラムの使命の中核をなす協力と開かれた姿勢を体現するものです。年次総会は、富や名声ではなく、前向きな変革のための専門知識と影響力に基づき招待された人のみが参加。同フォーラムのパートナー企業、政治家、市民社会のリーダーたち、活動家、アーティスト、ユース代表など、多様な声が集まります。年次総会には、グローバル・イノベーターズテクノロジー・パイオニアグローバル・シェイパーズヤング・グローバル・リーダーズシュワブ財団などのコミュニティのメンバーも参加します。

セッションの様子は、同フォーラムのウェブサイトや各種ソーシャルメディアで公開しています。2003年以来、ダボスで開催される年次総会では「オープン・フォーラム・ダボス」として、一般公開のイベントやディスカッションを開催しています。

ダボスから世界に広がる影響

同フォーラムの活動は、ダボスにおける年次総会にとどまらないことは、歴史上における以下の重要な出来事にも表れています。

  • 1998年 - ダボスにおいて先進国と新興国からなるグローバル機関の構想が生まれ、G20が発足。
  • 2000年 - GAVIワクチン・アライアンスの発足により、1,300万人以上の命が救われ、グローバルヘルスに対する同フォーラムのコミットメントの見本となる。
  • 2024年 - 国家安全保障顧問会議を開催。同フォーラムは、ウクライナの国家安全保障に関するハイレベルな議論のプラットフォームとして、主要なステークホルダー間の対話を促進。

同フォーラムは、年次総会を通じて社会的包摂や環境保護などの課題における合意形成と行動を促進しています。長期的な進歩へのコミットメントは、最近の成果を見れば明らかです。例えば「リスキリング革命(Reskilling Revolution)」は、10億人の人々が明日の経済社会に備えることができるよう、教育、スキル、学習の変革を目指すイニシアチブです。もうひとつの重要な取り組みである「難民雇用アライアンス(Refugee Employment Alliance)」は、難民の経済的統合に向けたマルチステークホルダーによる支援をグローバル規模で加速させています。また、同フォーラムは、二酸化炭素排出量の多いセクターの脱炭素化のために購買力を活用する企業のグローバルな連合体、「ファースト・ムーバーズ・コアリション」を主導しているほか、ステークホルダーが公平で人間中心の産業、経済、社会の変革のために技術進歩の可能性を最大限に活用できるよう支援する「第四次産業革命センター」を運営しています。

スイスとの緊密な協力関係

スイスと世界経済フォーラムの協力関係は、単に象徴的なものにとどまらず、具体的な取り組みに深く根ざしています。

2015年には、ホスト国協定が締結され、同フォーラムが「官民連携のための国際機関」であることが認められました。

2019年に設立された「ハウス・オブ・スイス」は、年次総会期間中、実務会議、テーマ別イベント、政・財・科学関係者間の協力のためのプラットフォームを提供します。

2020年、同フォーラムは創立50周年を迎え、スイス連邦議会が年次総会に出席するという節目を迎えました。この機会に、デジタル化、食料と水の安全保障、サステナブルな建築文化、変化する労働のあり方などのテーマをめぐる協力関係を深化させるための協定が締結されました。

世界経済フォーラムは、中立性、協調性、長期的ビジョンというスイスの精神と深く結びついています。世界のより良い未来の形成に貢献するスイスの例を示しつつ、これからもグローバルアジェンダの形成において極めて重要な役割を果たし続けていきます。

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