エネルギー転換

日本のエネルギー転換、次なる展望は

エネルギーを輸入に頼り、送電網が孤立している日本における将来のエネルギーの安定供給には、再生可能エネルギーへの移行が不可欠です。

エネルギーを輸入に頼り、送電網が孤立している日本における将来のエネルギーの安定供給には、再生可能エネルギーへの移行が不可欠です。 Image: Jezael Melgoza/Unsplash

Kiriko Honda
Interim Chief Representative Officer, Japan, World Economic Forum
Harsh Vijay Singh
Acting Head, Equitable Transition, World Economic Forum
Ken Ishizawa
Senior Manager, Accenture
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エネルギー転換

本稿は、以下センター(部門)の一部です。 エネルギーとマテリアル
  • エネルギーを輸入に頼り、送電網が孤立している日本で、エネルギーの安定供給を図るためには、再生可能エネルギーへの移行が不可欠です。
  • 二酸化炭素排出削減が困難な産業におけるネットゼロの実現には、初期のプロトタイプ段階にある多くの革新的な生産技術の開発スピードを上げることが重要です。
  • 日本では、水素の普及が進んでいますが、低排出水素への移行に向けた行動をより強力なものとして加速させる必要があります。
  • このような新たな資源への民間投資を促進するためには、日本市場における明確なビジョン、基準や規則が定められる必要があります。

G7気候・エネルギー・環境大臣会合コミュニケでは、ロシアのウクライナ侵攻が引き起こしたグローバル危機に加え、気候変動、生物多様性の喪失、汚染という三重のグローバル危機に私たちが直面していることを明確に示しています。こうした状況は、経済的・社会的混乱、健康への脅威、環境破壊の悪化を招いています。温暖化を今後も1.5℃以下に抑制していくためには、科学的証拠に基づいた温室効果ガス排出量の削減と気候変動に対するレジリエンス(強靭性)の向上が急務であり、早急かつ具体的な行動が世界的に求められています。

脱炭素化の解決を優先する

世界経済フォーラムの日本エネルギー転換イニシアチブ(Japan Energy Transition Initiative)とアクセンチュアは、潜在的なエネルギーソリューションが市場全体にもたらす経済的、環境的、社会的、技術的な影響を包括的に評価する、システム・バリュー・フレームワーク(System Value framework)に基づき、日本の脱炭素化対策を評価しました。このフレームワークは、政治的・商業的な焦点を、コストにとどまらず社会的価値の付加へとシフトさせることを目的としたものです。

日本は、エネルギー自給率が低く、他国と電力網が接続されていないなど、特有の状況にあります。それに加えて、電力・ガス自由化の進展やエネルギー危機など、周辺環境に著しい変化が起きていることも考慮しなければなりません。

日本が掲げる脱炭素化の目標達成に向けて、最もシステム価値の高い手段となる可能性を秘めているのが、再生可能エネルギーの利用加速です。これは、温室効果ガスの排出削減だけでなく、資本の費用対効果、グリーン雇用の創出、エネルギー安全保障の強化という点でもあてはまることです。また、再生可能エネルギーだけでは、適地の限界や生産能力の確保に懸念があるため、移行を後押しするためには原子力発電所の安全な活用が有効でしょう。

脱炭素化のための重点分野

2020年には、日本の二酸化炭素排出量の36%が産業界から排出されており、産業部門における脱炭素化は、日本が排出削減目標を達成するために不可欠な重要課題となっています。例えば、熱需要は容易に電化することができません。日本の産業部門がさまざまな技術(廃熱や副生ガスの利用など)を導入してエネルギー効率を向上させたとしても、エネルギー消費の大部分は化石燃料によるもので、生産工程だけでなく、自家発電からも依然として大量の二酸化炭素が排出されています。

特定の場所でエネルギーや材料が入手可能かどうかといった要因もまた、製品ポートフォリオに大きな影響を与えます。例えば、日本の鉄鋼生産は、スクラップを原料とする電気炉(EAF)や直接還元鉄(DRI)ルートよりも、排出集約型の高炉(BF)ルートに大きく依存していますが、その背景には、鉄鋼バイヤーが品質の高さを求めていることや、資源(天然ガスやDRIグレードの鉄鉱石など)の入手経路が限られていることなどの理由があります。

現在、低排出水素やアンモニアの導入、二酸化炭素回収・貯留(CCS)や二酸化炭素回収・有効利用(CCU)技術の活用といった技術開発が進められており、こうした技術の普及が、今後、産業部門の脱炭素化を加速させていくでしょう。産業部門における脱炭素化をさらに促進するためには、産業クラスターにおける企業間の協力もまた、不可欠となります。

Image: World Economic Forum/Accenture

脱炭素化の鍵を握る技術

日本のエネルギーシステムの構造、日本経済において重工業と製造業が果たす役割、そして、エンジニアリングにおける高い専門性を考慮すると、低排出水素とアンモニアは、移行を加速させる重要なイネーブラーとなるでしょう。また、これらは、既存の火力発電所のエネルギー源の脱炭素化を進める上で、代替燃料として注目されています。

日本政府は、関係者との協議を進めており、2023年2月に閣議決定された「GX(グリーントランスフォーメーション)の実現に向けた基本方針」では、水素・アンモニアのサプライチェーン構築や、水素・アンモニアハブの整備に向けたインフラ投資に関する具体的な方針が示されています。

エネルギー転換をさらに加速させるためには、今後、市場のスケールアップを支援する民間投資を促進することが重要となり、その実現のためには、短期的・長期的なビジョンを市場参加者と共有し、標準化と法的確実性を明確にすることが不可欠となります。

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Shunichi Miyanaga

2024年1月11日

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