開発途上国における、技術系フリーランスの需要ギャップを埋める方法
開発途上国における、技術系フリーランスの需要ギャップを埋める方法 Image: Freepik.com
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テックとイノベーション
- デジタル化と新型コロナウイルスの感染拡大による影響が、開発途上国におけるフリーランスの需要を高めています。
- UpworkやFiverrなどのオンラインプラットフォームを通じて得られる、技術系の仕事の需要は高まりを見せています。
- しかし、インターネットへのアクセスを拡大し、労働者が主要なデジタルスキルを身につけられるようにするためには、さらなる投資が必要となります。
専門的な知識、スキル、経験を持つ自営業者であるフリーランスは、通常、複数のクライアントを抱え、プロジェクトごとに報酬を受け取る形態を取ります。新型コロナウイルスの感染拡大により、勢いを増したデジタル化の波に押され、企業が生産性向上のためにデジタルソリューションへますます頼るようになったことで、開発途上国では、フリーランスの需要が高まってきました。
主にデジタル化の進行が、技術系の仕事に対する需要の顕著な急増を招いていますが、UpworkやFiverrなどのオンラインプラットフォームが、フリーランスと雇用主を繋ぎ、こうした需要の増加に対応しています。
こうしたプラットフォームが、開発途上国において英語力と需要の高いデジタルスキルを持つ経験豊かなフリーランス人材に、より高収入の仕事の機会を提供するようになり、「才能は平等に分配されるが、機会はそうではない」という定説は、時代遅れになりつつあります。リモートワークがもたらす経済的利益を享受している国のひとつに、バングラデシュがあります。
フリーランスの機会を活用するために
国際労働機関(ILO)の報告書「仕事の世界を変革するデジタル労働プラットフォームの役割(The Role of Digital Labour Platforms in Transforming the World of Work)」によると、開発途上国の人々に仕事へのアクセスや平等な機会を提供するためには、3つの課題を克服する必要があります。それは、限られた社会保障へのアクセス、先進国と開発途上国の間におけるフリーランスの給与格差、そして、さまざまな支払い方法が存在するために断片化されている支払いへのアクセシビリティです。さらに、開発途上国では、若者と女性の失業率が高いこともまた、大きな課題です。
安価で堅牢なブロードバンドインターネットサービスや、ユーザーのニーズを満たすインターネットへの接続が可能な機器の提供、市民のデジタルスキルの習得など、デジタル・デバイド(情報格差)の解消を目指した公共政策は、こうした課題を克服する鍵となります。例えば、インドにおける、スマートシティ(Smart City)、スワッチ・バラート(Swachh Bharat)、デジタル・インディア(Digital India)といった政府のイニシアチブは、同国の社会変革とデジタル・エンパワーメントを目指しています。また、オックスフォード大学を拠点にしたプログラム、「繁栄への道(Pathways for Prosperity)」や「デジタルの道(Digital Pathways)」などは、開発途上国が、デジタル技術の効果的なガバナンスを通じて包括的に成長することを目指している。
バングラデシュでは、2018年から2022年にかけて実施されたパイロット・プロジェクトを通じて、農村部の若者を訓練するフリーランス・インキュベーターが設立され、若者たちは、インターンシップを終えた後にオンライン・フリーランス市場への参入を果たしました。25歳以下が全人口の60%を占めるサハラ砂漠以南の地域では、大陸ベースのフリーランス・プラットフォーム(Decagon、Pariti、Gebeya)の登場により、デジタル・トレーニング・プログラム(Semicolon、Moringa、Ajira Digital、Umuzi)が急増している。
近年、仕事の未来などをテーマにしたコミュニティベースのアクションを支援する官民パートナーシップの台頭により、デジタルフリーランスの潜在的なメリットを可能な限り広く、包括的に普及させようという動きが出てきています。世界経済フォーラムのニューエコノミーとソサエティセンター(Centre for the New Economy and Society)が主導する横断的イニシアチブ「アクセラレーターズ・ネットワーク(Accelerators Network)」は、このようなプラットフォームのひとつであり、インド、ナイジェリア、カンボジアでは、若者と女性に焦点を当てたスキリング・アクセラレーターが立ち上げられています。
国連難民高等弁務官事務所(UNICEF)による2023年のグローバル・アピールでは、今年末までに、難民、国内避難民、無国籍者の数が過去最高の1億1,700万人に達し、5人のうち4人を開発途上国が受け入れることになると予測されています。強制的に避難させられた人々は、法的な制約、適切な職務経験の欠如、年齢や性別による偏見などを理由に、労働市場に参入できないことが多くあります。
こうした制約を克服するために、近年、こうした人々がフリーランスとしてデジタルエコノミーでキャリアをスタートできるよう、必要なスキルや実務経験を身につける機会を提供する取り組みが数多く進められています。世界各国の若者をデジタルエコノミーにつなげることを目的とした世界食糧計画(WFP)のプロジェクト「EMPACT」や、シリアやイラクの避難民に技術や起業のスキルを習得させることを目指した組織「WorkWell」、難民の女性開発者が率いるレバノンのウェブ開発会社「Concat」などがその例です。
労働者をエンパワーする
開発途上国でフリーランスとして働く人々が、リモートワークの世界を最大限に活用し、その過程で経済的な流動性を向上させ、国に変革を起こしています。さらに、フリーランスは、女性、若者、難民、避難民をエンパワーすると同時に、歴史的な雇用の障壁を打破し、固定観念や染み付いた偏見に挑戦することで、包括的な経済成長を促進しています。その傾向は、特に開発途上国において顕著に見られます。しかし、ブロードバンドインターネットサービスの改善や、デジタルスキルを身につけるためのトレーニングプログラムへの投資など、今後取り組むべき課題はまだ残されています。
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