世界を襲う食料価格の高騰、影響が最も深刻な国は
世界的な生活費の危機により、多くの国で食料価格のインフレ率が2桁や3桁を記録しています。 Image: Unsplash/Philip Myrtorp
- 多くの国で食料価格のインフレ率が2桁や3桁を記録し、生活費の危機が深刻化しています。
- 最も厳しい状況に置かれているのはジンバブエで、前年比の食料インフレ率が285%に達しています。
- 世界銀行は、食料と栄養の安全保障強化、リスクの軽減、食料システムの強化を目的とし、300億ドルの支援策を発表しました。
- 世界経済フォーラムによる最新のチーフ・エコノミスト・アウトルックは、2023年末までに生活費危機とエネルギー危機の両方が緩和される可能性があると示しています。
世界銀行によると、歴史的な価格の高騰、ロシア・ウクライナ戦争、不安定な肥料市場などの影響を受け、多くの国で食料価格のインフレ率が2桁や3桁を記録し、生活費の危機が深刻化しています。
2023年に入ってからすでに、低所得国の約5分の4、低中所得国の9割以上が、前年比5%を超える食料価格の上昇を経験し、多くの国がさらに高いインフレ率に直面していると、世界銀行の食料安全保障アップデートで報告されています。
最も厳しい状況に置かれているのはジンバブエで、前年比の食料インフレ率が285%に達しています。続いて、ベネズエラでは158%、レバノンでは143%と、深刻な状況です。
4位のアルゼンチンは、インフレ率が2桁に達した国の中で最も高い95%。10位のハイチは前年比53%の値上がりを記録しました。
世界的な食料危機は、ロシアのウクライナ侵攻後に各国が国内の食料供給を増やし、インフレを抑制しようとした結果、食料貿易制限が課されたことで悪化しており、世界銀行によると、2022年12月時点で、19カ国が食料輸出禁止、8カ国が輸出制限措置を講じています。
生活費危機が世界最大の脅威に
世界経済フォーラムのグローバルリスク報告書2023年版では、今後2年間に直面する最も深刻なリスクとして、生活費危機による影響がトップに挙げられており、政府や中央銀行は頑強なインフレ圧力の抑制に努めています。
「食料価格の上昇は、最貧国と最も脆弱な層に壊滅的な影響を及ぼしている」と話すのは、世界銀行グループのデイビッド・マルパス総裁。「各国はエネルギーと肥料の供給を増やし、農家の作付けと収穫量の増加を支援し、輸出入を妨げたり、食料をバイオ燃料に転用したりと、不必要な貯蔵を促すような政策を撤廃するために、協調して努力すべきである」と、訴えています。
世界の食料価格高騰による負担を軽減するには
2022年5月、世界銀行は、食料と栄養の安全保障強化、リスクの軽減、食料システムの強化を目的とした、既存および新たな短期・長期プロジェクトの規模を拡大するために、300億ドルの支援パッケージを発表しました。
農家とその生産物の支援措置を講じることが優先課題に挙げられているこの支援策では、投入財貿易の障壁の撤廃、より効率的な肥料の使用、来年の生産量を増やすための政府の政策や資源の再形成などが提案されています。
また、世界貿易の障壁を緩和するために、G7、G20、その他のグループの間で国際的なコンセンサスを得ることも目指しています。これは、食料価格を押し上げる国家的な輸出制限や、発展途上国の生産を抑制する輸入制限のような保護主義的な措置に対抗することを意味します。
脆弱なコミュニティは、栄養に配慮した社会保護プログラムの規模を拡大し、早期対応融資メカニズムが適切に資金を供給されるための支援を必要としていると、世界銀行は強調しています。
そして、ますます脆弱になりつつある食料システムを、貿易の途絶、経済的ショック、紛争による混乱、気候変動、病気や害虫などの影響に対し、よりレジリエントなものにするための投資が必要です。これは、すべての人にとって安全な食料の未来を確保するために、短期的なニーズと長期的な投資のバランスをとることを意味します。
短期的な展望に関しては、明るい兆しもあります。世界経済フォーラムによる最新のチーフ・エコノミスト・アウトルックは、2023 年末までに生活費危機とエネルギー危機の両方が緩和される可能性があると示しています。
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