• 世界銀行によると、ヨーロッパ、中東、アフリカ、中央アジアの一部の国は、通常、小麦の75%をロシアとウクライナから輸入しています。
  • ロシアによるウクライナ侵攻によって、低所得国では「飢餓と食糧不安」がますます悪化する可能性も。
  • ロシアやウクライナとの貿易規模が大きい国ほど、経済的な悪影響を受けると考えられます。

ウクライナにおける戦争によって、 低・中所得国では、新型コロナウイルス感染拡大がもたらした経済的被害から回復することが困難になると、世界銀行は警告しています。

この戦争によってウクライナの国民や経済は大きな打撃を受けましたが、それ以外に世界の数百万の人々にも重大な影響を及ぼしているのです。

貿易、金融、人の移動などでロシアやウクライナとつながりが強い国は、「即自的な被害」を受ける可能性があると世界銀行は述べています。

ロシアやウクライナからの食料輸入に大きく依存している国も、影響を受けます。世界銀行によると、この中には、小麦の75%をロシアとウクライナから調達しているヨーロッパ、中東、アフリカ、中央アジアの「小さな経済圏」が含まれます。

食品貿易の混乱

最大のリスクは、ロシアやウクライナからの穀物や種子の生産または輸送が断たれる可能性があること。

これによって、低所得国では、価格上昇に加えて「飢餓と食料不安の悪化」が生じる可能性があると、世界銀行は警告しています。

世界銀行のデータによると、種子油、トウモロコシ、小麦などの食料品を含む製品の輸出量におけるウクライナのシェアのうち、種子油については、全輸出量の40%以上を占めています。

これは、ウクライナが世界最大のヒマワリ油輸出国であるからであり、データ視覚化サイトの経済複雑性観測所によると、ヒマワリ油の最大の市場はインド、中国、トルコ、オランダとなっています。

また、ウクライナからの輸出は、世界のトウモロコシ輸出量の13%以上、小麦輸出量の5%以上を占めているのです。

ロシアの食料・エネルギー輸出

世界銀行によると、ロシアは世界の小麦輸出量の18%、肥料輸出量の14%を占めており、エネルギーや金属の市場でも「大きな影響力」を持っています。

ロシアは、世界の天然ガス輸出量の4分の1、石炭輸出量の18%、プラチナ出荷量の14%、原油輸出量の11%を占めています。

原油価格は過去6ヶ月で2倍以上上昇しており、このままでは南アフリカ、トルコ、中国、インドネシアなどの国で経済成長率が20〜50%低下すると世界銀行は予測しています。

食糧危機への対応

国際食糧政策研究所の研究者が世界経済フォーラムに寄稿した論文によると、食糧危機に対処する方法は主に3つ

他の主要な穀物生産国が在庫を放出するなどして輸出を増やすことが一つの方法です。ロシア以外の主要産油国が供給を増やすことで、燃料、肥料、輸送コストを減らすことが可能です。

各国政府はそれまでの間、食料配布や経済支援などで自国民を守らなければならないのです。

ロシアのウクライナ侵攻が世界の食糧・エネルギー供給に与える影響については、世界経済フォーラムのポッドキャスト、Radio Davos(ラジオ・ダボス)でも解説されています。

ポッドキャストの中で、国連世界食糧計画のデイビッド・ビーズリー事務局長は以下のように述べています。「ここで難しいのは、ウクライナが地球上の4億人の人を養えるだけの食糧を栽培している国だということです」「農業従事者が戦場にいて作付けや収穫をしなくなったとしたら、どのような影響が予測されるでしょうか」。