• どうすれば、廃棄物を埋め立て地や海に捨てずに済むのでしょうか。
  • その答えは、素材とそれを再利用できる人々をマッチングさせることです。
  • 廃棄物のための新しい「マッチング」サイトは、まさにそれを行っています。
  • オランダのスタートアップ企業、エクセス・マテリアルズ・エクスチェンジ(EME)社は、UpLinkのサーキュラー・アクセラレーター・プログラム2021のメンバーです。

世界で最も環境に優しい「マッチングサイト」へようこそ。しかし、ここで見つけられるのは人生のパートナーではありません。このサイトは、廃棄物と、それを再利用して二酸化炭素の排出量を削減するソリューション素材をマッチングさせるものです。

多くの企業にとって、廃棄物の処理は非常に頭の痛い問題です。特に、従来のリサイクル方法に適さない廃棄物の場合はなおさらです。この問題を解決させるため、オランダのスタートアップ、エクセス・マテリアルズ・エクスチェンジ(EME)社は、廃棄物を再利用する方法を見つけるだけではなく、企業が廃棄物から利益を得られるようにすることを目的とした取り組みを進めています。

「私が運営しているのは、マッチングサイトです」と、創業者のマイカ・エメ・ダーメン氏は、テクノロジーを駆使したこのビジネスについてTEDxトークで語っています。「このサイトは、再生資源や、人が捨てる廃棄物をマッチングさせるものです。素材の需要と供給を、最も価値ある形で結びつけています」

a diagram showing how to the circular economy works
サーキュラー・エコノミー
イメージ: Ellen MacArthur Foundation

オランダを拠点とする同社は、SDGs達成のためのイノベーションを目的とした、世界経済フォーラムのクラウド型デジタル・エンゲージメント・プラットフォーム「アップリンク(UpLink)」を通じて開催されている「サーキュラー・アクセラレーター・プログラム2021」のパイオニアの1社として200社を超える応募から選出されており、同社がこれまでに協力した10社が再利用可能な廃棄物から生み出した経済的価値は、すでに7,600万米ドルにのぼります。

アクセンチュアが中心となり、アングロ・アメリカンエコラボシュナイダーエレクトリックとのパートナーシップのもと実施された6ヶ月間のこのプログラムは、循環型社会の実現を目指すイノベーターたちに、それぞれのニーズに合わせたサポートとメンターシップを提供し、業界のリーダーたちと結びつけることで、彼らのソリューションの拡大を支援しています。

このプログラムを運営しているUpLinkは、2020年の世界経済フォーラム年次総会で発。SDGsの達成を推し進める革新的なアイデアのスケールアップを支援するための、専門知識とリソースをクラウドソースするプラットフォームです。

素材のアイデンティティを知る

このサイトでマッチングされる素材には、その組成、原産地、毒性、再利用の可能性を分析するデジタルパスポートが付与された後、AI(人工知能)によるマッチメイキングで最適な再利用方法が特定されます。

「どのマッチングサイトにも言えることですが、私たちのサイトでも、一番肝心なのはアイデンティティです」と、マイカ氏。「必要なのは、プロフィールを良く見せることです。今、多くの貴重な素材が、その価値が伝わらないために無駄になっています」

「そこで、私たちは、リソースパスポートという形でそれぞれの素材にアイデンティティを与えています。これは、例えるなら食品の成分表のようなものです」

成分を解明する

素材の成分を特定することで、新たな価値を生み出す方法を見出すことができたと、マイカ氏は強調します。彼女が引き合いに出したのは、オレンジの皮です。オランダでは1日に68トンものオレンジの皮が廃棄物として出され、バイオガスに変えられていました。

a picture of used orange peel which has many uses
香水から飼料まで、多くの可能性を秘めたオレンジの皮
イメージ: Pixabay/congerdesign

パスポートの詳細な情報から、オレンジの皮の表皮には、石鹸や香水に使用できるオイルや香料が含まれていることと、真皮の繊維は家畜の飼料に適していることがわかりました。

EME社はこれまでに、石鹸や堆肥、インクの顔料になる成分を含んでいることが明らかになったコーヒーかすや、建築用の梁として再利用ができ、スクラップ価格の6倍の価値があるスチールレールなど、18種類の素材についての予備研究を行ってきました。

さらに、企業の参加を促すために、ブロックチェーン技術を用いて企業の機密性を保護するとともに、バーコード、QRコード、RFIDチップで素材の移動や再利用を追跡できるようにもしています。

廃棄物の市場を創出し、買い手が廃棄物の成分とその可能性を確認できるようにすることで、EME社は、従来のリサイクルと比較して素材の価値を平均110%向上、エコロジカル・フットプリントを平均60%削減できるとしています。

エレン・マッカーサー財団の調査によると、セメント、アルミニウム、スチール、プラスチック、食品のわずか5種類の素材でサーキュラー・エコノミーを実現するだけで、製造業が排出する二酸化炭素のほぼ半分を削減し、2050年までに93億トンもの二酸化炭素の削減を実現することができます。

「私たちが示したいのは、このマッチングサイトが地球を救えるということです」と、マイカ氏は言います。「廃棄物には価値があり、もう捨てる必要はありません。私たちが捨てなければならないのは、廃棄物という言葉そのものです」