Climate Action

日本の金融機関、温室効果ガス排出量のゼロ目標に直面

日本の金融機関が温室効果ガス排出量のゼロ化の要請に直面している。写真は2011年1月、川崎市の京浜工業地帯で撮影

日本の金融機関が温室効果ガス排出量のゼロ化の要請に直面している。 Image: 2020年 ロイター/Issei Kato

Katrina Hamlin
Global Production Editor, Columnist, Hong Kong, Reuters
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日本の金融機関が温室効果ガス排出量のゼロ化の要請に直面している。菅義偉首相は2050年までの実質ゼロ目標を打ち出した。三菱UFJ銀行、みずほフィナンシャルグループ8411.Tなど日本の金融機関にとっては脅威かもしれない。とりわけ、強力な投資家たちが脅しのムチを振るおうとしているのだから。

2011年の東日本大震災時の福島原発事故の後、日本の政治家たちは温暖化対策に及び腰になった。同国の原発の90%以上が運転を休止し、化石燃料があたかも必要不可欠な存在になったからだ。同国の低経済成長にもかかわらず、石炭と天然ガスの輸入は増加している。

日本の銀行も協力した。フェア・ファイナンス・アジアによると、2014年から19年に日本の金融機関がアジア各地の化石燃料産業向けに実施した融資や引き受けは総額約1660億ドル(約17兆4798億円)。みずほと三菱UFJと三井住友銀行の3行が合わせて8割以上だった。この3行は昨年の別の調査でも、新規石炭火力発電所向けの案件が世界でもトップだと指摘されていた。

大手の投資家は今、気候変動を投資に織り込む準備ができている。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は10月、昨年度に運用資産1兆6000億円のうち、排出量の多い投資先を約15%減らしたと発表した。

「物言う投資家」も動いている。ロイターの報道によると、みずほの株主グループは事業活動を「パリ協定」に準拠させるよう求めた。日本企業が気候変動問題で株主提案を受けた初の事例だった。

日本の経済では石炭と石油、天然ガスが揺るぎない存在だ。そのため、方向転換への努力は火急の要請という意識に欠ける。比較的進歩的なGPIFですら、気候変動リスクに関する94ページの報告書で、こうした問題に関わる資産について1回言及しただけだ。

だから銀行の反応も控えめだった。最も排出量の多い燃料である石炭では、みずほと三菱UFJがすべての関連プロジェクトへの融資をやめると言っている目標年はそれぞれ2050年、40年だ。三井住友銀行はこうしたプロジェクトへの新規融資はやめている。

日本の政治家の政策次第で変化は促されるだろう。彼らは排出量削減のため、炭素価格や再生可能エネルギー、あるいはもっと重要な方策を取ることができる。こうしたすべてが、投資家の勢いをかき立てるだろう。

福島原発事故から10年。急進的なプランも牽引力を得るかもしれない。菅政権が排出量目標を打ち出した翌日に、ある政府高官はもっと原発が新設されてよいとほのめかした。これにはまだ早過ぎるかもしれないが、菅首相が気候変動問題を真面目に考えようとしているのは明らかだ。銀行の役員室で気候変動を重視する株主の意見が検討される日は近いかもしれない。

〈背景となるニュース〉

  • 菅義偉首相は10月26日の就任後初の所信表明演説で、国内の温室効果ガス排出を2050年までに実質ゼロにすると宣言した。目標実現への具体的な将来は明らかにしていない。
  • フェア・ファイナンス・アジア(FFA)の9月のリポートによると、日本の金融機関が2014年から19年にアジア5カ国・地域で化石燃料産業向けに実施した融資と引き受けは約1660億ドル相当だった。FFAはアジア地域の民間組織25団体で構成するネットワークだ。

*この記事は、Reutersのコラムを転載したものです。

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