複合危機の時代に、開発機関はどうすれば力を発揮できるのか?

A volunteer gives a meal to a woman at a charity kitchen during Ramadan in Sanaa, Yemen.
An increasingly uncertain world … a volunteer gives a meal to a woman at a charity kitchen during Ramadan in Sanaa, Yemen.Image: Reuters/Khaled Abdullah
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  • 現在の世界情勢は、開発機関に圧倒的な課題を突きつけている。

  • 持続可能な開発目標(SDGs)の達成には、国家主体と非国家主体が協力しなければならない。

  • 人道支援組織が複雑さを増す環境で力を発揮するには、パートナーシップを育み、機動力を高める必要がある。

スイス開発協力庁(SDC)は、他の開発機関と同様、現在、複合危機の状況下で活動している。緊急事態には、新型コロナウイルス感染症に加え、長期化する紛争や新たな紛争による脆弱性の高まり、気候変動の悪影響などがある。

国際協力に携わる主体は脆弱な環境で活動することが想定されているが、現在の課題の規模は圧倒的に思える。新型コロナウイルス感染症はすべての国に影響を及ぼしたものの、開発途上国はパンデミックの社会的、経済的、健康面の影響を深刻に受けた。極度の貧困は20年ぶりに増加に転じ、経済格差とジェンダー格差もさらに拡大している。

国連によると、世界では1945年以来、最も多くの紛争が発生している。ウクライナ、イエメン、アフガニスタンはその一例にすぎない。地政学的状況は、開発や人道支援に携わる主体にとって常に重要な要素だった。グローバル化とデジタル化が進む世界では、危機や紛争が国境を越えて急速に広がり、数多くの波及的な影響を同時にもたらす。さらに、気候危機にエネルギー価格と食料価格の上昇が重なり、エネルギー転換をどう実現するかをめぐる議論が加速している。

こうした状況において国際協力は不可欠だが、関係機関だけで世界的な課題に立ち向かうことはできない。開発途上国が利用できる国内外の公的・民間資源は、依然として大きな圧力にさらされている。OECDによると、パンデミックの影響で、開発途上国における持続可能な開発目標(SDGs)の年間資金不足額は2.5兆ドルから4.2兆ドルに拡大した。この不足額には、ウクライナでの戦争がすでに多くの国のエネルギー価格、食料安全保障、安定に及ぼしている壊滅的な影響は含まれていない。2030アジェンダを失敗に終わらせないためには、政府開発援助を超える大幅な資源の拡充が必要だ。世界的に増加する貧困を緩和し、その拡大を防ぐため、開発機関はいかに支援を結集できるのかが問われている。

共通善のための共通の目標

見通しがどれほど厳しくても、国際社会が2030アジェンダに取り組むと約束し、明確な意思を示したことを忘れてはならない。2030アジェンダの17のSDGsが2015年に採択されたことは、パラダイムシフトを示すものだった。共通の指針を定め、さらに重要なことに、世界共通の課題への対処について、グローバル・ノースとグローバル・サウスの共通認識を反映した。

パンデミックで後退を余儀なくされたにもかかわらず、国家主体と非国家主体は、集団で行動する重要性を認識している。各国による動員に加え、非国家主体もSDGsの達成に重要な役割を果たす。世界各地で、市民社会、民間・金融セクター、財団、国際機関の関与が強まっている。これらの主体は目標の達成に向けた革新的な解決策を探っている。その役割はSDG 17に明確に認められている。「実施手段を強化し、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを活性化する。」

ここで鍵となるのはパートナーシップだ。国家主体と非国家主体が協力しなければ、SDGsは達成できない。それぞれが強みを生かし、影響力を高めるべきだ。国家主体には、適切な枠組みを整える責任がある。政策が包摂的であり、誰一人取り残さないという原則に沿って機能するようにすることが求められる。これは2030アジェンダの中核をなす変革の約束であり、公平な開発を実現し、社会のレジリエンスを高めるうえで不可欠だ。

貧困の撲滅は、健康と教育の向上、不平等の縮小、経済成長の促進、気候変動への対処に向けた戦略と一体で進めなければならないImage: SDC

危機から生まれるイノベーション

そのため開発機関には、機動力を高め、複数のパートナーシップに参加し、世界的な課題への取り組みを目的に、関係者を集める機会を増やすことが求められる。SDGsの達成に資金が重要であることは言うまでもないが、資金を増やせばすべてが解決するわけではない。最も困難な状況で成果を上げ、世界的な課題に直面するなかで結果を出すには、ドナー、多国間機関、その他の関係者が互いの声に耳を傾け、緊密に協力しなければならない。協力は明確な目的に基づく必要がある。持続可能な開発には、すべての関係者の新たな考え方が求められる。

だからこそスイスは、多国間および二国間のパートナーと対話し、集団的な世界の安全保障と効果的な多国間主義を強化し、目的に基づく行動を後押ししながら、グローバル・パートナーシップを強固にしている。

こうした複雑な課題に異なる方法で取り組む例として、初のスイス国際協力フォーラムが3月31日から4月1日にかけてジュネーブで開催された。フォーラムは「共に、異なるままに」をモットーに、若者、学術界や民間・金融セクターの専門家、国際協力機関を集めた。通常なら出会うことのない人々が、気候変動に対処するための緊急の行動をめぐり、革新的なアプローチを見いだした。

「複合危機の時代」にあっても、開発機関は既成概念にとらわれず、革新を進め、新たな課題に適応する限り、重要な役割を果たし続ける。鍵となるのは、より強固なネットワークを築き、機動力を保ち、常により大きなインパクトを目指すことだ。

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