世界を共に前進させる、次世代リーダーシップ

2025年のヤング・グローバル・リーダーズ・サミットに集う参加者たちが手を挙げている写真。絶え間ない変革と混乱が特徴的な現代社会には、次世代リーダーシップのモデルが必要です。

絶え間ない変革と混乱が特徴的な現代社会には、次世代リーダーシップのモデルが必要です。 Image: World Economic Forum/Pascal Bitz

Ida Jeng Christensen
Head of the Forum of Young Global Leaders, World Economic Forum
Marie Sophie Müller
Insights Lead, The Future of Leadership, World Economic Forum
Thomas Roulet
Professor of Leadership, University of Cambridge
Judy Sikuza
Chief Executive Officer, The Mandela Rhodes Foundation
本稿は、以下会合の一部です。世界経済フォーラム年次総会2026
  • 絶え間ない変革と混乱が特徴的な現代社会において、従来のリーダーシップモデルは機能不全に陥っています。
  • 「グローバル・フューチャー・カウンシル - リーダーシップ」は、リーダーシップの再構築と信頼向上に向けた4つの変革領域を特定しました。
  • 同組織の新たな報告書は、セクター、世代、地域を越えた新たなリーダーシップモデルの議論、共同設計、実証のための協働プラットフォームの創設を提唱しています。

リーダーシップに対するグローバルな信頼は、史上最低の水準にありますが、絶望して手をこまねいているばかりではありません。新たな世代の若手リーダーたちは、この信頼の欠如を設計課題と捉え、リーダーシップの基盤そのものを再構築しています。

この課題の規模は極めて大きなものです。2025年の『エデルマン・トラスト・バロメーター』によると、約70%の人々が政府や企業のリーダーたちが意図的に誤った情報を流していると信じています。さらに同調査では、社会の各層にゼロサム思考が蔓延していることが示されています。各国の様々な分野から130人以上の若手リーダーたちを対象とした最近の調査では、82%が「過去10年間で政治、企業、学術、非営利団体のリーダーたちに対する信頼が低下した」と回答。リーダーシップの行使を困難にしている主な要因として、政治的な二極化(24%)と事実に基づく公共の議論や意思決定の衰退(20%)が挙げられました。ただし、若い世代にとって、この信頼の欠如はより深い危機の兆候でもあります。すなわち、リーダーシップモデルの進化が現代世界の課題のスピードに追いついていないという危機です。

ヤング・グローバル・リーダーズ(YGL)コミュニティと、同コミュニティの「グローバル・フューチャー・カウンシル - リーダーシップ」は、過去1年間にわたり、リーダーシップに関するグローバル対話シリーズ(YGLサミット2025など)を通じて、また、前述の調査において130名以上の若手リーダーに対し、新たなリーダーに求められる要件について質問を行って、この課題を検討してきました。

新たな報告書『Next Generation Leadership for a World in Transformation: Driving Dialogue and Action(変革する世界のための次世代リーダーシップ:対話と行動の推進)』において、同カウンシルは驚くべき調査結果をまとめ、新たな前進の方向性を提案しています。この危機の根底にあるのは、今日のリーダーシップが将来を見据えたものではないという事実です。実際、多くの場合、現在の要求を満たすことにすら適していないように見受けられます。従来のリーダーシップモデルは、安定と予測可能性が前提だった過去の時代に形成されたものであり、急速な技術革新、地政学的な分断、生態系のストレス、深まる不平等が特徴の現代においては、明らかに不十分です。

本質的に世界は、リーダーシップの設計上の課題と、リーダーシップ人材の不足という二重の課題に直面しています。したがって、単に「より優れた」リーダーを見出すだけでなく、リーダーシップそのものを形作るシステムを再構築することが求められているのです。

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信頼を再構築するためのリーダーシップ変革

現在のリーダーシップ構造と選抜プロセスは、将来への備えよりも過去の成功を評価し、適応力よりも制度的権威を優先する傾向があります。こうした制度的な課題を踏まえると、調査対象の若手リーダーたちの81%が「現代のリーダーたちは短期的な利益よりも長期的な成果を優先するよう動機付けられていない」と認識しているのも当然でしょう。

このような不整合な報酬システムの限界は、避けられないものではありません。むしろ、同報告書はこれを解決可能な欠陥であると診断。選抜プロセスの再考から、意思決定、行動、ひいてはリーダーシップの遺産を形作る育成プログラムの再構築まで、YGLコミュニティのメンバーは、信頼を個人の特性ではなくシステム的な成果として扱う新たなモデルの構築に意欲をもって取り組んでいます。

1. リーダー選抜方法の再考

より良い選抜が第一歩であり、誰がどのようにリーダーとなるのかを再考する必要があります。従来の選抜プロセスは既存のネットワークや構造が再現される場合が多く、均質性を強化し、革新よりも継続性が優先されがちです。今日の現実には、特に過小評価されているコミュニティから意図的に多様な人材を育成する、より幅広い道筋が求められています。

YGLの元メンバー、イリーナ・ブララ氏が率いるブラジル最大の政治研修機関、レノバBRは、その実現方法を示しています。将来の人材を発掘、育成することにより、この非営利機関は明日の政治・公共分野のリーダーたちを作り出しているのです。

2. リーダー育成と継続的成長の再定義

現在および将来の現実にリーダーたちを適切に備えさせるには、育成方法の刷新も必要です。多くのリーダーシッププログラムは技術的スキルを優先しますが、倫理的思考、レジリエンス、共感力、自己認識、先見性と予測力による将来への備えを高める能力といった資質への投資が不十分です。

AIやニューロテックをはじめとするテクノロジーが、意思決定やコミュニケーション、ひいては人間の本質そのものを再構築する中、リーダーには将来の科学技術革新に対する基礎的な理解だけでなく、その応用が社会に及ぼす影響を深く洞察する能力が求められます。ジュネーブ科学外交先見財団(GESDA)は、YGLのマルガ・グアル・ソレル氏が率いる「Global Curriculum for Anticipatory Leadership(先見的リーダーシップのためのグローバルカリキュラム)」を通じて、まさにこうした未来への備えと技術的知見をリーダーたちに提供しています。

3. 複雑なシステムにおけるリーダーの意思決定の再構築

リーダーたちの意思決定と行動に関して、従来のモデルは安定したエビデンスと明確な権限を仮定しています。ただし、今日のリーダーたちは不確実性、曖昧なデータ、変化する社会的期待に直面しています。この状況では、分析的思考と倫理的明快さ、直感、そして実体験をバランスよく組み合わせた新たなアプローチが必要になります。ここでの鍵は、対話と注意深い傾聴です。これにより、リーダーたちは対立を乗り越え、意味のある解決策を共創することができるでしょう。傾聴はもはやソフトスキルではなく、信頼構築のための中核的能力になっています。

特に意思決定の文脈において、調査では「道徳的指針の保持」が現代において最も重要なリーダーシップスキルと位置付けられました。さらに回答者の64%が、信仰や精神性がリーダーたちにとって重要な指針となり得ることに同意しています。

価値観や倫理原則は時に対立の要因となることもありますが、より深く考察すると、人間に本来備わっているいくつかの価値観が存在しており、これらは相違点を超えて橋渡しをする力を持ち、より優れたリーダーシップの成果へと導くことができることが分かるでしょう。

また、リーダーシップに関する著者や思想的リーダーたちによる新刊書も、機会と課題を浮き彫りにしています。例えば、YGLメンバーであり『A Different Kind of Power(異なる種類の権力)』の著者でもあるジャシンダ・アーダーン元ニュージーランド首相は、ニューヨーク・タイムズ紙のインタビューで次のように述べています。「保護者向け講演会で、『お子さんにとって本当に大切な価値観は何だと思いますか?』と尋ねると、皆同じ答えが返ってきます。子供には分かち合う心、寛大さ、優しさ、共感力、そして勇敢さや勇気を持ち合わせてほしいと願うのです。しかし、私たちが子供に教えるこれらの価値観を、同じ私たちがリーダーの弱点と見なしてしまうのはなぜでしょうか」。

さらに、メンタルのウェルビーイングは組織、チーム、個人のパフォーマンスや意思決定においても極めて重要な役割を果たします。このことは、「グローバル・フューチャー・カウンシル - リーダーシップ」共同議長でありYGLメンバーのトーマス・ルーレ氏とキラン・バティ氏が著書『Well-Being Intelligence: Building Better Mental Health at Work(ウェルビーイング・インテリジェンス:職場におけるメンタルヘルスの向上)』で説明している通りです。

4. 長期的なレガシーを残すリーダーによる意思決定の強化

最後に、リーダーシップは世代を超えた責任として理解されなければなりません。レガシーと長期的な思考こそが、リーダーシップの再構築における重要な作用点です。レガシーを短期的な成果や個人の称賛で定義するのではなく、焦点は「スチュワードシップ(管理責任)」に置かれるべきです。つまり、持続可能なシステムを構築し、後継者を育成することです。

こうしたレガシーに対するアプローチは注目を集め始めており、「良き祖先となる」という考え方が、YGLメンバーである松本紹圭氏らによって取り上げられています。同氏は、人々が日々の課題を乗り越え、真に達成しようとしていることを受け入れる方法を考察しています。

グローバル・リーダーシップ・ラボの構築に向けて

これらの構想を実現するため、同報告書ではグローバル・リーダーシップ・ラボの設立を提言しています。これは交流、革新、セクター横断的協働のためのプラットフォームです。同ラボは以下を実現します。

  • 世代、セクター、地域を超えた対話の場の提供
  • 事例研究と実践的知見をまとめたデータベースの構築
  • 研修フレームワークと実践的ツールを通じた次世代リーダーの育成
  • 現実世界の文脈で新たなリーダーシップモデルを検証するプロジェクトの推進

実践的な実験を加速させることで、同ラボは次世代リーダーシップの理論を体系的な変革へと導く役割を果たします。

リーダーの選抜、育成、支援の方法を見直すことにより、私たちは信頼を再構築し、変革の途上にあるこの世界を共に切り拓く集団的能力を強化することができます。これにより、人々と地球に永続的な恩恵をもたらすレガシーを残すことが可能となるでしょう。

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