仕事、健康、包摂性について、知っておくべきこと〜年次総会2025〜
世界経済フォーラム年次総会2025において、「人材投資」は重要なサブテーマの一つです。
- 1月20日から24日まで開催される世界経済フォーラム年次総会2025において、「人材投資」は重要なサブテーマの一つです。
- 「インテリジェント時代における連携」をテーマに開催される同会合は、新たな成長の中心に「人」を据えるために必要な対話、研究、連携のためのプラットフォームを提供します。
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持続可能な成長の鍵は人です。
一方、世界が大きく変化する中、地政学的・経済的な変化、グリーン移行、技術革新などのさまざまな要因が、雇用、スキル、富の分配から医療、教育、公共サービスに至るまで、あらゆる分野に影響を及ぼしています。
世界経済フォーラムの年次総会では、専門家たちが一堂に会し、パブリックおよびプライベートセクターがどのように人材開発や良質な雇用に投資し、現代的かつレジリエンスの高い社会の発展に貢献できるかについて議論を行います。
世界経済フォーラム年次総会2025の主なセッション
以下の時間はすべて中央ヨーロッパ時間(日本時間との時差: JST -8)です。
1月21日(火曜日)
08:15 - Who Benefits from Augmentation?
13:00 - Investing in Women's Health
16:15 - Reinventing Digital Inclusion
17:30 - Spotlight on Workers
17:30 - Investing in Diversity
1月22日(水曜日)
09:00 - Towards Parity in Power
11:30 - Closing the Jobs Gap
11:30 - The Way We Will Travel
13:15 - Health beyond Healthcare
15:00 - Breaking Free
17:15 - Collapsing Youth?
1月23日(木曜日)
10:15 - Redrawing the Geography of Jobs
13:15 - Gen Z Changes the Map
13:30 - Defying the Odds
17:30 - Flexibility 2.0
知っておきたいレポート
本レポートは、22の産業分野における1,400万人以上の労働者を代表する、1,000社以上の世界的な主要雇用主の視点を収集し、今後2030年までにマクロトレンドが雇用やスキルにどのような影響を及ぼすかを検証しています。
本レポートでは、技術革新、グリーン移行、経済および人口動態の変化により、世界の労働市場は再構築され、約1億7,000万人の新規雇用が創出されると指摘。創出される雇用は、現在の雇用の14%に相当します。一方、同じトレンドによって9,200万の職が失われると見込まれており、雇用の純増は7,800万人となります。
- Diversity, Equity and Inclusion Lighthouses 2025(多様性、公正、包摂性のライトハウス(灯台=指針)2025)
本インサイトレポートは、世界中の組織や経済における多様性、公平性、包摂性の促進に関する最新の動向と実践の概要を提供。同フォーラムのニューエコノミー・アンド・ソサエティ・センターが毎年実施し、インパクトのある企業の取り組みを発掘、紹介、拡大することを目的とする「多様性・公平性・包摂性ライトハウスのライトハウス(灯台=指針)プログラム」の成果を基に作成されています。
- Unlocking the Social Economy: Towards Equity in the Green and Digital Transitions(社会経済の解放:グリーン移行とデジタル移行における公平性の実現)
グリーン移行およびデジタル移行は変革的な機会を提供する一方、既存の不平等を悪化させるリスクもあります。26億人以上が安定したインターネットアクセスを持たず、7億6,000万人が電力を利用できていません。本レポートでは、こうした移行期における公平性の促進において、売上高が合計2兆ドルに上る社会的企業や協同組合で構成される、「社会経済」が果たす重要な役割に焦点を当てています。
- Global Skills Taxonomy Adoption Toolkit: Defining a Common Skills Language for a Future-Ready Workforce(グローバル・スキルタクソノミー・ツールキット:未来を見据えた労働力のための共通スキル言語の定義)
スキルや人材の不足は、経済成長を妨げ、ビジネスチャンスを制限し、個人の可能性を抑制する重大な課題です。ギャップを埋め、労働力の変革を可能にするために、共通のスキル言語が早急に必要とされています。本ツールキットは、企業、政府、教育機関のリーダーを対象に、共通スキル言語を導入し、スキル重視のアプローチを人材管理戦略に組み込むための実践的なステップ、洞察、ケーススタディを提供します。
- Better Together: Building a Global Health Network through Data Collaboration(改善のための連携:データ連携によるグローバル・ヘルス・ネットワークの構築)
本白書は、グローバルヘルスにおけるデータネットワークエコノミーの展望を提示し、連携とイノベーションを通じてヘルスケアの課題に対処するための変革的アプローチを提供。ヘルスデータにおける連携に不可欠なイネーブラーと、ヘルスケアにおいて影響力のあるスケーラブルなソリューションを生み出すための成功事例と戦略を探求しています。
- Thriving Workplaces: How Employers Can Improve Productivity and Change Lives (活気ある職場:雇用主が生産性を向上させ、生活を変える方法)
バーンアウト(燃え尽き症候群)の増加、慢性疾患、働き方の変化は、従業員のウェルビーイング(幸福)の促進が急務であることを示しています。この課題は、個々の健康向上にとどまらず、最大11.7兆ドルの世界経済価値を生み出す大きな機会を提供。本レポートでは、従業員の健康に投資することが企業、従業員、社会全体にどのような具体的な利益をもたらすかを探求しています。
「人材投資」について知っておくべきこと
経済における需要の変化とパリ協定の目標を満たすために、人材のリスキリングとアップスキリングを行い、新興分野および最先端分野において数百万の新規雇用を活用することが急務となっています。
私たちはすでに、インテリジェント時代が職場に及ぼしている深刻な影響を目の当たりにしています。世界経済フォーラムの「未来の仕事レポート2023」によると、2030年までに、地政学的変化、グリーン移行、技術革新といった要因により、ほぼ4つに1つの仕事、そして労働者の44%のスキルが変化を余儀なくされると予測されています。
2024年1月、国際通貨基金(IMF)は、世界の雇用の40%近くがAIによる影響を受けると報告。人々がAIによって職を失うことがないようにするためには、このシフトの中心に人と福祉をしっかりと据え、彼らがツールとしてAIを活用し、仕事を補強、再構築するスキルを取得することを確実にしなければなりません。
デジタル経済ではすでに強力な雇用創出が見られており、技術革新の成果をプラスの結果へと転換し、労働力の純増に結びつけることが今後も重要となるでしょう。
同時に、グリーンスキルに対する求人が、適切なスキルを持つ人材プールを上回っており、グリーン経済への移行が脅かされています。
長寿経済に関する世界経済フォーラムの取り組みが示唆するように、アップスキリングに加え、労働者に生涯学習、健康、ヘルスケアを提供するとともに、良質な仕事にアクセスできる環境整備が必要です。
人材への投資は、公平性と包摂性への投資でもあります。同フォーラムの「グローバル・ジェンダーギャップ・レポート2024」によると、完全な男女平等の達成にかかる時間は134年。このタイムラインを短縮するために、同フォーラムの「ジェンダーパリティ・スプリント(Gender Parity Spring)」では、2030年までに経済参加とリーダーシップにおけるジェンダーギャップの解消を目指しています。
「人材投資」についてさらに知る
- 過去12か月間に発表された主な出版物
- Leveraging Generative AI for Job Augmentation and Workforce Productivity(生成AIを活用した仕事の拡張と労働生産性の向上)
生成AIは生産性を大幅に向上させると同時に、多くの職種を再構築する可能性を秘めています。組織が戦略的目標を従業員のニーズと調和させることで、生成AIは仕事の質を向上させ、生産性を高め、従業員がより有意義かつインパクトのある業務に取り組める環境を創出することができます。
- Closing Health Gaps: A Guide to Impactful Place-Based Change(健康格差の解消:地域密着型の効果的な変革ガイド)
住む地域によって、平均寿命には約四半世紀もの差が生じることがあります。住宅環境、気候変動の影響、医療アクセスといった地域の条件は、健康格差を生み出し、人々や地域における健康アウトカムにおいて、回避可能かつ不公平な差につながります。地域密着型のヘルスケアアプローチは、特定の地域において、協力的かつ地域主導の長期的な取り組みを促進し、健康で包摂的かつレジリエンスの高いコミュニティを構築する強力な手段となります。
- Unlocking Opportunity: A Global Framework for Enabling Transitions to the Jobs of Tomorrow(機会の創出:未来の仕事への移行を可能にするグローバルフレームワーク)
世界の労働市場は大きな変革期を迎えています。技術の進歩、地政学的な変化、公正なクライメート・トランジションの必要性が、従来の雇用パターンを揺るがしています。そのため、労働者が新たな役割へと移行する能力が、雇用の維持や社会的流動性の向上だけでなく、経済の生産性向上と人々の幸福においてもますます重要になっています。
- Shaping the Future of learning: The Role of AI in Education 4.0(ラーニングの未来を形作る:教育4.0におけるAIの役割)
本レポートでは、人工知能(AI)が教育者、学生、教師にもたらす可能性について探求。ケーススタディでは、AIがどのように学習体験をパーソナライズし、管理業務を効率化し、カリキュラムに統合できるかを提示しています。