新興テクノロジー

人類が再び月へ向かい、さらに火星を目指す5つの理由

人類が月面に降り立ってから50年以上が経過しました Image: Reuters

Robin Pomeroy
Podcast Editor, World Economic Forum
Natalie Marchant
Writer, Forum Stories
  • なぜ人類は再び月を目指すのでしょうか。また、10年以内に火星に到達できるのでしょうか。
  • NASAチーフエコノミストのアレクサンダー・マクドナルド氏と宇宙生物学者のパスカル・エーレンフロイント氏が、最新の「ラジオ・ダボス」ポッドキャストに出演しました。
  • ポッドキャストは、こちら。もしくは、こちら、またはYouTubeを経由してご利用のポッドキャストアプリで視聴できます。

米国とソビエト連邦という二大国間冷戦下の宇宙開発競争の時代は、もはや遠い過去のものとなりました。現在、米国航空宇宙局(NASA)は、「アルテミス月面探査プログラム」において、グローバル大手を含む多くの企業と提携しています。これは、1972年に人類を最後に月に送ったアポロ計画とはまったく異なる体制です。

国際協力は、宇宙分野全体の進歩において常に「不可欠な要素」であり、科学者たちは何世紀にもわたって協力し合ってきたのだと、国際宇宙空間研究委員会(COSPAR)の会長であるエーレンフロイント氏は述べています。

また、1960年代と70年代の月面ミッションは、今でも世界中の何百万人もの人々の好奇心を刺激しています。しかし、宇宙における次のステップは何でしょうか。マクドナルド氏とエーレンフロイント氏は、ラジオ・ダボスで、再び月面へ向かう計画、火星に生命体が存在する可能性、そしてその生命体がどのような姿をしている可能性があるかについて語りました。

ポッドキャストのハイライトは、次のとおりです。

宇宙テクノロジーが支える地球上の生命

宇宙と宇宙データは、気候変動の監視、インターネット接続の強化、ナビゲーションシステムの推進など、人類に多大な経済的、社会的利益をもたらします。

「これらの分野のすべてに経済的要素があり、国家の成長やグローバル経済に影響を与えています」とマクドナルド氏。

しかし、私たちの生活の質を支える基盤技術の多くは、「星々を探検したいという野望」がなければ開発されなかっただろうと同氏は付け加えています。AI革命の推進力となり、ノートパソコンやスマートフォンなどの日常的な機器に不可欠である半導体の急速な進化は、多くの面において、1960年代の月面着陸ミッションによって推進されたものです。

「つまり、基本的に、月面着陸のようなプロジェクトへの投資は、極めて複雑で高度なテクノロジーの進歩に対する投資なのです」と同氏は述べています。「そして周知のとおり、20世紀の成長の大部分はテクノロジーの進歩と生産性の向上によるものです」。

月への再訪

ギリシャ神話でアポロの双子の姉にあたる女神の名を冠したアルテミス計画は、NASAの最新のミッション。その目的は、人類を再び月に送り、月面基地を建設し、火星へのミッションの基礎を築くことです。

人類を月に送るという目的は前回のミッションと同じですが、アルテミス計画には「より長期にわたって滞在し、活動するための学習という、より広範な目的」があるのだと同氏は説明します。さらに、人類の居住可能な前哨基地としてNASAが初めて投入する、月周回有人拠点「ゲートウェイ」があります。

その最新の月ミッションの進め方も、これまでのものとは大きく異なります。主な違いの一つは、NASAが国際的なパートナーシップを結んでいることです。同氏は、初の有人ミッションである「アルテミスII」には、カナダ人宇宙飛行士が搭乗する予定であると述べています。

また、NASAと米国政府は、日本が有人与圧ローバーを提供することを条件に、日本人宇宙飛行士を月面着陸させることを約束。この月面探査車はプログラムの後半段階で使用され、乗組員の居住や作業に役立てられます。最終的には、初の月面宇宙ステーションの打ち上げが予定されています。

企業の役割

NASAは、宇宙探査活動において企業とも広く協力してきました。このことは、最近地上に帰還したスペースXのスターシップが巨大な1組の「はし」でキャッチされたことからも明らかなように、イノベーションの進展に大きく貢献しています。

「民間企業は政府機関が直接的に取ることのできないリスクを取ることができます。それによって、大幅なテクノロジーの進展が見られます。再利用可能なロケットが最も顕著な例でしょう」とマクドナルド氏。

「軌道に打ち上げられたロケットが発射台に戻ってくるのを目の当たりにするなど、20年前には考えられませんでした。現在では、打ち上げが年に100回も実施されています」。

これに伴い、経済的利益も生まれています。ベンチャーキャピタルや企業からの投資は年間約100億ドルに上り、これは「20年前と比べると大幅な増加」であると同氏。一方、NASAの今後の月面突入にかかる総費用は約80億ドルですが、同氏の言葉によると「グローバル経済の観点から見ると、それほど大きな額ではありません」。

また、同氏は、宇宙ではお金が実際には使われていないことを強調しています。「お金はすべて地球上で費やされ、地球上の雇用につながっているのです」。

火星における生命の探索

地球外に生命は存在するのでしょうか。宇宙生物学者のエーレンフロイント氏は「これは極めて根源的な問いであり、私たち皆にかかわるものです」と、述べています。

「私たちは宇宙で孤独な存在なのでしょうか。そして、地球上の生命はどのように誕生したのでしょうか。太陽系に生命は存在するのでしょうか。また、太陽系外に生命は存在するのでしょうか」。

私たちが探しているのは、私たちが知っている、つまり炭素ベースの生命体なのだと同氏は説明します。すでに火星では、アミノ酸や特殊な炭化水素など生命の基本構成要素を調査する周回機、着陸機、探査車が稼働していますが、サンプルは地球にまだ持ち帰られていません。これは、NASAと欧州宇宙機関(ESA)の「火星サンプルリターン」ミッションの焦点となるものです。

「火星から地球の研究所にサンプルを持ち帰ることができれば、素晴らしい成果が得られるでしょう。そして、より多くのことが理解でき、最終的には有機分子、つまり火星に生命が存在した痕跡を見つけることができると思います」。

国際協力が宇宙開発におけるカギ

宇宙開発は猛烈なスピードで進んでおり、このペースを維持するためには、様々なステークホルダーすべての継続的な協力が不可欠です。国際宇宙ステーション(ISS)は、その理由を示す素晴らしい例です。

1998年の打ち上げ以来、23カ国と5つの国際パートナーを代表する280名がISSを訪れ、さらに多くの国々とステークホルダーが、長年にわたり数多くの実験を実施してきました。しかし、ISSはあと数年で退役を迎える予定です。NASAはウェブサイトで次のように述べています。「NASAは2030年まで宇宙ステーションを最大限に利用すると同時に安全に運用することを約束しています。また、企業が所有および運営を行う低軌道プラットフォームへの移行を可能にし、シームレスに移行できるよう取り組んでいます。

「私は、宇宙は政治課題を超越したところにあると考えており、協力を試みてきました。そして、今後もそうあり続けてほしいと願っています」と同氏は述べています。

ここで、一つの疑問が残ります。人類は間もなく火星に足を踏み入れるのでしょうか。今回のラジオ・ダボスの共同ホスト、世界経済フォーラムの宇宙テクノロジー・リードのニコライ・クリストフは、その可能性は高いと考えています。

「公式に発表されている2030年というミッションの日程ほど早くはないでしょう。おそらく2030年代後半になると思います。しかし、間違いなく私たちの生きている間に実現するでしょう」。

ポッドキャストはこちら:wef.ch/podcasts:

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