これだけは知っておきたい、世界経済フォーラム年次総会2025
2025年にダボスで開催される年次総会には、G7およびG20諸国をはじめとする世界各国のパブリックフィギュア(公人)と国際機関の代表者などが参加する予定です。
希望と不安の間の隔たりが顕著に現れた2024年。来たる2025年にダボスで開催される年次総会の背景も同様に複雑です。地政学的不確実性、貿易摩擦、文化的二極化、気候への不安が吹き荒れる一方で、生産性と生活水準を向上させるAI、量子コンピューティング、バイオテクノロジーといった急速なイノベーションが希望を集めています。
2024年の年次総会では、「予測は運命ではない」といったメッセージが提示されました。リーダーたちは分断を警告すると同時に、団結を目指したのです。経済が「非正常」な状態にある新たな時代について言及されましたが、同時に「驚くべきレジリエンス(強靭性)」を感じる場面もありました。また、AIに対する警鐘が鳴らされましたが、同時に、AIの支援によりできることへの期待感も高まりました。
民主主義の「記録的な年」の混乱から抜け出して2025年に目を向ける今、従来の政党の求心力はこれまでになく下がっています。これは一つの時代の終焉を意味します。リーダーたちが再編を迫られているという危機感は、協調がこれまで以上に重要であることを示しています。しかし同時に、それがますます困難な課題であることも示しているのです。
インテリジェント時代における連携
2025年の年次総会は「インテリジェント時代における連携」というテーマで開催されます。このコンセプトは、クラウス・シュワブの提言をもとにしています。同氏は、急速に収束しつつあるテクノロジーが世界を劇的に変化させ、人類を「テクノロジーだけでは計り知れない時代」という変曲点に追い込んでいると述べています。「これは社会革命であり、人類を高みに導く力を持つと同時に、人類を分裂させる可能性も秘めています」。
では、収束するテクノロジーと高度なインテリジェンス時代における連携という課題に取り組むリーダーにとって、最大の課題とは何でしょうか。分断を回避し、より賢明な未来を築くにはどうすればよいのでしょうか。技術革新は、気候変動やテクノロジーの悪用といった危機にどう立ち向かうことができるのでしょうか。集団行動と責任あるリーダーシップは、すでに存在する格差を深めるのではなく、公正性、持続可能性、連携を促進することができるでしょうか。
会合は、以下の5つのサブテーマで構成されます。
成長の再構築 - より強固かつレジリエンスの高い経済を構築するには、成長の復活と再構築が不可欠です。この新しいグローバル経済における新たな成長源を特定します。
インテリジェント時代における産業 - 産業界は、地政学およびテクノロジーにおける大きな変化を考慮し、ビジネス戦略を適応させていく必要があります。産業を変革していく上で、ビジネスリーダーたちが短期的な目標と長期的な必須事項のバランスを取るための方法を探ります。
人材投資 - 地政学的な変化、グリーントランジション、テクノロジーの進展が、雇用、スキル、富の分配から、医療、教育、公共サービスに至るまで、あらゆるものに影響を与えています。強靭な現代社会の構築に貢献する人的資本開発や良質な雇用に対する、パブリックセクターと企業の投資を可能にする方法を探ります。
地球環境保全 - 革新的なパートナーシップや対話を通じて、気候変動対策とクリーンなテクノロジーに向けた投資や展開を可能にする必要があります。これは、地球規模の気候変動や自然に関する目標の達成と、公平、安全、持続可能というエネルギーのトライアングルを満たすエネルギーシステムの実現にとって極めて重要です。革新的なパートナーシップ、資金調達、最先端テクノロジーの導入を通じて、エネルギー、気候変動、自然に関する行動を促進する方法を探ります。
信頼の再構築 - 複雑化し、変化のスピードが速まる世界において、社会の格差は深まり、地政学は多極化し、政策は保護主義へとシフトして、貿易と投資の両方を妨げています。国際社会および国内で、ステークホルダーが協力し合って解決策を得る新しい方法を見出す方法を探ります。
2025年会合の参加者たち
参加者は多岐にわたり、セクター、産業、世代、性別なども様々です。この多様性こそが、世界で最も重要な課題について可能な限り幅広く議論し、多様な視点から解決策を考案するという、同フォーラムのアプローチの根幹をなすものです。
2024年には、同フォーラムの次のようなコミュニティを含む参加者が、125カ国から集結しました。
インターナショナル・ビジネス・カウンシル、コミュニティ・オブ・チェアパーソンズ、インダストリー・ガバナーなどのイニシアチブならびにコミュニティに積極的に参加する、同フォーラムの1,000社余のパートナー企業の最高経営責任者や会長。
G7およびG20諸国をはじめとする世界各国のパブリックフィギュア(公人)と国際機関の代表者。
市民社会、労働組合、メディアの主要組織のリーダーたち、およびトップ思想家や学者。
ユニコーン、テクノロジー・パイオニア・コミュニティ、グローバル・シェイパーズ、ヤング・グローバル・リーダーズ・フォーラム、社会起業のためのシュワブ財団などのコミュニティのメンバー。
2025年の参加者に関する最新情報は、こちら。
本会合は、一般公開セッションのライブストリーミング配信を通じて、より幅広い一般市民が参加できるようになっています。また、報道関係者や報道機関の参加、オープンフォーラムにおける地域参加も予定されています。
フォーラムの目的主導型拡張現実(XR)プラットフォームである「グローバル・コラボレーション・ビレッジ」は、没入感のあるリアルタイム環境で多様なグローバルなステークホルダーを参集し、会合の主要テーマに関する進展を加速、強化、拡大します。
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Gayle Markovitz and Spencer Feingold
2024年12月3日