エネルギー転換

効率化という、ソフトエネルギーの実践が必要な理由とは

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エネルギー効率は、排出量削減を推進するための最大かつ最も安価で有益な手段です。 Image: Getty Images/iStockphoto

Jon Creyts
Chief Executive Officer, Rocky Mountain Institute (RMI)
  • COP29は、世界の指導者たちが壊滅的な気候変動を回避するための重要な手段として、エネルギー効率の倍増に合意してから1年の節目となります。
  • 一方、今年の国連気候変動会議を含め、エネルギー効率に関する進展や議論はほとんどありません。
  • クリーンエネルギーとともにエネルギー効率を追求することは、進歩のペースを倍増させ、気候変動目標を達成するための鍵となります。

世界の指導者たちが、アゼルバイジャンのバクーで開催されるCOP29(国連気候変動枠組条約第29回締約国会議)に集まっています。こうした中、壊滅的な気候変動を回避する重要な方法として、2030年まで毎年エネルギー効率を約2%から4%以上に倍増させることに合意してから、まもなく1年が経ちます。

一方、この合意以来、エネルギー効率についての進展はほとんどなく、議論すらされていません。今年の国連気候変動会議においても、優先項目になっていないのが現状です。

再生可能エネルギーの目標に関しては、各国が排出量を抑制するための目標である第3次国内公約(NDC)に組み込む努力をしており、これは賞賛に値します。

グリーンエネルギーとグリーンエネルギー貯蔵は、今年のCOP29アジェンダに不可欠な要素です。一方、エネルギー効率は完全に除外されているようであり、これは重大な誤りだと言わざるを得ません。

排出量削減に不可欠なエネルギー効率

エネルギー効率は、排出量削減を推進し、エネルギー需要を公平かつ手頃な価格で満たすための、最大かつ最も安価で有益な手段です。

国際エネルギー機関(IEA)によると、エネルギー効率は、2050年までにネット・ゼロを目指すパリ協定の目標を達成するために、現在から2030年までに必要とされる排出削減量の半分近くを占める可能性があります。

建物、輸送、産業にわたる効率的な技術とスマートなシステムによってエネルギーを節約することにより、世界は気候汚染を回避し、数兆ドルの節約に加えて、あらゆる面においてレジリエンスを高めることができるのです。

そのメリットと可能性を証明することは十分に可能です。2022年、数十カ国で実施されたエネルギー効率化対策により、それらの国々における同年の総エネルギー料金は約15%節約されました。世界的なキャンペーンの拡大は30%以上の改善につながり、世界のエネルギーコストを20~25%削減し、最大で年間2兆ドルの節約になる可能性があります。

COP29において、効率化を議題とするスペースを設けることにより、これをやり遂げる後押しとなるでしょう。COPから生まれた新しいイニシアチブは、特にグローバル・サウス諸国において、アイデアを現実にするのに役立つからです。

市場は、再生可能エネルギーを増やすことに関してはうまく機能する一方、これまでより少ないエネルギーを売ることにおいては、解決に時間がかかります。効率化を再起動させるためには政策が必要です。暖房、冷房、モーター、建物の性能、家電製品、自動車、その他多くのカテゴリーに注意を払わなければなりません。

私たちは、共有かつ採用することができる「ベストプラクティス」と「ビヨンドプラクティス」を備えています。構築すべき新たなソリューション、広めるべき既存のソリューション、そして捨てるべき古い考え方があるのです。

エネルギー効率はすべての人に有益

幸いなことに、エネルギー効率の追求は、世界のどの地域においても、すべての人にとって有益だということです。エネルギー効率は、エネルギーをより安価にし、汚染を減らすことに加え、需要を最小限に抑えることによりエネルギー安全保障とレジリエンスを促進するからです。

また、資源を解放することを通じて、成長とイノベーションをもたらします。データセンターや開発などのために、より多くのエネルギーを求めるのであれば、エネルギー効率は最も早く、最も安価な、新しい生産能力の形態であり、最初の燃料となるべきなのです。

こうしたことを踏まえると、ニューヨーク市と同等のインフラが毎月建設されている新興市場諸国では特に重要だと言えるでしょう。ビルや工場のような長寿命資産にかかる費用と、その建設と運営を支えるために建設されるインフラの規模において2度節約できるからです。

例えば、2040年までに延床面積が倍増する可能性のあるインドでは、効率的な設計と建築によって、2050年までに予測される建築物のエネルギー需要の25%を削減し、炭素ガスの排出が多い材料を45%削減することができます。

これらは重要かつ大きな節約ではあると同時に、こうした構造物が、生命を脅かす気温から何百万もの人々を守り、その過程でエネルギー負担を最小限に抑え、いかに公平性を支えているかを考慮すると、さらなる価値があることがわかります。

一方、この成果は、新興国のエネルギー転換支援に重要な役割を果たすCOP29のプロセスに組み込まれることにより、初めて強化されるものなのです。

クリーンエネルギーとエネルギー効率の両方が鍵

RMIでは40年以上にわたり、クリーンエネルギーとエネルギー効率を両立させることの重要性を認識してきました。実際、第一次石油危機の際、RMIの共同設立者であるエイモリー・ロビンスは、より安全で、より涼しく、より豊かな地球を実現するためには、クリーンエネルギーとエネルギー効率の両方を追求することが最適であると提言しました。

しかし、私たちは、この二つを組み合わせる力を見失ってしまいました。COP29議長国や世界の指導者たちは、これを回復させることが賢明だと言えるでしょう。クリーンエネルギーと並んでエネルギー効率を追求することにより、進歩のペースは倍増し、手の届く価格で気候変動目標を達成し続けることができるのです。

最良のアイディアは、最も明白なアイデアであることがあります。世界は効率化革命への準備ができており、無駄を省くことがすべての人の豊かさにつながるのです。

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