ヘルスとヘルスケア

アフリカで乳がん・子宮頸がん対策を加速~グローバル・アライアンスをザンビアに拡大~

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子宮頸がんは、高い確率で発見・治療が可能であるにもかかわらず、依然として世界で最も一般的ながんのひとつです。 Image: Pexels/Darina Belonogova

Kennedy Lishimpi
Permanent Secretary, Technical Services, Ministry of Health, Zambia
Emily Fitzgerald
Initiatives Lead, Women's Health, World Economic Forum
  • 11月17日は子宮頸がん撲滅デーでした。
  • 女性特有のがんに対する取り組みを推進する一環として、世界経済フォーラムの「女性の健康のためのグローバル・アライアンス」は、アフリカのザンビアで「乳がん・子宮頸がんコアリション」を発足しました。
  • ザンビアの首都ルサカで開催されたワークショップでは、ザンビアの2022年から2026年までのがん対策国家計画に沿って、がんの予防、検診、治療の格差について話し合いが行われました。シーメンスヘルシニアーズの協力を得て、同コアリションは女性の健康格差を解消し、アフリカ全土でヘルスケアに対する取り組みを拡大することを目指しています。

乳がんおよび子宮頸がんは、ザンビアの女性の間で最も多いがんです。

世界保健機関(WHO)の下部組織である国際がん研究機関(IACR)が各国のがん死亡率データをとりまとめている「GLOBOCAN」によると、毎年8,863人の女性ががんと診断され、5,649人ががんで死亡しています。このがんという重荷は、ザンビアの女性や少女に深刻な影響を与えています。

子宮頸がんおよび乳がんだけでも、それぞれ新規症例の41%(3,640人)および12.5%(1,111人)を占めています。いずれのがんも早期に発見できれば治療可能ですが、グローバルヘルスに存在する格差が、早期発見、診断、治療を遅らせているのです。

子宮頸がんは、高い確率で発見・治療が可能であるにもかかわらず、依然として世界で最も一般的ながんのひとつです。アフリカのザンビアでは女性のがんによる死亡率が最も高く、がんによる死亡全体で最も多い原因となっています。命を救い、この深刻な医療格差を解消することが不可欠です。

乳がんや子宮頸がんに対する効果的な介入策は人生の様々な段階で可能ですが、女性が適切なソリューションにアクセスできず、予防接種率、検診率、治療率が低い状態が続いています。

2024年11月13日から14日にかけて、世界経済フォーラムの「乳がん・子宮頸がんコアリション(Breast and Cervical Cancer Coalition)」とザンビア共和国保健省が、乳がん・子宮頸がんの早期発見、治療、ケアを支援する会合を開催しました。マルチステークホルダーによるこのワークショップは、2024年7月にケニアのナイロビで正式に発足した同コアリションがザンビアで開催した初の会合です。

同会合には、医師、市民社会、企業およびパブリックセクターの組織が結集し、子宮頸がんおよび乳がんの検診、診断、治療の実施における課題を特定し、解決策を模索しました。

協調的ディスカッション、専門家の見識、そして熱心なフォーカスグループを通じて、ワークショップの参加者は重要なギャップを特定し、実行可能な計画を策定。乳がんおよび子宮頸がんの撲滅を加速させるためのパートナーシップが強化されました。

私たちに必要なことは、協調的なアクションの継続です。医療提供者、地域社会、企業、国内外の組織、宗教団体、政策立案者は、協力してケアの障壁を排除すべきです。私たちが皆、平等に同じテーブルに着くことができれば、それぞれが持つ独自の強みを活用することができるのです。

ザンビアがん協会創設者兼CEO ウディ・ソコ氏

行動の加速

同フォーラムの「女性の健康のためのグローバル・アライアンス」が創設したイニシアチブである「乳がん・子宮頸がんコアリション」は、行動を迅速化する上で重要な位置を占める主要なステークホルダー同士のかつてない協力関係と有意義な解決策を加速し、促進しています。ザンビア国内外の女性のがん対策と健康状態の改善を目指す同アライアンスにとって、このザンビアにおけるワークショップは、全員と共有する道程における大きなマイルストーンとなりました。

また、同コアリションは、シーメンスヘルシニアーズの協力を得て、パートナーの専門家ネットワークやリソースへのアクセスをザンビア保健省に提供し、ワークショップや専門家同士の交流を促進して、公衆衛生目標の達成を支援できるギャップや課題の特定を支援します。これらの目標は、ザンビアの2022年から2026年までの国家がん対策計画に沿って達成される予定です。

同コアリションは、同国のニーズと課題に即した解決策の開発と推進を目指しています。この協力関係を通じて、ザンビア保健省は、乳がんの治療と子宮頸がんの撲滅に向けた国内でのベストプラクティスと画期的な取り組みを世界に紹介し、その取り組みを世界中で再現、拡大していく機会を得ることになります。

同コアリションは当初はケニア、現在はザンビアに焦点を合わせていますが、多くのセクターの協力が女性の健康増進と救命に役立つことを示す好例となっています。同アライアンスは、同コアリションの取り組みをサハラ以南のアフリカの他の省庁や国々にも拡大していく予定です。

このコアリションのミッションに投資することで、女性や家族、地域社会に力を与え、努力が真の変化につながる未来の構築に貢献できることをメンバー全員が期待しています。

ザンビアが本コアリションのライトハウス(灯台=指針)に選ばれたことにとても感謝しています。ザンビアの優先事項と、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ実現に向けた既存の計画に沿って、インパクトに焦点を当てたカスタマイズされた介入を通じて女性特有のがんに対処するという、このコラボレーションの意義を信じています。

ザンビア保健省テクニカルサービス担当次官 ケネディ・リシンピ氏

女性特有の健康格差の解消

2024年1月、「女性の健康のためのグローバル・アライアンス」は、「Closing the Women’s Health Gap: A $1 Trillion Opportunity to Improve Lives and Economies(女性特有の健康格差の解消:生活と経済を改善する1兆ドルの機会)」という報告書を公表しました。この報告書では、女性に特有または不均衡に影響を与える健康状態を明らかにし、現在の健康格差と、それを解消することで将来的に得られる潜在的な経済効果を数値化しています。

健康という課題があるために、多くの女性が、労働に参加して自分自身や家族の生計を立てる力を発揮できずにいます。これを解決すれば、女性が不健康な状態で過ごす時間をほぼ3分の2に減らし、39億人以上の健康状態と日常生活を改善し、一人当たりのGDPを1.7%増加させることができます。同時に、こうしたの取り組みに1ドル投資するごとに3ドルの経済成長がもたらされる可能性もあるのです。

子宮頸がんを撲滅することは容易ではありませんが、撲滅できれば、世界的に女性の健康格差に変革をもたらすことができるでしょう。女性の健康に投資することは、社会と経済にとって最善の投資のひとつです。また、女性への投資は分野横断的かつ多様な課題に波及効果をもたらすという説得力のある証拠があります。

最近『ランセット』誌に発表された論文によると、たとえ質の高いがん医療が利用可能であっても、個人レベルで女性はがんによって経済的に破綻する可能性が高く、その場合、家族にも悲惨な結果がもたらされます。

「女性の健康のためのグローバル・アライアンス」は、ザンビア・コアリションに参画し、女性の健康の推進に献身的に取り組むすべてのパートナーおよび参加者に感謝の意を表します。

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