大気の質改善とアーバントランスフォーメーションの最新動向
都市と都市化について今月知っておくべきこと。 Image: Unsplash/Dan Freeman
- このマンスリー・ラウンドアップでは、都市と都市化に関する最新動向をお届けします。
- 都市と都市化に関するトップストーリー:一部の都市で大気の質が改善、都市の消費力低下、世界の都市を襲う熱波。
- 世界経済フォーラムの都市に焦点を当てた活動については、「アーバントランスフォーメーション部門」をご覧ください。
1. 都市における大気の質が改善 - レポート
気候危機への取り組みを主導する市長たちのネットワーク、C40(世界大都市気候先導グループ)が発表した新しいレポートによると、2002年から2022年までの20年間でC40都市の大気の質は大幅に改善されました。
2022年のPM2.5の基準値(10μg/m3未満)という世界保健機関(WHO)の暫定目標を下回る、大気の質に関してより厳しい目標を達成している都市は、2002年の11%から現在では27%(4分の1以上) に達しています。
大気の質が改善した都市の大半は北米と欧州の都市である一方、2022年にWHOの大気質基準を達成した都市はC40の中でシドニーだけでした。
中国のC40加盟13都市のPM2.5レベルは、2014年から2022年の間に44%低下し、中でも北京の大気汚染は最も減少しました。
しかし、C40都市の大気質の現状と傾向に関するレポートでは、世界の5都市に1都市が依然として「非常に不健康な大気質」にあるとしています。
C40都市はまた各国政府に対し、2025年2月の期限を前に、地球温暖化を1.5℃に抑えるというパリ協定の目標に沿った国家気候計画を策定するよう求めるコアリションにも参加しています。
2. 減少する都市の消費力 - 調査結果
ワールド・データ・ラボの分析によると、大都市は依然として成長を続けているものの、総支出に占める割合は縮小傾向にあるとのこと。
2000年には、上位5都市が世界の消費力の10%を占めていました。しかし、2040年には5%にまで減少するだろうと、データ担当副社長のマシュー・クーパー氏とデータ・アナリストのマルコ・フェングラー氏は述べています。
これは、多くの小都市が台頭し、急速に成長することで、メガシティから消費シェアを奪うからです。
2024年、上位100都市の総消費力は15兆ドルに達しました。これは、残りの全都市分の合計と同じ額です。2040年には、上位100都市の支出力は2倍に、それ以外の都市は3倍以上になると考えられます。
成長に投資するためには、上位100都市だけでなく、上位1,000都市に焦点を当てる必要があるでしょう。そのほぼ半数はアジアに位置しています。
3. 短報:今月の都市と都市化に関するその他の話題
インドの都市では成長が不均衡であるために水域が破壊され、温室効果ガスの排出が増大して、夜間も熱をためこむ「ヒートトラップ」現象が起こっていると、同国国家災害対策庁のクリシュナ・S.ヴァッサ氏はロイター通信に語りました。デリーを含む北西部と中部地方では、6月を通して平年を上回る気温が予想され、熱波が最も長く続いた期間のひとつとなりました。
また、6月23日には、米国のボルチモアやフィラデルフィアなどの都市を覆うヒートドームが発生。米国全土で1億人以上が38℃の高温警報の対象になりました。
ローマ市は観光客の交通の便を良くするため、18年ぶりに数千台の新しいタクシーを導入すると発表。ロベルト・グアルティエーリ市長はロイター通信に対し、7月中に1,000台のタクシー免許と2,000台のウーバー許可証の入札を行うと述べました。
一方、中国では新たな不動産支援策により主要都市では販売が増加しましたが、小規模な地域では依然として苦戦を強いられています。公式データによると、5月の中国の新築住宅価格は、過去約10年で最も早いペースで下落しています。
アマゾンのロボットタクシー部門であるズークスは、米国中西部のテキサス州オースティンとフロリダ州マイアミでの自律走行車のテスト計画を発表。トヨタのハイランダーを改造し、人間のセーフティドライバーを配備して、2つの都市のオフィス街や繁華街に近い特定のエリアで運行する計画です。
4. 都市の変革に関する課題
建築・建設部門は現在、2050年までにネットゼロを達成するという目標に達していません。オペレーションにおける二酸化炭素のみを排出量の指標とするだけでは不十分です。資材などに含まれる内包二酸化炭素の測定はより複雑ですが、地球温暖化を1.5℃未満に抑えるために必須です。G20グローバル・スマートシティ・アライアンスは、都市や企業が脱炭素化目標を達成するための指針となる、ホールライフカーボン評価義務化モデルポリシーを発表しました。
都市化は急速に加速しており、特に中東のような乾燥地帯では1960年代以降、都市人口が倍増しています。しかし、都市が拡大するにつれて気候変動の影響を受けやすくなり、コンクリートで覆われた景観が増えることで、環境に関する課題が生じています。2人の専門家が、ネイチャーポジティブな都市づくりが公衆衛生を促進し、インフラ産業を変革して未来をより良くすることに役立つと説明しています。
都市システムは、全ての人にサービスを提供するために存在するものであり、増加の一途を辿るモビリティに困難を抱える人々も、例外ではありません。都市は、現在のニーズを満たすと同時に、将来のシステムが持続可能性とアクセシビリティの基準を満たすことができるよう、ホリスティック(全体論的)な投資を行わなければなりません。アクセシブルな都市を設計・建設することで、すべての市民にとって必要な都市の変革がもたらされると、4人の専門家は述べています。