エネルギー転換

日本企業とともに、世界のエネルギー転換を実現していく

エネルギー転換には多様な道筋があり、各国の状況に合わせる必要があります。 Image: Unsplash

Spencer Feingold
Digital Editor, World Economic Forum
  • 気候危機に歯止めをかけ、世界におけるエネルギー・アクセスの著しい格差を緩和するためには、グローバルなエネルギー転換が不可欠です。
  • この転換の成功には、官民連携が鍵となると専門家は述べています。
  • エネルギー転換のビジネスケースを強化するために企業が優先すべき行動とは。そして、パブリックセクターが優先すべき介入とは。2人の業界リーダーに聞きました。

世界が危機的なレベルの地球温暖化に向かい突き進み続ける中、包括的なエネルギー転換は依然として喫緊の課題です。

専門家の間では、エネルギー転換を成功させるには官民連携が極めて重要であるとの認識で一致しており、政策立案者やビジネスリーダーに対し、パートナーシップを構築・維持するための措置を講じるよう促しています。これには、収益性を維持して事業を継続すること、エネルギー転換のサプライチェーンを強固なものにすること、特に新興市場においてクリーンエネルギーへの投資を増やすことなどが含まれます。

4月28日〜29日にかけて、サウジアラビアのリヤドで開催される世界経済フォーラムの「開発に向けたグローバル・コラボレーション、成長、およびエネルギー」特別会合では、エネルギー転換に関する官民連携が主要な議題となります。同会合には、エネルギー転換を進める産業のリーダーたちをはじめ、様々な分野から700名以上が参加します。

会合に先立ち、私たちは日本から参加する2人のリーダーに、エネルギー転換に関する官民連携を強化するために企業が優先順位を上げるべきはどのような行動なのか、そして、パブリックセクターはどのような介入を優先すべきかについて尋ねました。

三菱重工 宮永俊一取締役会長

「私たちが属する企業分野としては、カーボンニュートラルな社会を実現するために必要なさまざまな技術や設備を提供する責任があります。

まず、二酸化炭素の回収・有効利用・貯留(CCUS)、石炭からガスへの転換、アンモニア燃焼、水素の混合・燃焼など、短・中期的に効果が期待できる既存のテクノロジーを、コスト削減や性能向上により進化させる必要があります。

風力や太陽光などの再生可能エネルギーは脱炭素化への道筋に不可欠な要素である一方、変動が激しいために、それだけですべての電力需要を賄うことは不可能です。したがって、長期に亘って様々な先進的な原子力技術の実現努力を続ける必要があります。すなわち、高温ガス炉、高速炉、さらに究極の核融合といった技術を追求することにより、将来的にサステナブルな水素エコシステムを実現していくことが期待できます。

一方、パブリックセクターが担う重要な役割は、短期的な開発と長期的な開発の如何を問わず信頼度の高い支援を行うことや、ハイリスクで難度の高い技術やビジネスモデルの革新を支える施策の推進です。

それらの支援の仕組みと有効期間が分かっていれば、企業は、革新的なスタートアップへの投資、アカデミアとの協力、多様なパートナーとの知識や独自技術の共有を促進するグローバルな金融・起業家ネットワークを構築しやすくなります。

そのような考えを進めると、気候変動に対して最も脆弱な国々のことを考え、開発途上国それぞれの固有のニーズや地理的特性に適応する技術を提供できる国際的な仕組みが第一に求められると思います」。

国際協力銀行(JBIC)林信光代表取締役総裁

「脱炭素化という共通目標を達成するためには、各国の状況に応じた多様なエネルギー転換の道筋が必要です。JBICは、各国の主体性を尊重しつつ、経済成長と脱炭素化を両立させる様々なエネルギー転換プロジェクトを支援しています。

日本とサウジアラビア王国は、2023年7月の岸田首相とムハンマド・ビン・サルマン皇太子との会談において、新たな「クリーンエネルギー協力のための日本 - サウジアラビア王国間のライトハウス・イニシアティブ」の設立に合意しました。このイニシアチブは、両国の長所を組み合わせるものです。日本の産業界には、環境に関する高度な技術やノウハウがあります。一方、サウジアラビアは、クリーンエネルギーと鉱物資源のサプライチェーンハブとなる優位性に溢れています。

経済成長とネットゼロの両立には、官民連携が不可欠です。当行は、金融プラットフォーム・プロバイダーとして、初期段階から官民連携プロジェクトの共創を促進し、ステークホルダーを招集し、ホスト国政府の政府機関や国際開発金融機関との政策対話を行います。こうした取り組みを通じて、気候変動をはじめとする地球規模課題に取り組むナビゲーターとなります」。

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