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もし学校に行けなかったら、ロボットが出席します。病気の生徒に寄り添うケア・テクノロジー

もし学校に行けなかったら、ロボットが出席します。病気の生徒に寄り添うケア・テクノロジー

もし学校に行けなかったら、ロボットが出席します。病気の生徒に寄り添うケア・テクノロジー Image: Unsplash/Romain HUNEAU

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もし自分の子どもが、病気やけがで、長い間学校に行けなかったら──文部科学省の統計によると、病気で年30日以上欠席する小中学生は5万6,959人、高校生は 2万2,864人に上るという(※)。そうした子どもたちは、学校に行けないことで学習が遅れてしまったり、クラスの子たちと馴染めなくなってしまったりと、葛藤や不安を抱えている。

フランスでは、そうした学校を長期欠席する生徒の教育支援のため、遠隔ロボットでインタラクティブに授業に参加する「TED-iプログラム」の実証実験が進んでいる。

フランス教育省が主導するこのプログラムは、病気やけがなどの理由で一か月以上にわたり学校を欠席する児童が対象だ。該当する小学生、中学生、高校生向けに3種類のロボットを無償提供。生徒は、支給された機器を使って、家や病院からリアルタイムで授業に参加できる。また、グループワークに参加したり、クラスメートとインタラクティブに会話したりすることも可能だ。

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2021年には、マクロン大統領夫人がプログラムを実施している学校を訪問し、すべての児童に教育の機会を与える同プログラムをサポートしている。マクロン夫人は元高校教師であり、自閉症児のためにエリゼ宮で書き取り練習会を開催し、病気の児童たちをサポートする「黄色いコイン募金」のプロモーションをおこなうなど、教育に関する活動に積極的だ。

同プログラムに必要な、教師向けの技術的なトレーニングや授業構成のサポートは、公的機関がおこなう。公的機関がまとめた、ロボット導入のためのガイドには、事前準備として教室にいる生徒にロボットの技術的な説明や、遠隔にいる生徒がクラスに参加しやすいように協力を仰ぎ、準備態勢を整えることや、グループワークをする際、生徒同士がドキュメントや写真を共有できるようなデジタル空間を用意することなどをあげている。

2020年から全国数か所の学校で試験導入を開始し、これまでに合計約4,000台のロボットが配備された。現場の声としては、すでに負担が多い教師にとってさらなる負担になる点や、ロボットの電池寿命が短い点、メンテナンスの手間や人材不足などが指摘され、改善策を協議中だ。

フランス政府は、2022年にこのプログラムのロボットをウクライナの児童たちにも届けている。新型コロナウイルスによるパンデミックは終息に向かっているが、今後も疫病や、自然災害など、病気やけが以外でも児童が就学が難しい事態が発生する可能性がある。他の国でも同様の取り組み事例が聞かれるが、フランスのように遠隔地の児童とクラスメイトとのインタラクティブな交流を重視する施策はまだ少ない。

日本政府は、現在「ICTを活用した障害のある児童生徒等に対する指導の充実」を目指した施策を開始している。勉強の遅れを補うだけでなく、遠隔地の生徒の寂しさや不安を取り除いて学習意欲を維持する点にも着目したら、もっとやさしい世界になるはずだ。

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