「70代」の仕事探し、5年で53倍に急増。その理由は?
近年、働く高齢者が急増している。特筆すべきは、70代の求職者が増えていることだ。 Image: GettyImages
近年、働く高齢者が急増している。特筆すべきは、70代の求職者が増えていることだ。
Indeed Japanによると、同社が提供する求人検索サイト内での「70代」の仕事検索数は、2017年2月〜2022年2月の間に、53.7倍に急増した。
70代だけではない。「60代」の検索数も、同期間で7.9倍に増加していることがわかる。
背景には、2021年4月1日に施行された「改正高齢者雇用安定法」がある。この改正により、65〜70歳の労働者の就業機会を確保するため、 事業主に対し「70歳までの定年引き上げ」「70歳までの継続雇用制度」などの措置を講ずる努力義務が新設された。
また、 2022年4月には「年金制度改正法」などの施行によって年金制度の一部が改正され、 繰下げ受給の上限年齢が引き上げられた。Indeed Japanによると、これらの環境変化に伴って働く高年齢層が増えていくと考えられるという。
実際には「なかなか仕事が見つからない」
では、求職者がスムーズに職を得られているかというと、そうでもないようだ。
Indeed Japanが60〜70代の仕事探し経験者を対象に「仕事探しで困ったことがあるか」について調査をしたところ、以下の回答のように、高齢であることが理由でなかなか仕事が見つからない人が多数いるという。
「年齢が支障となって仕事が見つからない」(60代、男性)
「はっきり理由は言われていないが、年齢を理由に不採用になったと感じた」(60代、女性)
「(自分の年齢を対象とした)求人がない」(60代、男性)
日本では、2007年10月から「雇用対策法」によって、事業者が採用において年齢制限をすることが禁止されており、特定の年齢に制限して人材を募集することは禁止されている。しかし現実には、高年齢者層の求職者の雇用率が高いとは言えない。
Indeed JapanシニアPRマネジャーの吉村咲紀は、以下のように指摘する。
「定年年齢の引き上げなどにより、今後高年齢層の仕事探しのニーズはさらに高まっていくと考えられます。また、生産年齢人口の減少に伴って、企業側でも高齢者の受け入れ体制がさらに整っていくことが考えられます」
さらに、現状に対応すべく、同社でも高年齢層の就職支援を強化していくという。今後、企業の現場でも、よりいっそう幅広い年齢の人材が働きやすい職場づくりが求められていくだろう。
文=田淵美有
*この記事は、Forbes JAPANの記事を転載したものです。
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