ミレニアル世代のキャリア観は昭和と変わらず。共働き世帯を対象とした調査で明らかに
ミレニアル世代夫婦のキャリア観調査で明らかになったのは、いまだ根強い性別役割分業意識だ Image: GettyImages /kazuma seki
「自分より配偶者のキャリアを優先したい」そう考える女性が半数を超える一方で、同様に考える男性はわずか1割にも満たない。
ミレニアル世代の共働き夫婦を対象にした最新の調査から見えてきたのは、いまだ根強い性別役割分業意識だ。
子どもが生まれて働き方を変えるのは女性
調査を行なったのは21世紀職業財団。2020年、全国に住む26〜40歳の既婚者で、自身も配偶者も正社員、共働き、子育て中の男女4173人にWebアンケートや聞き取り調査を実施。
互いのキャリアアップを目指す夫婦を「デュアルカップル志向」と定義し、その背景を探った。以下にその結果を紹介する(小数点以下、切り捨て)。
男性育休の経験が仕事の効率もアップさせる
性別役割分業意識の根強さがうかがえる結果だが、現状を変える鍵は男性の育児参加にあるようだ。
夫が保育園や幼稚園のお迎えを週に1回以上している場合は、全くしていない場合に比べて、自身が「キャリアアップできている」と考える女性の割合が高い傾向があったのだ。
また育児休業を取得したことがある男性は、夫婦共にキャリアアップを目指す「デュアルカップル志向」を持つ人が47%と約半数を占めており、育休取得経験がない人(38%)とは10ポイントも差が開いていた。
男性育休の効果は家庭だけではない。
育休を取得した男性の55%は「効率的に仕事を行うようになった」と述べているほか、「視野が広がり、これまでと違った発想ができるようになった」(32%)、「仕事に対するモチベーションが向上した」(22%)など、仕事へも好影響が出ていることが明らかになった。
育休や時短は夫婦交互にしてキャリアロス回避
今回の調査結果を受け、21世紀職業財団の担当者は「ミレニアル世代の女性においてもなお、性別役割分担意識が強い」と指摘。女性たちには「周囲からの影響で他の選択肢がないと思い込んでいる場合もあると思います。自分自身としてキャリアをどうしたいかを再度、考えてみてください」と呼びかける。
また海外に比べて家事・育児参加時間がきわめて短く、育児休業取得率も依然として低い男性たちには、次のように語りかける。
「女性だけが育児休業を取得すれば、夫婦の役割分担が固定化し、育休や短時間勤務制度の長期間の利用などで妻の側のみにキャリアロスが生じてしまいがちです。
女性のみが育児休業や短時間勤務制度を利用するのではなく、夫婦が半年ずつ交互に取得するなどして、中長期的な観点から、どのような形が夫婦にとって最も望ましいかを考えて選択することが大切です」
”*この記事は、Business Insider Japanの記事を転載したものです。
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