子育て中の転職活動、女性4割が「子育ては採用に不利」と嘆き。男性の3.5倍
Image: UNSPLASH/dylan nolte
求人情報検索サイト「Indeed(インディード)」の日本法人・Indeed Japanの最新の調査で、「子育てをしていると転職時の採用に不利になる」と考える母親が約4割を占めることが分かった。これは父親の3.5倍にのぼる。一体何が女性たちをそこまで追い詰めているのか。
子育て中の男性8割、女性9割が転職に壁
調査は2021年9月、子ども(15歳以下)を育てながら転職活動をした経験がある全国の20~40代の男女1000人(男性500人、女性500人)を対象に行われた。以下にその結果を紹介する(小数点以下切り捨て)。
子育てをしながらの転職活動は、そうでない(子育てをしていない)転職活動よりも「難しい」と感じている人は男性80%、女性91%と、ほとんどの人が子育て中の転職に壁を感じていることが明らかになった。
その理由として男女共に最も多かったのは、「家庭を持っているので自分の都合だけで仕事を選べないから」(男性49%、女性62%)だ(複数回答可)。
しかし、2位は男性が「現在の生活リズムを変えるのが難しいから」(29%)だったのに対し、女性は「子育てをしていると採用に不利になると思うから」が39%と約4割を占めていた。同様に考える男性は11%と約1割にとどまっており、子育てが採用に不利になるという不安を抱えながら転職活動をする女性は、男性の3.5倍にのぼる。
男性はキャリア形成、女性は子育て環境を重視
こうしたジェンダーギャップは調査結果の至る所に表れている。
子育て中に転職活動をした理由として、男女共に1位は「給与待遇の改善・向上」だったが、これも男性49%に対し、女性39%と10%の差がある(複数回答可)。
その他の理由も、男性が「キャリアアップ」(24%、4位)「スキルを活かせる機会にチャレンジしたい」(23%、5位)など自身のキャリア形成に注力しているのに対し、女性は「より子育てに専念できる時間を確保したかった」が24%と3位にきている。一方で、「キャリアアップ」は13%と7位にとどまるなど、子育て環境を重視していることが分かる。
子育て中の転職活動で重視するポイントも、男性の1位は「給与が高い」(50%)だったが、女性は「ワークライフバランス」(64%)だ(複数回答可)。
実際に転職した人が当該企業を選んだ決め手となったものも、男性の1位は「より高い給与がもらえたから」(25%)なのに対し、女性の1位は「時間外労働が少なく、より子育てとの両立がしやすいと感じたから」(26%)だった。
男性の子育てに理解ない職場が生む負のループ
そもそもなぜ転職したいと考えるようになったのか。
現在の職場が働きにくいと感じている男女にその理由をたずねたところ、男性は「残業を強いられ定時で帰宅できない」(40%)、女性は「子どもの風邪や怪我での突発的な休みの融通が利かない」(44%)がそれぞれトップだった(複数回答可)。
男性が長時間労働を強いられるため、女性が突発的な対応を含めて子育てを主に担っている現状がよく分かる結果と言える。子育て世代の転職において、男性がキャリアや収入、女性が子育てしやすい柔軟な職場環境を重視する、せざるを得ないのも頷ける。
実際、職場が働きやすいと考えている男女でも、「子育てに対して職場の理解がある」と回答した女性が67%だったのに対し、男性は42%にとどまっている。男性の育児休業取得について企業の経営者・役員クラスの4人に1人が反対しているという調査結果もあるように(積水ハウス「男性育休白書2021」)、いまだ男性のほうが子育てに理解を得にくい現状があるようだ。
こうした調査結果を受け、日本女子大学名誉教授の大沢真知子さんは次のような趣旨のコメントをしている。
「今回の調査で最も大きくジェンダーギャップが見られたのが、『転職活動において“子育てが採用に不利になる”と考えている女性が多いのに対し、男性はあまりそう思っていない』という結果でした。これは多くの企業で子育て中の女性が戦力として期待されていないことを示しているのではないかと考えられます。
企業が採用などで子育て中の女性が不利にならないようにすること、そして男性が家事や育児に参加できるよう働き方を見直し、長時間労働を是正していくことが重要です」
”*この記事は、Business Insider Japanの記事を転載したものです。
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