未来のグリーン・ジョブで若者に求められるスキル
持続可能なキャリア選択に必要な指針を国連環境計画(UNEP)が公表 Image: Unsplash/ThisisEngineering RAEng
- 国連環境計画(UNEP)は、グリーン・スキルが求められ分野として、農業、建築、科学、教育などを挙げています。
- 世界経済フォーラムの「ダボスラボ・ユースリカバリープラン2021」によると、若者たちの約半数が、適切なスキルを持ち合わせていないと感じています。
- 世界経済フォーラム「仕事の未来レポート2020」では、雇用主は労働者の10人に4人がリスキリング(新たな学び・研修)を必要とすると見込んでいます。
今行う賢明な選択が、未来のグリーン・ジョブで世界中の若者を成功に導く鍵となるかもしれません。
しかし、未来の仕事の多くはまだ存在していないため、こうした判断を下すのはそう簡単ではありません。そこで国連環境計画(UNEP)は、持続可能なキャリア選択と、グリーン産業で成功するために求められるスキルについてのデジタルガイド「第6次地球環境概況/若者向け」を刊行、若者たちをサポートしています。
ここでは、将来のキャリア形成に役立つ6つの主要なスキルカテゴリーを紹介します。
サイエンス・スキル:未来のグリーン・エコノミーは、科学の知識を十分に持つ労働者に大きく頼ることになるでしょう。環境科学者、生物学者、水文学者、生化学者などが重要な役割を担います。これらの職に就いた人々が、土地や貴重な水の供給といった天然資源の管理、監督、保護を行います。
建築およびプランニング・スキル:建物のエネルギー効率が高くなることで、建築と建物の運用に使われる資源はより少なくなっていくでしょう。建築家とプランナーは、環境規制や、緑地を求めるクライアントの要望に応じて建物を設計することになります。
グリーン・エンジニアリングとグリーン・テクノロジー・スキル:今日の若者が明日のグリーン・エンジニアとなり、ソーラーパネルや風力タービン、低排出ガス自動車などのグリーン・エコノミー技術の設計とメンテナンスに関わるでしょう。
農業スキル:農業と食料供給がより持続可能性になるにつれ、有機農業、都市農業、精密農業などの分野で、グリーン・ジョブのニーズが増大していくでしょう。データを使用した農業効率を評価や改善なども求められます。
環境正義スキル:この分野で働く人は、人権と環境権が交わる領域で仕事をします。人種的不平等や社会的不平等、劣悪な環境や社会的不健康をもたらした過去のあやまちを、再び人類が繰り返さないよう、法的、社会的、歴史的な認識を身につける必要があるでしょう。
システム・スキル:グリーン・エコノミーには、広範囲に渡るシステムを設計、運用、監視できる人材が必要です。パフォーマンス指標に照らし合わせてシステムを評価し、システムの運用を最適化・改善するための手段を見つける力が求められます。長期的なインフラプロジェクトに、持続可能性を組み込むためには、マクロ経済学のスキルが必要となるでしょう。
グリーン・エコノミーにおける雇用
グリーン・エコノミーでは、何百万もの新しい雇用が創出されるでしょう。しかし、新しい雇用が生まれることは、考慮すべき事柄の一部にすぎません。適切なスキルを身につけた労働力を育てることが重要なのです。
世界経済フォーラムの「ダボスラボ・ユースリカバリープラン2021」よると、若者の約半数が、今後5から10年の間に尊厳ある職に就くためのスキルを習得していないと感じています。
このレポートでは、20~30歳までの若者による40の政策提言が行われています。そのひとつが、リスキリング(新たな学び・研修)やアップスキリング(技能向上)に対して投資している企業に税額控除を行うことや、都市部の将来のスキルニーズと、アップスキリングやリスキリングの取り組みを組み合わせたオンラインスキルアグリゲーターの構築が含まれています。
グリーン・エネルギーのスキル
グリーン・スキルの需要は、特エネルギー産業において顕著です。2050年までに40万人の新規労働者が必要になる可能性があると推定されており、「その半数以上は今はまだ存在しない職に就く」と、エネルギー・インスティテュート社の社長であるスティーブ・ホリデー氏は言います。
さらには、エンジニアリング分野と合わせて、行動心理学、デジタル化、データなどの多様なスキルも必要とされるだろう、とも語っています。
未来に向けたリスキリング
新興分野で求められるスキル開発では、テクノロジーの導入が大きな推進力になります。
世界経済フォーラムは「仕事の未来レポート2020」で、ビジネスリーダーが高い優先順位に挙げるのは、クラウド・コンピューティング、ビッグデータ、人工知能、およびその他テクノロジーの導入であることを明らかにしています。
「平均すると、企業は約40%の労働者に6か月以内のリスキリングが必要になると見込んでいる。そして、ビジネスリーダーの94%が、OJTによる新たなスキル習得を従業員に期待していると報告されているが、この数値は2018年の65%から大幅に増えている」と、レポートは強調しています。
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