公正、多様性、包摂性

新たなジェンダー平等のシナリオを実現するための3つの重要なステップ

男性限定の方針を変更したばかりのカイロのガソリンスタンドで働く女性従業員

男性限定の方針を変更したばかりのカイロのガソリンスタンドで働く女性従業員 Image: 画像:ロイター/Mohamed Abd El Ghany

Carolyn Tastad
Chief Executive Officer Health Care, Procter & Gamble
Deanna Bass
Director of Global Diversity and Inclusion, Procter & Gamble

昨年のダボス会議開催に合わせて「働く女性:社会的通念と現実」を立ち上げました。世界各国から集まったリーダーたちが4日間に渡り、働く女性が直面する社会的通念と現実について理解を深めました。真実だと信じていた理想が実は現実ではないだけでなく、それが日常生活に大きく影響を及ぼしていることを認識するとても印象的な機会になりました。

2018年は、現代の二分化傾向を表す年になりました。健康、富、ハラスメント、そして指導する権利について女性はかつてなく強く主張しました。一方、女性たちの「Me Too」運動に対抗して「HimToo」運動が始まり、もはや女性たちを指導する側でもなければ女性と会うこともないと宣言を繰り返す男性がいる一方で、政府や民間の類まれな男性リーダーたちは女性たちに共感を示す声を上げました。

こうした人々の意見の不一致が、女性の前進を遅らせ、時に後退させることもあります。フォーチューン500 のCEO部門にランクインした女性の数は、1年前と比べて減少しました。世界経済フォーラムの2017年ジェンダー・ギャップ報告書によると、女性の賃金は引き続き男性より低く、世界的には半分程度に。そして男性の収入は女性よりも早く増える傾向にあることも明らかになりました。

私たちは状況をより良くしなければなりません。女性の目標や分担、女性の支援、そして女性の能力向上プログラムの先を描く、新しい脚本が必要です。こうした点は依然として極めて重要ですが、不十分なのです。また、この新しい脚本は、女性を前進させる取り組みや、包摂的で平等の視点を持つリーダーとしての女性の能力向上など、男性側にも明確な焦点を当てなければなりません。また、透明性の高い女性と男性の参加目標やターゲットも必要です。さらに、家事や職場で男性を平等なパートナーとして支援する政策や文化的な介入も求められます。

私たちが提案する根本的な変化とは、女性を「本来あるべき状況に戻す」ことから、偏見や世界的な男女格差を根付かせる振る舞いや制度を修正することへと私たちの焦点を移行させることです。

では、新しい脚本とはどのようなものでしょうか。それは、急速な進展を導くことができる3つの具体的な介入に焦点を当てます。すなわち、人材制度の改善、公正な政策や実務、そしてリーダーシップやその人材開発に対する新しい期待の設定です。

まず、現在の人材制度を設計し直すことが必要です。希望や願望が平等な価値につながるという考えを止めなければなりません。その代わりに、人材管理に対してより統制がとれてよく考えられたされたアプローチを採用し、組織のトップに昇格していく過程での説明責任を推奨することが必要です。

より具体的には、女性や、米国にみられる少数派のみを対象にターゲットを設定するのではなく、女性と男性の双方に対して雇用や昇進目標を設定することが必要です。男女平等を実現するための「優秀な」女性の数が十分ではないという神話が作り話であることを証明しなければなりません。私たちに必要なのは、男性が占める割合が過剰なために女性の割合が制限されていることについて議論するシステムなのです。CEOの継承を含め、あらゆる職位の候補者は最初から男女が50対50であることを保証しなければなりません。

また、空席が出た場合にのみ人材を募集し採用する段階で、3年、5年、10年後を見据えた良好な人材計画を策定しなければなりません。長期的な計画は、女性もリーダーとしての資質を証明することができる重要な経験や注目される役割を担う平等な機会を保証します。また、管理職は重責を担うに最善の人材から選ばれることも確保します。

第二に、平等に基づいた確固たる職場の方針が必要です。全世界においてすべての女性に平等な賃金や富を保証することが最も早急に取り組むべきことです。政府の規制や企業の方針であれ、女性の経済的な健全性は国や企業、コミュニティ、そして家族にとって良い影響をもたらすことを認めなければなりません。

男性や女性に十分な手当を付与した産前産後休暇や育児休暇、支払可能な保育サービスの利用など、全体的な家族ケア政策が必要です。育児休暇の取得により、男性は父親としての役割を果たし、家庭内で平等なパートナーとなることができます。休暇制度は、キャリアを損なわず労働人材を維持する方法で、いつどのような形態で職場に復帰するかを意図したものでなければなりません。

どのような形態であっても、職場のハラスメント撲滅に向けた躊躇のない取り組みも必要です。ハラスメントは権力の乱用であり、組織の評判や収益に悪影響を及ぼします。企業のトップからハラスメントがない職場文化を築き上げていかなければなりません。被害者が泣き寝入りすることなく、権力を乱用する者の振る舞いに対処するために、継続的な労働者教育、ゼロ・トレランス方式、そしてトップリーダーの関与が求められます。これには、公正で安全かつ平等な労働環境を確保するために、法的要件やリスク削減を超えた意図的で勇敢なリーダーシップを必要とします。

第三に、リーダーシップの幅広い定義が必要です。旧式の男性のリーダーシップに典型的な考え方を女性や男性に押し付けることを止めなければなりません。こうした偏見は、現代と比べて単純に時代遅れであり効果的ではありません。現代は、変化に柔軟で分散化した、縦割りでない組織で成長した協調性の高いリーダーたちが好む世界です。未来の職場は異なるタイプのリーダーシップを求めるでしょう。

また、包摂的な文化を構築し続けることも必要です。そのための重要な方法の1つは、偏見や権力、特権に対処する自己啓発、学習、対話を奨励することです。これにより包容力が生まれ、直接の開かれたフィードバックが可能となり、最終的には信頼関係が構築されます。

P&Gでは、この新しい脚本を実現させる取り組みを行っています。例えば、男性と女性の双方に対して雇用や昇進目標を設定しています。また、同じ仕事に対して平等の賃金を支払い、女性を組織のトップに昇進させることで富の不平等を是正しています。産休や育児休暇制度も改善し、世界中で男性の育児休暇は有給で付与しています。まだやるべきことは多いですが、すべての従業員にとって平等な労働環境を進めていく取り組みに引き続き注力していきます。私たちが提案する新しいシナリオは、行動を予測するものではなく、そのきっかけとなることを意図しています。ジェンダーや職場の平等の実現するために、すべての組織に当てはまるやり方はありません。しかし、女性に対する偏見を否定し、現実を受け入れ、100年と言わずとも今年や来年、その翌年と発展を続けることができる重要な介入を推進する意識を持っています。もしも2018年の教訓があるとすれば、それはジェンダー平等のための取り組みは女性の仕事ではないということ。それはリーダーたちの役割であり、性別にかかわらず今日のリーダーはそのためのリーダーシップを発揮しなければならないのです。

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