<報告書発表>グローバル経済は安定が見込まれるも、財政上の制約、生活費の高騰、AI投資の不確実性が成長の足かせに

発行済み
2026年09月22日
2026
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世界経済フォーラム 広報統括(日本)栃林直子 naoko.tochibayashi@weforum.org

  • 調査対象のエコノミストの56%が、今後1年間の見通しについて「安定」または「改善」を予想しており、89%が状況の悪化を予想していた5月と比較して大幅に上向いています。
  • 69%のエコノミストが、2020年以降のグローバル経済のレジリエンスの原動力は財政支援だったと指摘していますが、今後1年間も同様の役割を果たすと予想する向きはわずか28%にとどまります。
  • 97%がAIの導入が進むと予測する一方、79%はデータセンターの拡張が大きな反発に直面すると見込んでおり、61%は世界的に大きな雇用創出は見込めないとしています。
  • 食料品(88%)、電気代(83%)、交通費(77%)を中心に家計費は上昇する見込みですが、ほとんどの地域で実質所得は横ばいまたは減少する見通しです。
  • 「チーフエコノミスト・アウトルック」の全文はこちら。「持続可能な開発インパクト会合」の詳細はこちら。ソーシャルメディアのハッシュタグは #SDIM26 。

2026年9月22日、米国、ニューヨーク – 世界経済フォーラムの最新の「チーフエコノミスト・アウトルック」によると、グローバル経済は安定化しつつある一方、2020年以降、相次ぐショックを和らげてきた財政支援が、今後1年間において同様の役割を果たす可能性は低いと見られています。

調査対象となったチーフエコノミストの過半数(56%)は、グローバル経済の見通しは安定または改善すると予想しており、5月調査時に89%が景気の悪化を予想していた状況から、大きく改善しています。ただし、安定が持続するという確信は限定的です。回答者のほぼ全員(97%)が、今後1年間の不確実性の要因として地政学的紛争を挙げており、58%が資産価格の調整を予想している一方、グローバル経済の回復力がさらに高まると予想するエコノミストは4分の1にとどまります。

世界経済フォーラムの経済成長、変革部門長のアッティリオ・ディ・バティスタは、「チーフエコノミストたちはグローバル経済が安定化すると予想していますが、地政学的な変動、資産価格の調整の可能性、AI投資に対する監視の強化、そして持続的な生活費の高騰圧力により、不確実性は依然として高いままです」と述べています。「各国政府の支援は、相次ぐ危機を乗り切る上で極めて重要な役割を果たしてきましたが、今後は財政余力がさらに制約される可能性が高いでしょう。今、優先すべきは、次のショックが到来する前に、レジリエンスの基盤を強化することです」。

過去のレジリエンスは財政支援に支えられてきたが、再現は期待薄

2020年以降、財政支援はグローバル経済のレジリエンスにとって最も重要な源泉であり、調査対象のエコノミストの69%がこれを挙げています。ただし、今後12カ月にわたり、財政支援がその役割を果たすと予想しているのはわずか28%に過ぎません。代わりに、将来のレジリエンスは、柔軟なサプライチェーン、技術革新、エネルギー市場への適応にますます依存すると予想されており、米国と中国がショックに耐え得る最も有利な立場にあると見られています。

AIへの楽観論は続くものの、データセンターの拡張には反発も

今後12カ月間で、回答者の97%がAIの導入が増加すると予想し、69%がこの技術が有意義な生産性の向上をもたらすと期待しています。また、約10人中8人(78%)が、データセンターへの投資が世界的な成長の相当な割合を牽引すると見込んでいますが、79%は、その拡大が地域社会から大きな反発に直面すると予想しています。

一方、61%はデータセンターへの投資が世界的な雇用創出の相当な割合を牽引するとは見ておらず、過半数が、その拡大により電気料金(78%)や水道料金(58%)が上昇すると予測しています。また、中国と米国間のAI競争は縮小すると見込まれており、69%が、今後12カ月以内に中国の大規模言語モデルが米国の同等モデルに追いつくだろうとしています。

分断と乖離の拡大が見込まれる

調査対象となったエコノミストの77%が、今後1年間で地経学的な分断が拡大すると予想しており、55%が米国での関税引き上げを、43%が欧州での関税引き上げを予測しています。貿易と投資は引き続き適応していく見込みです。3分の2が世界貿易量の増加を予想し、83%が米国以外の市場への中国の輸出が増加すると見込んでいます。

一方、多国籍企業にとって最も好ましいビジネス環境は引き続き米国だと考えられています。次いで東南アジアと欧州が続き、両地域とも順位を1つ上げました。インドは4位に後退し、中国は引き続き5位となっています。

成長の見通しはほとんどの地域で強まっていますが、依然としてばらつきが見られます。インド、東南アジア、中央アジア、そして米国が最も高い評価を得ている一方、中国の見通しは弱まっており、エコノミストの約3人に1人が低成長を予想。欧州はわずかに改善しましたが、依然として最も弱い地域であり、61%が低成長または極めて低い成長を予想しています。エコノミストの約3人に1人が、米国、中国、欧州で失業率が上昇すると予想している一方、金融政策は分岐すると見込まれています。日本(70%)、ユーロ圏(53%)、米国(42%)では金融引き締めが予想される一方、中国では49%が金融緩和を予想しています。

多くの地域で生活費の上昇が見込まれ、実質所得を圧迫する見通し

回答者の多くは、食料品(88%)、電気代(83%)、交通費(77%)を中心に、生活費の上昇を予想しています。調査対象の経済学者の大半は、東南アジアとインドを除くほとんどの地域で実質所得が減少または横ばいになると予測。東南アジアとインドでは、回答者の60%以上が実質所得の増加を見込んでいます。各国政府は、広範かつ目に見える対応を優先するでしょう。生活必需品に対する減税(60%)、消費補助金(54%)、価格上限の設定(50%)が最も実施される可能性が高いと見られる一方、低所得世帯向けの減税を予想しているエコノミストは36%にとどまり、対象を絞った現金給付を見込む向きは26%にとどまっています。

「チーフエコノミスト・アウトルック」について

本報告書は、世界経済フォーラムのニューエコノミーとソサエティ部門による官民のチーフエコノミストを対象とした広範な協議および調査を基に作成されています。同報告書は、競争力の向上と経済変革を可能にするための意見交換と協働の場である、世界経済フォーラムの「成長の未来イニシアチブ」を支援するものです。なお、本調査は2026年8月4日から20日にかけて実施されたものです。

持続可能な開発インパクト会合2026について

2026年の「持続可能な開発インパクト会合(SDIM26)」は、9月21日から24日までニューヨークで開催。様々な分野や地域から主要なリーダーが集い、共通する機会と課題に対する解決策を前進させます。本会合は、長期的なインパクトの創出および2027年世界経済フォーラム年次総会に向けた機運の醸成に重点を置き、分野横断的な協働による行動を促進します。

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