世界経済フォーラム 広報統括(日本)栃林直子 naoko.tochibayashi@weforum.org
2024年9月24日、米国、ニューヨーク - 世界経済フォーラムのイニシアチブであるEDISONアライアンスは、2025年の目標を前倒しし、世界100カ国以上において、10億人以上の人々を医療、教育、金融の重要なデジタルサービスに接続することに成功しました。2021年の発足以来、同アライアンスは、パブリックセクター、企業、アカデミア、市民社会から200以上のパートナーの多様なネットワークを結集して、デジタル・インクルージョンのための革新的なソリューションを創出しています。
デジタル化されたコネクテッド・ワールドに暮らしているにもかかわらず、現在26億人の人々がインターネットに接続されていません。このデジタル・エクスクルージョン(デジタル格差)は、医療、金融サービス、教育へのアクセスに影響を及ぼし、当事者である個人と、個人の住む国の両方に多大な経済的コストをもたらしています。
同フォーラムの創設者であるクラウス・シュワブは、次のように述べています。「デジタル世界への普遍的なアクセスを確保することは、単なるコネクティビティの問題ではなく、平等と機会の根本にある柱です。地理的条件や社会経済的地位に関わらず、すべての個人に有意義なコネクティビティへのアクセスを確保するという我々のコミットメントを再確認しようではありませんか」。
同アライアンスは南アジアとアフリカで大きな進展を遂げました。インドのマディヤ・プラデシュ州では、アポロ・ホスピタル・グループと米国の通信インフラ事業者との提携による「デジタル薬局」イニシアチブを推進しました。このパートナーシップによって質の高い手頃な価格の医療が提供できるようになり、積極的な受診、男女間の健康格差の是正と患者の利便性の最適化を実現しました。また、デジタルソリューションを活用した患者中心の医療提供において、スケーラブルなモデルとなりました。その他のパートナーシップによるプロジェクトでは、ルワンダにおける経済のデジタル化プログラムを通じてデジタルアクセスの改善を図り、バングラデシュでは対面授業とオンライン授業を使い分けるブレンデッドラーニングの手法を活用した教育格差解消のためのソリューションを提供し、パキスタンでは貧困層が金融サービスを受けられない「金融排除」の削減に向けたソリューションの検討を行いました。
EDISONアライアンスの議長であり、ベライゾンの会長兼CEOであるハンス・ベストバーグ氏は、「誰もが、どこで生まれ、どこに住んでいようとも、21世紀の生活に不可欠なデジタルサービスを利用できるべきです。全員がオンラインで利用できる環境を整えることは、一企業や各国政府にとってあまりにも大きな課題です。そのため、EDISONアライアンスは人々を結集し、地域社会を基盤としたグローバルで実用的かつスケーラブルなソリューションを見出そうとしています」と述べています。
300社以上のパートナー企業によるイニシアチブを通じてデジタル・インクルージョンを推進することで、同アライアンスはデジタル経済の莫大な潜在能力の解放に貢献しています。2030年までにインターネットへのユニバーサルアクセスを実現するためには4,460億ドルが必要になる可能性がありますが、開発途上国に8.7兆ドルの利益をもたらします。これは、デジタル・インクルージョンが経済成長を促進し、生活を改善する上で大きな可能性を秘めていることを示しています。EDISONアライアンスは、この目標に多大な貢献を果たしており、そのインパクトの70%以上が開発途上国に集中しています。
10億人の生活をインターネットに接続するというマイルストーンは、当初2025年を目標としていました。予定より早くこの目標を達成できたことは、パートナー企業がコラボレーションや特定のプロジェクトを通じて、デジタル・デバイドの解消や、サービスが行き届いていない地域における重要サービスへのアクセス提供に貢献していることを示しています。
デジタルアクセスのみならず、AIの台頭など急速に進化するテクノロジーの現状が、機会と課題をもたらしています。EDISONアライアンスは、こうした進歩から取り残された地域社会がその恩恵を十分に受けられるよう、今後も尽力していきます。テクノロジーが進化し続ける中、同アライアンスはデジタルアクセスの拡大、イノベーションの促進、デジタルにおけるジェンダー・ギャップの解消に重点的に取り組み、より包摂的なデジタル社会の実現を目指します。
持続可能な開発インパクト会合2024について
持続可能な開発インパクト会合2024は、2024年9月23日から27日までニューヨークで開催。多様なセクターと地域から1,000人を超える世界のリーダーが一堂に会し、インパクトを重視した一連のマルチステークホルダー・ダイアログを通じて、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に関するグローバルな行動を評価し、刷新します。本会合は、持続可能な開発とその進展に関する同フォーラムの年間を通じた活動の一部であり、極めて重要なものとなります。
<ご参考>
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