世界経済フォーラム コミュニケーションズ・リード 栃林直子 naoko.tochibayashi@weforum.org
中華人民共和国、大連、2024年6月25日 - 世界経済フォーラムは、今後3~5年間に世界にプラスの影響を与える可能性が最も高い技術を取り上げたレポート「新興テクノロジー・トップ10」を発表しました。
世界経済フォーラムの取締役であり、第四次産業革命部門の責任者であるジェレミー・ジュルゲンズは「組織は、未来を形作る要因を理解することで、より良い選択をすることができます。本レポートでは、社会と経済に大きな影響を与える可能性のある技術を特定しています。また、コネクティビティに革命をもたらし、気候変動という喫緊の課題に対処し、様々な分野のイノベーションを促進する絶大な可能性を秘めたテクノロジーにもスポットを当てています」と述べています。
フロンティアーズのチーフ・エグゼクティブ・エディターであるフレデリック・フェンターは、次のように述べています。「世界中にいるフロンティアーズのチーフ・フィールド・エディターたちの専門知識を結集して、変革をもたらす科学がどのように社会、経済、生活をより良く変えていくことができるのかを明確に示すことができます。これはオープンサイエンスの実践であり、世界経済フォーラムとのパートナーシップにより、これらのテクノロジーを世界中のビジネス、科学、政治のリーダーたちに紹介できることを嬉しく思います」。
2024年の新興テクノロジー・トップ10は以下の通り。
1. 科学的発見のためのAI:AI(人工知能)は長年にわたり研究に利用されてきましたが、ディープラーニング、生成AI、基盤モデルの進歩により、科学的発見プロセスに革命が起こりつつあります。病気の理解、新素材の提案、人体や精神に関する知識の強化において、AIを活用することでこれまでにないコネクティビティを明らかにし、進歩を遂げることが可能になるでしょう。
2. プライバシー向上技術:個人のプライバシーを守りつつ、グローバルなデータ共有とコラボレーションの新たな機会を提供する「合成データ」が情報の扱い方を一変させる可能性があります。健康関連研究への応用が期待されます。
3. 再構成可能なインテリジェント・サーフェス:この革新的な表面テクノロジーは、ワイヤレス・ネットワークのエネルギー効率を高めつつ、普通の壁や表面をワイヤレス通信用のインテリジェント・コンポーネントに変えます。スマート工場から車両ネットワークに至るまで、数多くのアプリケーションへの応用が期待されています。
4. 高高度プラットフォーム・ステーション: 航空機、飛行船、気球を利用することで、遠隔地へのモバイル・ネットワーク・アクセスを拡大し、世界26億人以上のデジタル・デバイド(情報格差)の解消に貢献します。
5. センシングと通信の統合:6Gネットワークの登場により、データの収集(センシング)と送信(通信)を同時かつ容易に行うことができるようになりました。これにより、スマート農業、環境保全、都市計画に役立つ環境モニタリング・システムが実現します。センシングと通信のデバイスを統合することで、エネルギーとシリコンの消費が確実に削減されます。
6. 実世界向け没入型テクノロジー:コンピューティング・パワーと仮想現実や拡張現実を組み合わせた没入型テクノロジーがインフラや日常システムの迅速な改善を約束します。設計者や建設専門家は物理モデルとデジタルモデルの対応関係を確認できるようになり、正確性と安全性が確保され、持続可能性が向上します。
7. 弾性熱量効果:グローバルな気温上昇に伴い、冷却ソリューションのニーズが急増しています。機械的ストレス下で熱を放出・吸収する弾性熱量効果によって、エネルギー効率を高め、使用量を削減することができ、現行テクノロジーに代わるサステナブルな選択肢が生まれます。
8. 微生物による二酸化炭素回収:遺伝子工学を駆使して設計した生物を利用して、排出ガスをバイオ燃料のような価値ある製品に変換します。気候変動を緩和する有望なアプローチとなるでしょう。
9. 代替家畜飼料:単細胞タンパク質、藻類、食品廃棄物を原料とする家畜用タンパク質飼料は、農業にサステナブルなソリューションを提供する可能性があります。
10. 移植ゲノミクス:遺伝子操作された臓器の人体への移植の成功は、移植を待ち望む何百万もの人々に希望をもたらし、医療における重要な進歩となります。
12年目を迎えた新興テクノロジー・トップ10レポートは、専門家にとって重要な戦略的情報源となっています。科学者、研究者、未来学者の洞察を結集した本レポートは、社会と経済に大きな影響を与える10のテクノロジーを特定。
これらの新興テクノロジーは、社会や経済に大きな利益をもたらすと期待されることに加え、ディスラプティブ(創造的破壊)かつ投資家や研究者にとって魅力的で、5年以内に一定の規模となることが予想されることも基準となっています。
2024年版では、選定されたテクノロジーの正確性と関連性を確保するため、学術文献、資金調達動向、特許出願を取り入れた革新的なトレンド分析手法を導入しました。同レポートは、フロンティアーズの協力を得て作成。掲載されたテクノロジーは、同フォーラムのグローバル・フューチャー・カウンシルズ、大学・研究ネットワーク、世界の一流機関の2,000人以上の編集長から成るフロンティアーズのネットワーク、新興テクノロジー・ステアリング・グループの共同議長であるマリエット・ディ・クリスティーナとバーナード・メイヤーソンを含む300人を超える世界トップレベルの学者や専門家が参加する厳正な選考プロセスを経て選定されました。
第15回ニュー・チャンピオン年次総会は、「成長のための次なるフロンティア」をテーマに、2024年6月25日(火)~27日(金)、中華人民共和国の大連で開催されます。この会合には、企業、政府、市民社会、国際機関から1,600人を超えるトップリーダーたちが参集し、世界経済を加速させ、そのモメンタムを維持するための総合的な見識と展開可能な解決策を生み出します。
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