世界経済フォーラム コミュニケーションズ・リード 栃林直子 naoko.tochibayashi@weforum.org
2024年1月8日、スイス、ジュネーブ - 世界経済フォーラムは、世界的な協力の状況を測定する「グローバル・コオペレーション・バロメーター」を発表。このバロメーターによると、2012年から2020年までの間、様々な面においてグローバルな協力にレジリエンス(強靭性)が見られていた一方で、2020年から2022年までの間は全体的に2%減少しています。
マッキンゼー・アンド・カンパニーの協力を得て開発されたグローバル・コオペレーション・バロメーターでは、42の指標を使用して、2012年から2022年にかけてのグローバルな協力に関する5つの柱(「貿易と資本」、「イノベーションとテクノロジー」、「気候変動と自然資本」、「ヘルスとウェルネス」、「平和と安全」)を測定しています。
このバロメーターは測定期間中に、「貿易と資本」、「イノベーションとテクノロジー」、「気候変動と自然資本」でグローバルな協力が強さの兆しを見せたことを示しています。一方、世界が過去3年間に直面した重大な課題も反映しています。グローバルヘルスにおける協力の弱体化や、暴力的紛争の急増などです。これは、バロメーターの「ヘルスとウェルネス」、「平和と安全」の柱における値の減少で表されています。
このバロメーターの発表は、記録的な猛暑と世界的な紛争の激化が見られた一方で、気候変動対策、貿易協定、イノベーションの進展も見られた1年を受けたものです。
世界経済フォーラムのボルゲ・ブレンデ総裁は、次のように述べています。「私たちの地球、社会、経済にとっての最大の課題、そして最も有望な機会に国境はありません。このバロメーターが示しているのは、競争や対立の中にあっても、多くの問題に対する協力が可能であるということです。つまり、意見が完全に一致しなくても、リーダーたちは力を合わせることができるのです」。
マッキンゼー・アンド・カンパニーのグローバル・マネジングパートナー、ボブ・スターンフェルズ氏は「いくつかの側面で世界の分断が進んでいることは明らかですが、このバロメーターは、全体像を見れば、この10年間、世界的な協力関係が驚くほど強固なままであったことを示しています。私たちは、気候や自然に関する楽観的な見方や、グローバルな貢献がイノベーションを生む最先端テクノロジーの躍進など、様々な分野で協力が進んでいく様子を目の当たりにしてきました」と述べています。
グローバル・コオペレーション・バロメーターに付随するレポートも発表されました。レポートには、企業や政府のリーダーに向けて、重要な業務や共通の関心を持つ分野(研究開発、AIや新テクノロジーに関する規制の調整など)で官民連携を深める機会を特定することなど、一連の提言が提示されています。これに加えて、リーダーたちは協力について再考する必要があります。「コオペティション」(Cooperation + Competition: 広義には競争関係にありながらも協力の機会を見出すこと)を実践し、協力の事例を特定の分野における利益を得ることにのみ利用するのではなく、信頼を深め、他の連携が存在する可能性を探る機会ととらえて、協力がさらなる協力を生むようにすべきです。
良好な協力関係を見出すことが、企業や国のレジリエンスを向上させる可能性があります。供給が途絶してもそれを吸収できるだけでなく、困難から立ち直った後に大きく成長することができるのです。
世界経済フォーラム2024年年次総会について
世界経済フォーラムは「信頼の再構築」をテーマに、世界有数のリーダーを招集して世界経済フォーラム年次総会2024を開催します。詳細はこちら。
<ご参考>
世界経済フォーラムの アジェンダ を 日本語 | スペイン語 | 中国語で読む
フォーラムの インパクトの詳細を知る
フォーラム ストラテジック・インテリジェンスとトランスフォーメンション・マップ
フォーラムの動画/写真、X @wef|@davos|Instagram|リンクトイン|ティックトック|ウェイボー |ポッドキャスト| フェイスブック|YouTubeでフォローする
英文プレスリリース配信登録