世界経済フォーラム コミュニケーションズ・リード 栃林直子 naoko.tochibayashi@weforum.org
2024年1月18日、スイス、ダボス - クロスタース - 世界経済フォーラムのAIガバナンス・アライアンス(AIGA)は、先進的AI(人工知能)に関する3つの新しいレポートを発表しました。これらのレポートは、生成AIのガバナンス、AIの価値の活用、責任あるAIの開発と展開のためのフレームワークに焦点を当てています。
AIガバナンス・アライアンスは、各国政府、企業、専門家を集め、責任あるAIのアプリケーションを開発すると共にガバナンスを形成し、この道を切り開くテクノロジーの公平な分配とアクセスの向上を世界中で確保することを目的としています。
同フォーラムでAI、データ、メタバースを統括するキャシー・リー氏は次のように述べています。「AIガバナンス・アライアンスは、AI関連リソースへのアクセスを拡大し、より公平で責任あるAIエコシステムをグローバルに展開する上で不可欠な役割を果たす立場にあります。各国政府、企業、地域社会が協力し、AIの未来がすべての人に恩恵をもたらすようにしなければなりません」。
AIGAは、いくつかの重要な分野に取り組むにあたって、様々な分野の専門家に呼びかけています。これには、国家間のデータの質と利用可能性の向上、計算リソースへのアクセスの強化、地域のニーズや課題に合わせた基盤モデルの適合などが含まれます。また、地域のAIエコシステムを効果的に構築し、ナビゲートするための教育や地域の専門家の育成にも重点を置いています。これらの目標に沿って、多国間で管理してこれらの取り組みを支援し強化すると共に、新たな制度的枠組みや官民連携を確立する必要があります。
AIは世界的な課題のソリューションとなる可能性を秘めていますが、既存のデジタル・デバイド(情報格差)を拡大すると共に新たな格差を生み出すリスクもあります。IBMコンサルティングとアクセンチュアの協力を得て作成した新しいブリーフィング・ペーパー・シリーズでは、AIGAの3つの中核的な作業領域に含まれるトピックやその他のトピックについて解説しています。AIテクノロジーが急速なペースで進化し、先進国がAIイノベーションを活用しようと競争する中、開発途上国の何十億もの人々が取り残されないようにするために、デジタルデバイドへの対応が急務となっているのです。
AIの開発と導入における国際協力とインクルーシブなアクセスについて「レジリエントなガバナンスと規制」チームの作成した「レジリエント、ガバナンスと規制:皆のグローバルな未来を形作る(Generative AI Governance: Shaping Our Collective Global Future)」では、各国のアプローチを評価し、生成AIに関する主な議論を取り上げ、分断を防ぐための国際的な協調と基準に関する提言を行っています。
「責任あるアプリケーションと変革」チームによる「生成AIの価値を解き放つ:責任ある変革のためのガイダンス(Unlocking Value from Generative AI:
Guidance for Responsible Transformation)では、生成AIの責任ある導入のためのガイダンスを示し、ユースケースに基づく評価、マルチステークホルダー・ガバナンス、透明性のあるコミュニケーション、運用構造、そしてスケーラブルで責任ある組織への統合のための価値に基づく変革管理の重要性を強調しています。
さらに、「安全なシステムとテクノロジー」チームによるAIの開発と展開を最適化するための「プレシディオAIフレームワーク:安全な生成AIモデルのために(Presidio AI Framework: Towards Safe Generative AI Models)」が新たに発表されました。このレポートでは、責任の共有と積極的なリスク管理の枠組みを構築し、モデルのライフサイクルにおける標準化された視点を取り入れる必要性を取り上げています。
AIGAはまた、ヘルスケアや教育などの主要分野におけるAIの利点を探求するためのリソース獲得も目指しています。
イニシアチブからの引用:
「AIのグローバルかつ急速な進化を目の当たりにする中、UAEは国内および世界全体でインクルーシブなAI環境の醸成に取り組んでいます。AIの恩恵を広くあまねく享受できるようにし、いかなるコミュニティも取り残されないようにする上で、世界経済フォーラムのAIガバナンス・アライアンスとの協力は重要です。私たちは、UAEだけでなく世界全体のために、包括的かつ先進的なAIとデジタル経済のロードマップを開発することに注力しています。このロードマップは、普遍的な進歩と平等のためのツールとしてのAIに対する私たちの信念の証であり、テクノロジーが人類全体に役立つ未来に対する私たちのコミットメントを体現するものです」 - アラブ首長国連邦、人工知能、デジタル経済、リモートワーク担当大臣、オマール・スルタン・アル・オラマ氏
「ルワンダのAIガバナンス・アライアンスへの参加は、ルワンダとその地域が、AIガバナンスとアクセシビリティの未来を形成する上で、後れを取らないようにすることを目的としています。これに伴い、ルワンダの第四次産業革命センターは世界経済フォーラムと共同で2024年末にアフリカのAIに関するハイレベルサミットを開催し、アフリカの未来を形作るAIの役割について集中的かつ協力的な対話を行うプラットフォームを構築します。このイベントの主な目標は、共通のリスク、障壁、機会についてアフリカ諸国の足並みをそろえ、最終的にはアフリカにおけるAIの統一戦略を考案することです」- ルワンダICT・イノベーション大臣、ポーラ・インガビレ氏
「IBMは引き続き責任あるAIとガバナンスを推進します。私たちは皆、企業、各国政府、市民社会の垣根を越えてグローバルに協力し、生成AIの設計と導入の仕方を知らせる倫理的なガードレールと政策フレームワークを構築する義務があります。IBMは、本シリーズのナレッジ・パートナーとして、フォーラムのAIガバナンス・アライアンスと協力できることを誇りに思います」- IBM副会長、ゲーリー・コーン氏
「AIの進化は、テクノロジー、規制、ビジネスへの導入のすべてが同時に指数関数的に加速しているという点で今までにないものです。官民が一体となって、AIの構築と責任あるスケールアップのための洞察、リソース、ベストプラクティスを共有することが重要です。この分野のリーダーたちは、新興市場を含む世界のあらゆる地域でこのテクノロジーの恩恵が共有されるよう、インクルーシブなAIの実現に優先的に取り組まなければなりません。世界経済フォーラムの3部構成のブリーフィング・ペーパー・シリーズは、責任あるアプリケーション、ガバナンス、安全性に関して、ビジネスを強化し、人々を尊重し、社会に利益をもたらすための洞察に満ちた考察を提供しています」- アクセンチュア チーフ・テクノロジー・イノベーション・オフィサー、ポール・ドーアティ氏
世界経済フォーラム年次総会2024について
世界経済フォーラムは「信頼の再構築へ」をテーマに世界有数のリーダーを招集して世界経済フォーラム年次総会2024を開催しています。詳細はこちら。
<ご参考>
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