世界経済フォーラム コミュニケーションズ・リード 栃林直子 naoko.tochibayashi@weforum.org
アラブ首長国連邦、ドバイ、2023年12月1日 - 世界経済フォーラムは、アラブ首長国連邦政府の支援を受け、食品セクターの20以上の企業および研究パートナーとともに、「ファースト・ムーバーズ・コアリション・フォー・フード」を立ち上げました。このイニシアチブは、サステナブルな方法で生産された農産物の調達力を結集し、サステナブルな農法、イノベーション、移行資金の導入を加速させるものです。
食料システムは世界の排出量の30%以上を占めており、地球温暖化を1.5℃未満に抑えてパリ協定を達成する上で極めて重要です。したがって、サステナブルな方法で生産された低排出農産物の需要の集約は、食料システムにおいてネイチャーポジティブな形でネットゼロへの移行を加速させます。
同フォーラムのボルゲ・ブレンデ総裁は、「ファースト・ムーバーズ・コアリション・フォー・フードを通じて、世界有数の企業が需要のシグナルを発信し、環境に配慮した農法やグリーンイノベーションの加速と採用を促進します。この官民連携により、よりサステナブルな食料生産システムへの先行投資に伴うリスクが軽減しやすくなります」と述べています。
ファースト・ムーバーズ・コアリション・フォー・フードは、購買力のある多国籍企業や地域企業の企業チャンピオン、バリューチェーンパートナー、農業従事者組織、研究パートナーで構成されると同時に、各国政府とともに既存の食料システムの改善に取り組みます。
この新たなイニシアチブは、低炭素農産物に対する需要を結集することで、サステナブルな農業や生産方法、テクノロジーを加速させることを目的とし、低炭素農産物の調達額は加盟企業の合計で100億ドルから200億ドルを目指しています。現在、同コアリションに参加している企業パートナーは、合計で2兆1,000億ドルの売上高を誇り、グローバルに事業を展開しています。
ファースト・ムーバーズ・コアリション・フォー・フードの創設メンバーは、食品生産システムにおけるよりサステナブルな実践とイノベーションの必要性を認識している大手企業です。2023年12月中旬から、世界経済フォーラムと参加企業および各国政府は共同で、このような変革を可能にするエコシステムを支援し、動員するための需要コミットメントと経路を特定する作業を開始します。同コアリションは、2024年夏に最初の共同作業の成果を発表する予定です。
アラブ首長国連邦のマリアム・アルムハイリ気候変動・環境大臣は、「私たちの食料生産と消費のやり方が、世界の温室効果ガス排出の30%を引き起こし、世界の淡水の70%以上を使用し、熱帯地域の森林破壊と生息地の損失の80%を引き起こす原因となっています。食料を生産し消費する新しいサステナブルな方法を早急に見つけなければ、これらの問題はわずか数十年で悪化するでしょう。サステナブルな農法の改善を明確に要求することがグローバルな気候変動目標を達成するために極めて重要であり、私たちは今すぐ行動を起こす必要があります」と述べています。
また、マジドアルフッタイム社のチーフ・エグゼクティブであるアーメド・ガラル・イスマエル氏は、次のように語ります。「私たちは、バリューチェーン全体で二酸化炭素排出量を削減する私たちの役割が、人と地球の長期的でサステナブルな健全性に与える影響を認識しています。サステナブルな買い物を日常的に選択するお客様が増えている中、私たち小売業者には、より責任ある調達・生産による商品をお届けする責任があります。ファースト・ムーバーズ・コアリション・フォー・フードのイニシアチブに参加することで、私たちは低排出製品の需要を拡大し、生物多様性の改善と水使用量の削減を伴うレジリエンス(強靭性)の高い農業システムを育成する、ネイチャーポジティブな実践を推進する企業と提携することを目指しています」。
ベイン・アンド・カンパニーのマニー・マセダ最高経営責任者(CEO)兼取締役会会長は、同コアリションは企業が農産物を調達する方法を変革し、環境に優しい生産への転換を可能にするだろうと述べ、「これにより、低排出農産物の生産に必要な投資に関連するリスクが減少し、ネットゼロやネイチャーポジティブなテクノロジーに向けた拡大が容易になり、農家が環境再生型農業のような環境に優しいプラクティスを採用できるようになります」と述べています。
ファースト・ムーバーズ・コアリションについて
「ファースト・ムーバーズ・コアリション・フォー・フード」は、2021年に英国スコットランドのグラスゴーで開催されたCOP26において、ジョー・バイデン米大統領と世界経済フォーラムが立ち上げたファースト・ムーバーズ・コアリション・フォー・インダストリーの成功を基盤として設立されました。
「ファースト・ムーバーズ・コアリション・フォー・インダストリー」は、航空、海運、トラック輸送、鉄鋼、アルミニウム、コンクリート・セメント、化学の8つの脱炭素が困難な産業部門において、革新的なクリーンテクノロジーの初期市場を創出するために購買需要を集約するものです。
現在までに、同コアリションは13以上の各国政府パートナーと90以上の企業から150億ドル以上の購入の約束を得て、支持を集めています。これは世界がかつて経験したことのない、産業部門向けのクリーンテクノロジーに対する大きな需要のシグナルです。
ファースト・ムーバーズ・コアリション・フォー・フードのメンバー
重要な需要のシグナルとグリーン調達のコミットメントの形成と加速に共同で取り組む初期パートナーは以下の通り。バイエル、カーギル、ダノン、ルイ・ドレフュス、マジドアルフッタイム、ネスレ、NR・インスタント・プロデュース、オーラム・アグリ、ペプシコ、セケム・グループ、UPL、タイソンフーズ、JBS、ヤラ・インターナショナルが含まれます。今後、さらに多くの企業が発表される予定です。このプロセスを支援している専門機関には、ベイン・アンド・カンパニー、ギンコ・バイオワークス、グローアジア、IDH、インディゴ・アグ、国際稲研究所、テマセク生命科学研究所、熱帯林アライアンス、東京大学などがあります。このイニシアチブはアラブ首長国連邦の支持を受けています。
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