世界経済フォーラム コミュニケーションズ・リード 栃林直子
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2023年9月18日、米国、ニューヨーク - 大規模なデータセットを用いてコンテンツを認識、要約、翻訳、予測、生成できるディープラーニング・アルゴリズムである大規模言語モデル（LLM）は、現在そして将来の仕事にどのような影響を与えるのでしょうか。これが、世界経済フォーラムの最新の白書『明日への仕事：大規模言語モデルと仕事 』の焦点です。
アクセンチュアとの共同研究による本白書は、工学、数学、科学分析など、クリティカルシンキング、複雑な問題解決能力、創造性を必要とする仕事にとって、LLMが恩恵をもたらす可能性があるとしています。これらのツールは、ルーチンワーク（定型業務）の生産性を向上させ、より高い付加価値に焦点を当てたやりがいのある職務にすることで、労働者に利益をもたらす可能性があります。本書では、短期的にLLMが特定の仕事に与える直接的な影響を理解するために、構造的なアプローチを取っています。
「生成AIは労働市場に大きな影響を与える可能性がありますが、その影響は職種によって大きく異なるでしょう。ビジネスリーダー、政策立案者、従業員は、新たな仕事の可能性を活かしながら、職場変革の管理や人々の力を引き上げる未来を確保するために、協力する必要があります」と、世界経済フォーラムの取締役であるサーディア・ザヒディは述べています。
分析によれば、19,000以上の異なるタスクを調査した結果、LLMの影響を受ける可能性のあるのは、867の異なる職種。自動化と強化の両方で最も高い潜在的な影響があると推定されている産業は、金融サービスと資本市場、保険と年金管理です。
また、LLMが進化するにつれて、AI開発者、インターフェースおよびインタラクション・デザイナー、AIコンテンツ制作者、データ・キュレーター、AI倫理およびガバナンスの専門家など、新たな役割も生まれるでしょう。
業務の5分の4が自動化されるなど、最も変化のリスクが高い職種は、信用認定業務、レジ係、事務員など、日常的で反復的な言語業務を伴う職種。また、比較的変化が少ないと予測される職種は、教育、ガイダンス、キャリア・カウンセラー、アドバイザーなどで、84％の業務が変化にさらされる可能性が低いとされています。
「生成AIは、業界全体の働き方を再構築する変革の時代の到来を告げています」と、アクセンチュアのコミュニケーション・メディア・テクノロジー・インダストリー・プラクティス・チェアのキャスリーン・オライリー氏は述べています。「従来の役割の一部は進化し、移行さえするでしょうが、AIの力を活用してイノベーションを起こし、複雑な課題を解決し、生成AIシステムの責任ある利用を監督できるスペシャリストの需要が急増しています。生成AIと協業できる人材を育成する組織は、競争上の優位性を獲得できるでしょう」。
LLMの影響に関するこの新しいデータは、世界経済フォーラムの『仕事の未来レポート2023』の調査結果を補足し、補強するものです。同レポートによると、テクノロジー、グリーン・トランジション、地理経済的見通しの複合的影響により、今後5年間で最大4分の1の雇用が変化すると予想されています。
本白書では、企業や政府は、労働力におけるLLMの影響に備えるため、先見性の向上、適応力のある労働力の創出、転職やキャリアの変化を支援する制度の導入、生涯学習の奨励など、積極的な対策を講じる必要があるとしています。
持続可能な開発インパクト会合について
持続可能な開発インパクト会合が、9月18日（月）から22日（金）までニューヨークで開催されます。同会合では、国連の持続可能な開発目標（SDGs）に関する進捗状況を振り返り、マルチステークホルダーによる行動を活性化させます。600人以上のビジネスリーダー、政策立案者、国際機関や市民社会のリーダー、イノベーター、社会起業家がSDGsの具体的な進展を進めるために一堂に会します。
＜ご参考＞
持続可能な開発インパクト会合2023について
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