世論調査:絶滅危惧種の漁獲禁止を圧倒的に支持

発行済み
2020年01月06日
2020
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世界経済フォーラム パブリック・エンゲージメント・リード 栃林直子
Tel.: 03-5771-0067 Naoko.Tochibayashi@weforum.org

  • 最新のグローバルな世論調査によると、成人の4人に一人が、絶滅危惧種の漁獲の禁止(77%)や、過剰漁獲と違法漁獲につながる政府による漁業補助金の禁止(73%)を支持していることが明らかになりました。
  • 水産資源を枯渇させ、その結果数億人の食料安全保障を脅かす漁業補助金。世界貿易機関(WTO)加盟諸国がこの補助金廃止への強い要請に直面したことを受けて実施された、世論調査の結果です。
  • 調査対象の主要20か国で漁業補助金禁止の支持率が高い国は、アルゼンチン(81%)、メキシコ(82%)、中国(79%)で、禁止支持率が低いのはインド(66%)、日本(48%)、サウジアラビア(65%)でした。
  • 昨年度支払われた、持続可能性に悪影響を及ぼす漁業補助金は、毎時250万ドル超、年間で222億ドルにのぼりました。
  • 詳細は、www.friendsofoceanaction.orgおよびhttps://wef.ch/overfishingをご覧ください。

2019年12月19日(木)- スイス、ジュネーブ – 世界経済フォーラム(WEF)の委託を受け、グローバル・マーケティング・リサーチ会社であるイプソスグループが実施した最新の世論調査では、日常的に魚介類を購入している成人の7割以上(全世界で77%)が、絶滅危惧種の漁獲禁止を支持しています。

水産資源の乱獲の抑制策に対する消費者の支持も広がっています。持続可能な開発目標(SDGs)の主要目標のひとつである、「過剰漁獲、過剰漁獲能力、違法漁獲につながる漁業補助金の禁止」に73%が同意。また7割以上が、商店やレストランでの絶滅危惧種の魚の販売禁止も支持しています。

調査結果はこちら

科学者たちが、海洋の健全性と多くの水産資源の枯渇状態に、強く警鐘を鳴らしたことを受けた結果になりました。

また調査結果は、2020年半ばまでに、持続可能性に悪影響を及ぼす漁業補助金の廃止を目指すWTOでの交渉の重要局面とも重なりました。悪影響を及ぼす漁業補助金の廃止は、すべての国連加盟国が合意した持続可能な開発目標(SDGs)のひとつです。

「この世論調査結果から、世界中の人々が、海洋の健全性を脅かす乱獲と政策の禁止を圧倒的に支持していることがわかりました。毎年、海洋から数10億ドルもの価値の魚介類が密漁されています。地域社会、国、研究機関の財産が盗まれているのです。消費者は盗品の受け手に決してなってはならず、受け手になることを望むべきでもありません。世界のリーダーは建設的な変化をもたらすために、これまでにない強い信任を世界中の市民から受けています」と国連事務総長海洋担当特使兼「フレンズ・オブ・オーシャン・アクション」(世界経済フォーラムおよび世界資源研究所により召集された50人を超えるグローバルリーダーのグループ)の共同議長を努めるピーター・トムソン氏は語っています。

この世論調査は、28か国の75歳以下の成人19,517人を対象に実施されました。月に1度以上、魚介類を購入する14,057人の成人(全体の71%)に、持続可能な漁業と乱獲の抑制策への意識について質問がなされました。

持続可能な漁業に対する意識についての質問では、日常的に魚介類を購入している人の70%超が、特定の魚介類を選択する上で、以下のそれぞれの基準が非常に重要あるいはやや重要と回答しました。

  • 絶滅の危機にある種(つまり、急速に個体数が減少している種)のリストに記載されていないものという質問に対しては、調査したほぼすべての国の大半(70%から91%まで)を含めて、回答者の81%が重要と回答しました。
  • 長期的に魚介類の個体数の減少につながらない方法で、持続可能に漁獲または養殖されているものという質問に対しては、調査したほぼすべての国の大半(73%から89%まで)を含めて、回答者の80%が重要と回答しました。
  • 近海で漁獲または養殖されているものという質問に対しては、調査したすべての国の大半(日本の52%からペルーの86%まで)を含めて、回答者の72%が重要と回答しました。

乱獲の抑制策については、以下の政策を「強くまたはやや支持」したのは全成人の70%であったのに対し、「強くまたはやや反対した」のは10%未満でした。

  • すべての絶滅危惧種の漁禁止については、調査したほぼすべての国の大半(66%から91%まで)を含めて、回答者の77%が支持し、7%が反対しました。
  • 絶滅危惧種の商店やレストランでの販売禁止については、調査したほぼすべての国の大半(66%から90%まで)を含めて、回答者の77%が支持し、7%が反対しました。·過剰漁獲、過剰漁獲能力、違法漁獲につながる漁業補助金の禁止については、調査したほぼすべての国の大半(65%から87%まで)を含めて、回答者の73%が支持し、7%が反対しました。
  • 販売する魚介種の絶滅危惧状態について、商店やレストランが消費者へ通達する義務づけについては、調査したほぼすべての国の大半(60%から85%まで)を含めて、回答者の71%が支持し、8%が反対しました。

企業、政府、市民社会は、海洋と人間の関係に大きな影響を及ぼす、体系的な変革に取り組んでいます。

10月、サー・デイビッド・アッテンボロー、「フレンズ・オブ・オーシャン・アクション」、世界自然保護基金(WWF)、世界経済フォーラムは、WTOで面会した通商代表者に向けた力強いビデオメッセージを発信しました。ビデオは、こちらでご覧になれます。

「フレンズ・オブ・オーシャン・アクション」は太平洋での違法漁獲を廃止するための構想を、スタンフォード大学「センター・フォー・オーシャン・ソリューションズ(Center for Ocean Solutions)」の共同ディレクター、ジム・リープ氏による記事にまとめました。

現在の漁業補助金に関する最新の総合的調査である、海洋政策学専門誌「マリーン・ポリシー」の分析によると、持続可能性に悪影響を及ぼす漁業補助金のために支払われた公的資金は、毎時250万ドル超、つまり年間で222億ドルにのぼりました。「米国科学アカデミー紀要」によれば、悪影響を及ぼす漁業補助金を廃止すれば、海洋資源が増大し、水産物業界は年間530億ドルの収益を得るとしています。また世界銀行は、漁業管理が世界的に改善されれば、830億ドルの利益となると予測しています。

5,900万人以上が漁業や養殖業に携わり、数億人もの人々が、魚介類をたんぱく質の主要源としています。水産資源の減少により、このような人々の暮らしと食料安全保障は窮地に立たされています。

世界で捕獲されている魚介類の33%以上は、生物学的に持続不可能なレベルで過剰漁獲されています。国連食糧農業機関(FAO)は、漁獲の60%は食べられているものの、全世界で捕獲された3尾のうち1尾が食卓にのぼらないと指摘しています。世界の魚介類の60%は持続可能なレベルで捕獲 されているが、33%は、いると指摘しています。一方で食品としての魚介類の需要は、急速な都市化により高まっています。

トムソン氏は次のように語っています。「毎年200億ドル超の公的資金が持続可能性に悪影響を及ぼす漁業補助金に支払われ、そのうち80%超は漁業産業に渡っています。このような漁業産業は遠洋で枯渇しつつある水産資源を乱獲し、違法漁獲に手を染めることもあります。漁業補助金は、気候変動に対応する沿岸地域社会にこそ支払われ、有効に活用されるべきです」。

海洋に悪影響を及ぼす漁業補助金廃止の推進者は、廃止を目指す世界規模の交渉は、海を救うための重要なステップであり、海洋と人類の健康に建設的な連鎖効果を及ぼすと主張しています。

<参考>

ビデオを見る:https://wef.ch/overfishing
「フレンズ・オブ・オーシャン・アクション」について:www.friendsofoceanaction.org
世界経済フォーラムについて:www.weforum.org
世界資源研究所について:www.wri.org
「フレンズ・オブ・オーシャン・アクション」をツイッターでフォローする:https://twitter.com/FriendsofOcean
SDG14および、2020年までに満たすべき、すべての国連加盟国が合意した4つの持続可能な開発目標について詳しくは、以下を参照してください:https://oceanconference.un.org/sdg14
ブログ: https://wef.ch/agenda
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