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グリーン・テクノロジー、中国に学ぶイノベーションを支える資金調達

グリーン・テクノロジーのイノベーション・パイプラインに資金を供給するクリエイティブな方法を、中国から学ぶことができるでしょう。

グリーン・テクノロジーのイノベーション・パイプラインに資金を供給するクリエイティブな方法を、中国から学ぶことができるでしょう。 Image: REUTERS/Muyu Xu

Sha Song
Partnership Specialist, China Climate Action, World Economic Forum
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  • 2023年は、産業革命以前の平均を1.45±0.12℃上回り、記録上最も暑い年となりました。
  • 気候変動と排出量を減速させ、逆転させるには、数兆ドルの資金が必要です。
  • グローバル経済において極めて重要な役割を担っている中国は、様々な革新的資金調達メカニズムを通じて、気候変動に対応するための資金調達にすでに動き出しています。

IPCCの最新の報告書によると、温室効果ガス(GHG)排出量は二酸化炭素換算で57.4 ギガトンとなり、世界記録を更新。2023年は、産業革命以前の平均を1.45±0.12℃上回り、記録上最も暖かい年となりました。排出量を削減するどころか、私たちは間違った方向に進み続けています。しかし、この状況に変化をもたらすことは可能です。

食品、建設、ファッション、消費財、エレクトロニクス、自動車、専門サービス、貨物輸送のサプライチェーンは、世界の排出量の50%以上を占めています。つまり、こういった産業バリューチェーンの脱炭素化こそが、排出量を削減する勝機になるのです。

成功させるには徹底した経済変革が必要であり、大規模な民間資金の動員を必要とします。試算によると、二酸化炭素排出量のネットゼロを達成して温室効果ガスの排出量を大幅に削減し、気候変動を緩和するためには、2030年までにエネルギー関連のインフラに少なくとも1兆ドル、2050年までに全セクターで年間3兆~6兆ドルの追加投資が必要です。

バリューチェーンにおける脱炭素化の重要なイネーブラーは、川上から川下までの低炭素化テクノロジーです。こうしたテクノロジーは様々な開発段階にあり、それぞれに合わせた資金調達手段を必要としています。研究開発段階では、財政的な予算配分と寄付に基づく資金が、そして商業化可能な技術や商業化間近の技術には、別の資金源が必要となるでしょう。

中国が低炭素化テクノロジーの資金ギャップを埋めている方法

イノベーションを生み出すグリーン・テクノロジーにおいても、開発段階によって必要とされる資金源や資金調達のアプローチは異なります。
イノベーションを生み出すグリーン・テクノロジーにおいても、開発段階によって必要とされる資金源や資金調達のアプローチは異なります。

中国は、低炭素化テクノロジーを新興国や開発途上国に提供し、その規模を拡大し、イノベーション・チェーンを育成するのに適した立場にあります。なぜなら、同国は140以上の国々の主要貿易相手国であり、グローバルなサプライチェーンのグリーン転換のペースとスピードを決定付けるのに最も適した国の一つだからです。すでにこの取り組みが進行中であり、800社を超える中国の大企業が、2060年までにカーボンニュートラルの目標を設定しています。特にICT、繊維、製造の各分野で、企業は国の気候変動目標よりも早くカーボンニュートラルを達成しようとしています。

2050年までに、同国はおよそ26兆ドルのグリーン投資を必要としています。中国の第14次5カ年計画では、気候変動関連とデジタル・エコノミー支援に6兆ドルの投資が見込まれています。中国人民銀行は、科学技術のイノベーション、技術転換、設備更新を支援するため、5,000億元(約704億7,000万ドル)相当の特別融資枠を設けました。年利は1.75%です。

主要なステークホルダーとテクノロジー

中国を含むあらゆる市場で事業を展開するグリーン・テクノロジー企業は、産業バリューチェーンの技術的進歩を最大限に推し進め、持続可能性報告基準に従い、野心的な二酸化炭素削減目標と戦略を設定する必要があるだけでなく、財務状況を固め、業績を上げて将来の見通しを立てるために投資家の言葉を理解する必要もあります。

投資家の側も、グリーン・テクノロジーをスケールアップし、見せかけの環境対策、つまりグリーンウォッシュを避けて真のイネーブラーになる企業のテクノロジーやキャッシュフローに関する機会とリスクを理解する必要があります。したがって、グリーン・テクノロジー企業と投資家の間で相互理解を深める必要があるのです。

革新的な資金調達メカニズム

グリーン調達とは、環境への悪影響を最小限に抑えた商品やサービスを購入することです。これにより、グリーン・テクノロジーを有する企業に機会を与えることができます。

一例として、アリババが資金提供したテクノロジー主導のインターネット銀行、マイバンク(網商銀行)は、623万社の零細・小規模企業向けに特別な融資プラットフォームを構築しました。2022年12月末現在、同行は42万社の零細・中小企業に融資金利の優遇を提供する一方、アクセスしやすいインクルーシブな金融サービスを提供して、企業のグリーン開発を促進しています。また、同行はグリーン・インクルーシブ・ファイナンスに関するポリシーの適用範囲に、グリーン・サプライチェーンに関わる零細・中小企業を含めました。加えて、顧客のニーズに基づいた様々な新しいグリーン・ファイナンス商品を開発し、グリーン調達ローンを含む幅広いグリーン・デジタル・サプライチェーン・ファイナンス商品を取り揃えています。

中国では、有利子負債による資金調達であるデットファイナンスの大半を引き続き銀行が提供すると予想されます。これは今のところ、グリーン輸送プロジェクトに適した革新的な商品として、グリーンローン(「サステナビリティ・リンク・ローン」と呼ばれます)の形をとっています。例えば、中信銀行はグリーン・テクノロジーに特化したサプライチェーンの中間に位置する大手バッテリー企業に対し、国内中長期米ドル・シンジケート・ローンによる運転資本融資の組成を主導することで、期限前返済の資金調達ソリューションを提供しました。これは、原材料の供給契約期間と正確に一致するようにオーダーメイドされた10年間のシンジケート・ローンであり、原材料の安定供給を保証するものです。

もう一つの例は、グリーン・テクノロジーの運用段階に合わせたサステナビリティ・リンク・ローンです。ソシエテ・ジェネラル中国は、自動車部品の大手サプライヤーであるフォルヴィアの複数の中国子会社が利用できる既存の7億人民元(9,700万ドル)の銀行引受手形制度に対して、サステナビリティ・リンク・メカニズムの導入を完了しました。同社は、2023年6月の持続可能性連動型タームローン・ファシリティの調印に続き、共同借り手として同様の仕組みを導入して、既存の銀行引受手形の仕組みをサステナビリティ・リンク型に変更しました。

中国における代表的な金融商品の分野には、グリーン企業の新規株式公開の検証や申請手続きを簡素化したグリーン株式市場や、グリーン企業に特化したチャンネルの構築も含まれます。

中国企業は海外、例えばスイスの資本市場でも活動しています。中国証券監督管理委員会と深セン証券取引所の支援を受けて、格林美(GEM)はグローバル預託証券の発行とスイス証券取引所への上場を達成し、3億8100万ドルの資金調達に成功しました。この資金は、インドネシアのニッケル資源やヨーロッパにおける電力バッテリーのリサイクルなどのプロジェクトに投資されました。

商業的に実現可能なテクノロジーの早期展開、革新的なグリーン・ファイナンス商品、投資家の明らかな嗜好変化の兆候など、中国がグリーン・エコノミーに向けて歩み始めていることは確実です。

中国は今後、資本コストを引き下げる資金調達メカニズムを通じて再構築された共通分類と新しい公的・民間資本源を活用していくと考えられます。これにより、イノベーション・チェーンを拡大し、より広範なイノベーション・エコシステムの構築が可能となるでしょう。

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